不妊症の治療はどうすればいい?病院治療とセルフ治療の流れを解説!
不妊症だと分かった場合、またその疑いがある場合、少しでも早く治療を始めることが重要です。
しかし、
「不妊症の治療ってどんなことをするの?」
「自分でできるセルフ治療の方法はないの?」
という疑問、不安をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。
そこで今回は「不妊症の治療」をテーマとし、不妊治療をする前にしておくべきことや、基本的な治療法について、また病院医療とセルフ治療の流れについてまとめてみました。
ぜひパートナーと一緒にチェックしてみてください。
不妊症の治療をする前にしておくべきこと
女性が妊娠する確率は、30代に入ったあたりで徐々に低下します。
そのため、不妊症だとわかった時点でなるべく早めに治療することが推奨されていますが、「何から始めたらいいのかわからない……」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで、ここでは「治療前にしておくべきこと」についてまとめてみました。
原因をある程度特定するために検査を受ける
不妊治療の第一歩は、不妊の原因を探ることです。
女性の場合、「月経不順や月経痛がひどい……」といった体のSOSを受け取ることで不妊の原因が見つかる場合もありますが、問題はこういったトラブルがない人です。
一見して問題がないように見えても、
- 排卵、卵管にトラブルがある
- 精子を攻撃してしまう免疫を持っている
- 子宮内膜症などの病気になっている
という場合があるので、少なくとも年に一度は婦人科にいって検査を受けるようにしましょう。
一方、注意が必要なのは男性側です。
問題なく性行為ができているという場合でも、
- 造精機能障害
- 精路通過障害
- 副性器障害
など、精巣周辺にトラブルを抱えている場合があります。
そのため、男性も積極的に病院の検査を受けるようにしましょう。
原因がわかれば、自分の症状に適した薬を服用し、治療を本格的に進めることができます。
治療方針をパートナーと相談する
不妊治療で重要なのは、「自分たちがどうしたいか」という方針をしっかり決めることです。
見つかった原因によっては、不妊治療が長い道のりになることもあるでしょうし、治療には費用や時間もかかります。
- 何歳までにどういった治療を進めていくか
- 病院で治療する場合はどういう病院を選ぶか
など、パートナー間の共通の課題として不妊問題を捉え、考えていきましょう。
どちらか一方の問題と決めつけず、2人で進めていくことが大切です。
不妊症の治療方法
不妊症の治療は、
- 病院で治療する方法
- 医薬品を使用して自分で不妊症を改善する方法
という2種類に分けることができます。
ここでは、病院で治療する方法とセルフ治療のメリット・デメリットについてまとめてみました。
「どちらがいいか悩んでいる」という方は、ぜひこちらを参考にしてみてください。
病院で治療するメリット
「検査から治療まですべて病院で行える」という点は、病院治療の大きなメリットとなります。
また、多数の事例を扱ってきた医師が、個々の状況に合わせて具体的な方法を教えてくれたり、自分に合った治療を提案してくれたりするので、医師とマンツーマンで治療を進めていきたいカップルに最適です。
専門家である医師の指導のもと、安心して治療を進められるのも大きなメリットといえるでしょう。
病院で治療するデメリット
病院治療のデメリット、それは「金銭面に負担がかかる」ということです。
妊娠できるようになるまで病院に通い続けなければならないため、その分だけ費用がかかります。
なお2022年の4月以降、不妊治療の保険適用が拡大され、人工授精は回数制限なしで保険診療が可能になりましたが、体外受精・胚移植(IVF-ET)は年齢・回数ともに制限があります。
- 【40歳未満】1子ごとに6回まで
- 【40歳以上43歳未満】1子ごとに3回まで
制限をオーバーする場合は自費診療となり、余計に費用がかかります。
参考元:保険体外受精について
医薬品を使用して治療するメリット
医薬品を使用して治療を行うセルフ治療のメリットは、「金銭的なコストが少なく済む」という点です。
病院治療では、通院のたびに診察料などの費用が発生しますが、セルフ治療の場合は都度かかる費用を払わずに済みます。
何か不安なことがあった場合や、気になる症状が現れたときだけ病院を使うなど、柔軟な対応ができるのもセルフ治療のメリットです。
コストを最小限に抑えながら不妊の改善を目指せるということで、現在では非常に幅広い方に使われる治療法のひとつとなっています。
医薬品を使用して治療するデメリット
セルフで不妊治療を行うということは治療の進捗・経過を知る医師がいないということです。
専門家である医師の指導を受けられないため、効果的に治療を進めることが難しくなってしまいます。
また、無症状であっても実は何かしらの病気を抱えていたという場合もあります。
こういった状態を見過ごしてしまったり、体に合っていない医薬品を服用し続けてしまったりすることがあるのは、セルフ治療最大のデメリットといえます。
不妊症の基本的な治療ステップ(病院編)
ここでは、病院で行う不妊治療の基本的なステップについてご紹介します。
STEP1:検査
検査は男女ともに行います。
女性側の検査内容は、以下の通りです。
①基礎体温の測定
夫人体温計で基礎体温を測定し、「そもそも排卵があるか」などを検査します。
②ホルモン基礎値の測定
生理が始まって4日以内に、採血のうえ検査を行います。
この検査により、排卵障害の有無を確認できます。
③卵管疎通性検査
卵管は精子の通り道となる場所です。
ここの通り道に問題がないか、子宮卵管エコーなどを使って検査します。
④超音波検査
卵子を保護する役割を持つ「卵胞」の成熟具合や子宮内膜の厚さを検査します。
⑤子宮頸癌細胞診・クラミジア抗原検査
子宮頸癌やクラミジアといった妊娠を妨げる病気になっていないかどうかを確認します。
⑥抗精子抗体検査
精子を攻撃する抗体を持っているかどうか検査します。
⑦AMH
AMH抗ミュラー管ホルモンとは、発育中の卵胞から分泌されるホルモンです。
AMHの状態を見ることでどのくらいの卵胞が発育するか、卵巣の反応を予測することができます。
一方、男性側が主に行うのは精液検査です。
2~3日の禁欲期間を経て採取した精液を検査し、精子の数や質、動きに問題がないかを確認します。
参考元:不妊症の治療方法
STEP2:タイミング療法
タイミング療法とは、排卵日を推測し、最も妊娠しやすいタイミングに合わせて性交する方法です。
- 半年以上、定期的に性交しているのに妊娠していない
- 女性の卵管に異常がない
- 男性の精子の数や運動率に異常がない
- 指示した日に性交できる
といった条件がありますが、病院で行うタイミング療法は自分で行う排卵予測よりも精度が高く、より効果的なタイミングを狙うことができます。
なお、タイミング療法には次の4つの種類があります。
- 【完全自然排卵周期】排卵に薬を一切使用せずに行う。
- 【排卵誘発】卵胞発育を促して排卵の確率を高めて行う。
- 【LHサージ誘起】成熟した卵胞を排卵させて行う。hCG注射などを使用する。
- 【黄体補充療法】妊娠率を左右する黄体を補って行う。
参考元:タイミング療法について
STEP3:人工授精
「人工授精(AIH)」とは、女性がもっとも妊娠しやすい排卵日に合わせ、洗浄・濃縮した精子を子宮の中に直接注入する方法のことを指します。
自然妊娠との違いは、「精子が入る場所」です。
自然妊娠の場合、精子は膣に注がれてから子宮に向かうというプロセスをたどりますが、人工授精の場合、精子が直接子宮に注がれるため、精子と卵子が出会って着床する確率が上がります。
人工授精が向いている人の傾向として、
- 精子減少症や精子無力症など精子に障害がある
- 性交障害がある
- 精子の進入障害がある
- タイミング療法を6周期以上行っても妊娠しない
- 体外受精を行うことに抵抗がある
などがあります。
参考元:人工授精(AIH)とは?
STEP4:生殖補助医療(ART)
タイミング療法や人工授精に対して、より進歩した不妊治療である生殖補助医療(ART)には、以下のような種類があります。
①体外受精・胚移植(IVF-ET)
体外受精・胚移植とは、女性の卵子を取り出し、人工的に精子を受精させて作った受精卵(胚)を子宮に戻す方法のことです。
当初は、卵管に何かしらの障害がある場合の不妊治療として用いられてきましたが、最近では卵管障害が原因ではない方の治療法としても使われています。
②顕微授精(卵細胞質内精子注入法、ICSI)
顕微鏡を使って卵子の中に精子を1匹だけ入れ、人工的に受精させる方法です。
③凍結胚・融解移植
体外受精を行った際に得られた胚(受精卵の成長が始まったもの)を凍らせて残しておき、その胚を解凍して移植する方法を指します。
参考元:不妊症の治療方法は?
不妊症の基本的な治療ステップ(医薬品編)
ここでは、セルフ治療に必要な「医薬品」についてご紹介します。
すでにブライダルチェックなどの検査を受けたことがある方、もしくはED(勃起障害)など明らかな症状が出ている方は要チェックです。
黄体機能不全の治療薬を使用する
女性の黄体は、黄体ホルモンを分泌して、子宮内膜を厚くするなどして妊娠に備える重要な役割を持つため、その状態がよくないと妊娠が難しいといわれています。
「黄体の状態がよくない状態」とは、具体的には生理不順、無月経などです。
これに対して効果的な医薬品としては、デュファストンなどの黄体ホルモン剤が挙げられます。
黄体ホルモンを補う薬であり、黄体ホルモンのバランスを整えたり排卵を誘発したりする効果があります。
生理不順や無月経といった症状がある方は、こうした黄体機能不全に効果的な医薬品を服用し、規則正しい月経周期を目指すとよいでしょう。
参考元:デュファストン添付文書情報
排卵誘発剤を使用する
月経周期が28日の場合、生理が始まった日から計算して2週間後に排卵が行われます。
しかし、この「排卵」は目に見えてわかるものではないため、「実は無排卵だった」というケースもあります。
こうした排卵の有無を確かめるには、病院での検査のほか、排卵検査薬などが有効です。
そしてその結果、「排卵していない」ということが分かった場合、クロミッドなどの排卵誘発剤を使用したうえでタイミング療法を行うのが効果的です。
ちなみに、クロミッドは排卵の誘発に役立つだけでなく、排卵数の増加や月経周期の安定にも効果がある医薬品です。
すでに無排卵だと診断されたことがある方、また排卵数が少ないということがわかっている方におすすめです。
参考元:クロミッドの効果は?
男性の機能不全が原因の場合
男性側の機能不全、つまり勃起不全(ED)や膣内射精障害を抱えている場合は、ED治療薬などを服用し、機能不全の治療を行う必要があります。
代表的な医薬品にバイアグラ、レビトラ、シアリスなどがあります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
- バイアグラ…知名度が高いED治療薬。30分~1時間で効果が出て4~5時間ほど持続する。
- レビトラ…効果が現れるまでの時間が15~30分と即効性が高く、5~10時間ほど持続する。
- シアリス…効果が現れるまでの時間は1時間程度で、12~36時間と長時間に渡って持続する。
精力剤や精子増強のサプリメント
亜鉛、カルニチン、アルギニンなどの成分を含む精力剤や精子増強のサプリメントを使うことで、男性不妊症を解消できる場合があります。
- 男性機能に問題はない(EDや膣内射精障害ではない)
- 女性側にも問題はない
そのような場合には、精力を高め、男性機能を向上させる効果が見込めるサプリがおすすめです。
排卵誘発剤は通販で購入することができます!また男性機能不全の改善ができるED治療薬も通販で購入することができます!
まとめ
このページでは不妊症の治療についてまとめてみましたが、いかがでしょうか。
病院でできる治療には「医師のしっかりしたサポートを受けられる」といったメリットがある一方で、「費用がかかる」というデメリットがあります。
また、セルフ治療には「費用が安い」といったメリットがある反面、「主治医がいないため効果的な治療を進めるのが難しい場合がある」といったデメリットがあります。
どちらを選ぶかは自分次第ですが、重要なのは「原因の特定」です。
セルフ治療を選ぶ場合も一度は検査に行くようにし、自分の状態に適した医薬品を選ぶようにしましょう。