薄毛の種類でAGAかどうかがわかる?各種の特徴や原因、治療方法を解説

薄毛の種類でAGAかどうかがわかる?各種の特徴や原因、治療方法を解説最近、鏡を見るたびに髪の毛が薄くなってきたと感じる人も少なくないでしょう。
頭頂部や生え際の後退が気になり始めたとき、それはただの年齢による変化なのか、それとも何か別の原因があるのではないかと心配になるのではないでしょうか。
薄毛の背景にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や原因がありますが、AGA(男性型脱毛症)は特に注意が必要です。
 
そこでこの記事では、薄毛の種類とAGAの関係、一般的な薄毛の分類や進行度合い、さらにAGAの治療方法について詳しく解説します。
薄毛に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

 

薄毛の種類とAGAの関係

薄毛といってもさまざまな種類がありますが、特に男性に多いのがAGAです。
ここでは、AGAとそのほかの薄毛・脱毛の種類について、その特徴や判断のポイントを解説します。

 

髪が薄くなってきていると感じたらAGAを疑うべき

髪が薄くなってきたらまずはAGAを疑いましょう。
AGAとは、男性ホルモンであるDHAと受容体が結合することで髪の成長を阻害させてしまう脱毛症のことです。
AGAは、生え際や後頭部の髪が薄くなるという特徴があります。
 
ただし、薄毛の進行具合や形状だけでAGAかどうか判断はできません。
なかにはAGAと無関係な理由で髪が薄くなっている可能性も考えられます。
正確に判別するには自己判断を避け、医師に診断してもらうことが大切です。

 

AGAではない薄毛・脱毛の種類

AGAとは異なる原因で起こる代表的な薄毛・脱毛症は、以下の2つがあります。

  • 円形脱毛症
  • 脂漏性皮膚炎による脱毛症

円形脱毛症は、自己免疫の異常によって毛包がダメージを受け、軽症の場合「円形状」に毛が抜け落ちる病気です。
その特徴的な薄毛の特徴からAGAとの見分けは容易でしょう。
 
脂漏性皮膚炎による脱毛症は、過剰な皮脂分泌が毛穴を詰まらせ、毛が抜けやすくなる病気のことです。
脂漏性脱毛症という疾患は認められていません。
脂漏性皮膚炎による脱毛症は、薄毛の進行具合がAGAと類似しているため、判別が難しい場合があります。
そのため、頭皮にフケが多い、ベタつき、痒み、湿疹などの症状があれば、脂漏性皮膚炎の可能性があるでしょう。

 

一般的な薄毛の種類

薄毛には、その形状からいくつかの種類があります。一般的には以下の3つがよく知られています。

  • M型脱毛症(M字薄毛)
  • O型脱毛症(O字薄毛)
  • 複合型脱毛症(U字薄毛)

これらは頭頂部や前頭部での薄毛・脱毛の程度や範囲から命名された分類法です。
ここでは、それぞれの薄毛の特徴について解説します。

参考元:ハゲ方の種類は大きく3つ!それぞれの原因と特徴について徹底解説

 

M型脱毛症(M字薄毛)

M型脱毛症は、前頭部の生え際からM字型に薄毛が進行するパターンです。
このM字型の範囲で抜け毛や薄毛が目立つようになることから、「M字薄毛」と呼ばれています。
M型脱毛症は、AGAであることが多いです。
AGAによるM型脱毛症は徐々に進行していくという特徴があります。
 
ほかにも「牽引性脱毛症」である可能性も考えられます。
牽引性脱毛症は、髪をうしろで束ねている人に起こりやすく、引っ張られている箇所(生え際)が血行不良を起こしM型脱毛症を発症するという仕組みです。
また、M型脱毛症は鏡で確認できるため、早い段階で症状に気づけるでしょう。

 

O型脱毛症(O字薄毛)

O型脱毛症は、頭頂部がO字の形で薄くなるパターンで、「O字薄毛」「つむじ薄毛」とも呼ばれています。
O型脱毛症は、鏡での確認が難しく、進行してから自覚することが多いため、早期の治療が難しいことが特徴です。
O型脱毛症もAGAが原因である可能性があります。
ほかにもストレスや頭皮環境の悪化なども考えられるでしょう。

 

複合型脱毛症(U字薄毛)

複合型脱毛症はM型脱毛症とO型脱毛症が同時に進行するパターンです。
後頭部と頭の横の部分しか髪が生えておらず上から見るとUの形をしていることから「U字薄毛」とも呼ばれています。
複合型脱毛症は、ホルモンバランスの乱れにより引き起こすAGAが原因である可能性があります。
 
ほかにも、生活習慣の乱れや誤った頭皮ケアなどが原因の可能性もあるでしょう。
複合型脱毛症は、放置しておくと症状が進み薄毛が広範囲となるため、早めに対処することが大切です。

 

薄毛の進行度合いを表す種類・分類(ハミルトン・ノーウッド分類)

薄毛の程度を表す分類法は、ハミルトン・ノーウッド分類が代表的です。
これは頭頂部から前頭部にかけての薄毛の広がり具合で以下の9パターンに分類しています。

分類特徴
Ⅰ型・AGAの初期段階で、M字型の生え際がわずかに後退し始める段階

・顕著な変化は少なく、見た目の変化もほとんど現れていない

Ⅱ型・Ⅰ型から進行し、M字型の切れ込みが深くなることで、生え際の薄毛が目立ち始め、見た目にも変化が現れる段階

・まだ局所的な薄毛にとどまっている

Ⅱ vertex型・Ⅱ vertex型はⅡ型に加えて、頭頂部にO型脱毛症の薄毛が現れるタイプ

・つむじ周りを中心とした頭頂部が薄毛になっている

Ⅲ型・Ⅱ型からさらに進行し、M字型の切れ込みがより深くなるとともに、前頭部全体の薄毛も顕著に進行している段階

・一般的なM型脱毛症やU形脱毛症はⅢ型にあたる

Ⅲ vertex型・Ⅲ型のM型脱毛症と前頭部の薄毛にO型脱毛症が加わったタイプ

・頭皮が透けて見えるようになり始める

Ⅳ型・Ⅲ型よりも薄毛が進行し、前頭部の生え際がさらに後退した段階

・AGAが進行しており頭頂部と前頭部の薄毛がさらに広範囲に広がる

Ⅴ型・頭頂部と前頭部の広範囲の薄毛に加え、残存髪もかなり薄くなっている段階
Ⅵ型・ほとんどの髪が抜け落ち、わずかに前頭部と頭側部に残存髪がある段階
Ⅶ型・ほぼすべての毛髪が抜け落ちた段階

参考元:あなたの薄毛(ハゲ)はどのタイプ? AGAの種類について知ろう

 

AGAの治療方法

AGAの治療方法には、薬や手術などがあります。
ここでは、それぞれの治療法について解説します。

 

薄毛の進行を抑制する治療薬を使う

AGAの治療には、まず薄毛の進行を食い止めることが重要です。
そのための代表的な治療薬が、デュタステリド内服薬とフィナステリド内服薬です。
デュタステリドは、DHT生成を抑制する5αリダクターゼを強力に阻害する作用があります。
強いAGA改善効果が見込める強力な薬です。
ただし、性機能障害や肝障害などの副作用リスクもあるため、適切に服用することが欠かせません。
また、妊活中の男性にはお勧めしていません。
デュタス内服薬としては「ザガーロ」「デュタス(カプセル)」などがあります。
 
フィナステリドはDHT生成を抑制する5αリダクターゼII型のみを阻害します。
デュタステリドほど強力ではないものの、AGAの進行を止めて改善する効果で人気となっています。
ただし、性機能障害といった副作用があり個人差が大きいのが難点です。
こうした副作用の可能性には注意する必要があります。
フィナステリド内服薬としては「プロペシア」や「フィンペシア」などが有名です。
これらの治療薬との相性には個人差があるため、自身に合ったものを選ぶことも大切です。

 

発毛を促す治療薬を使う

AGAの治療では、薄毛の進行抑制のみならず、脱毛した部位への新しい髪の育毛が重要になります。
そのための発毛を促す代表的な薬がミノキシジルです。
ミノキシジルには外用薬と内服薬の2種類があります。
外用薬は液剤や発泡剤の形状で、頭皮に直接塗布することで毛根に働きかけ、新たな毛髪の発毛を促進する効果が見込めるでしょう。
 
一方、「ミノキシジルタブレット」などのミノキシジル内服薬は、血液を通じて活性型の成分が毛乳頭に到達し、より直接的に発毛を促す働きがあるとされています。
ただし国内では未承認のため、手に入れるのに手間がかかるというデメリットもあります。
また、ミノキシジルは発毛促進に有効な治療薬ですが、頭皮の痒みや赤みなどの副作用にも注意が必要です。
こちらもデュタステリドなどと同様に適切な投与量や副作用対策が必要です。

 

生えている毛を生えていない部分に移す

AGAの治療法として、自身の髪を植毛する「自毛植毛術」もあります。
この手術は、生えている毛を植毛したい部分に移植する治療です。
生着率が高いことから薄毛対策に有効とされています。
 
自毛植毛術のメリットは、自身の毛髪を利用するため、抜け毛やアレルギー反応のリスクが低いことです。
ただし合併症のリスクや生着せずに抜け落ちるリスクもあることから術後の経過観察が欠かせません。
手術の痕が目立たないよう、術前にカウンセリングを十分に受けることも大切となります。
また、ほかにも費用が高額になりやすいことや施術に痛みを伴うといった注意点があるため、これらを考慮したうえで実施するか決めましょう。

 

AGAの治療方法はクリニックで医師と相談することが大切

医者に相談する男性AGAの治療法には薬物療法や自毛植毛術などがありますが、いずれを選択するかは個人の状況によって異なります。
そのため、専門のクリニックを受診して医師に詳しく相談することが何より重要です。
医師は症状の進行度や髪の状態、全身状態などを総合的に判断し、最適な治療法を提案してくれます。
場合によっては複数の治療を組み合わせることもあるでしょう。
 
また、早期発見・早期治療がAGAの治療で最も重要です。
初期段階ほど治療の選択肢が多く、よりよい効果が期待できます。
自覚症状が出た時点ですぐに専門家に相談し、適切な指導を仰ぐことをおすすめします。
円形脱毛症や脂漏性皮膚炎による脱毛症は保険診療の適応となりますので信頼できる専門医への受診をお勧めします。

 

まとめ

薄毛には種類があり、その形状からM型脱毛症、O型脱毛症、複合型脱毛症と分けられています。
薄毛の原因はAGAや過度なストレス、食生活の乱れなどさまざまです。
また、ハミルトン・ノーウッド分類という薄毛の進行度でI型からVII型まで9段階に分類する方法があります。
この分類法により、薄毛の進行過程を客観的に把握できるため、治療法の選択にも役立つでしょう。
 
AGAの治療法として、薄毛進行抑制薬、発毛促進薬、自毛植毛術などがあります。
いずれにせよ医師とよく相談したうえで対策を立てることが欠かせません。

 

監修者情報

大山香子先生

  • 医師

    大山香子

  • 所属・資格等

    新中野皮膚科クリニックなべよこ院 院長

  • 経歴

    日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。 日本皮膚科学会,日本美容皮膚科学会,日本アレルギー学会所属 東京医科大学病院皮膚科兼任助教,Bio Touch JAPAN顧問医師 東京医科大学卒業後,東京医科大学病院皮膚科へ勤務し皮膚科,美容皮膚科の経験を積んでいる。現在は主に新中野皮膚科クリニックなべよこ院院長として皮膚科,美容皮膚科,アレルギー科診療に携わる傍ら,美容医療に関する記事の監修を行なっております。