アジーで淋病は治らない?淋菌には効かない理由と性感染症治療の最前線

アジーで淋病は治らない?淋菌には効かない理由と性感染症治療の最前線実は現在、アジーは淋病の治療に使えませんが、SNSなどを見ると『淋病はジスロマック(アジーの先発薬)を飲めば治る』などの書き込みもあり、イイネをしている人も……。
クラミジアや淋病といった性感染症は誰にでも起こりうる身近な性感染症ですが、誤った情報に振り回されてしまうケースも多いようです。

こちらのページでは、淋病にアジーが効かない理由や、淋病の正しい治療方法についてまとめています。

アジーが淋病に効かない理由とは?

アジ―箱かつて、アジーは淋病(淋菌性尿道炎や咽頭淋病)の治療に使用されていました。
アジーの有効成分アジスロマイシンには、細菌のタンパク質合成を阻害し、増殖を防いで死滅させる働きがあり、淋菌にも有効であるとされていたのです。

しかし現在、状況が大きく変わり、淋病を治療するためにアジーが使われることはありません。
というのも、アジスロマイシンに対する耐性を持つ淋菌が生まれて多数を占めつつあり、アジーを飲んでも効かないようになってしまったのです……。
淋菌の分野ではこのような薬剤耐性菌の進化が著しく、今ではアジスロマイシン以外の成分にも耐性を持つ「スーパー淋菌」も登場しています。

飲み方を変えても効果なし?淋菌治療にアジーを使うべきではない理由

アジーに対する耐性を持った淋菌には、アジーをどのような飲み方をしても効果は得られません。

たとえば、量を増やしたとしても意味がありません。
かつてはアジスロマイシン2000mgの1回服用で効果を発揮していましたが、現在はそれ以上のアジスロマイシンを飲んでも、飲む回数を増やしても、淋病を治療できなくなっています。

そのため、性感染症らしき症状があるときに自己判断は厳禁!
必ず病院を受診し、医師の診察を受けましょう。

アジーでは治療できない淋病も今は注射なら短期間で治療できる

注射淋病は、アジーでは治療できない……だからといって、治療の方法がないわけではありません!
短時間の注射・点滴で治療が可能となっています。

アジスロマイシンは効かなくなっているものの、セフィム系のセフトリアキソン(ロセフィン)や、アミノグリコシド系のスペクチノマイシン(トロビシン)は有効です。

淋菌性尿道炎【第一選択】セフトリアキソン1gの点滴1回
【第二選択】スペクチノマイシン2gの筋肉注射1回
咽頭淋病セフトリアキソン1gの点滴1回

筋肉注射にかかる時間は1分程度、点滴の場合も30分もあれば終わります。
1回だけ点滴・注射をすれば済んでしまうのもポイントです。

治療から2~3週間後には再検査を受けて効果を確かめる必要がありますが、それを含めても短期間で治療を終えることができます。

ただし、再検査で陽性となった場合、さらに治療を継続する必要がある点には注意しましょう。

参考元:淋病 について|症状・検査・治療など| 吉祥寺まいにちクリニック 内科・皮膚科・泌尿器科

性行為はいつから再開できる?再感染を防ぐために守るべきこと

パートナー淋病の治療後、性行為が可能になるのは完治を確認してからです。
再検査で陰性が確認され、初めて完治となって性行為が再開できるので、それまでは我慢しましょう。

なお、いったん淋病が完治したとしても、パートナーが未治療であれば再感染のリスクがあります。
感染症の中には、いったん治れば免疫ができて二度とかからないものもありますが、淋病は免疫ができないため、何度でも感染してしまうのです……。

というわけで、パートナーと同時に治療することが欠かせません。

淋病と併発することもある性感染症の「クラミジア」には効果はある?

医者アジーは、淋病と併発するケースが多いクラミジアに対して高い効果を示します。
そのため、クラミジアの治療としてアジーを活用することは可能です。

ただし、淋病とクラミジアを併発している場合、アジー単体では完治しません。
かつてはアジー1発で同時に治療することも可能でしたが、現在はセフトリアキソンの点滴とアジーの内服を並行することでそれぞれに対処する必要があります。

「自己判断」は禁物!アジーの限界と淋病に必要な一手

ここまで紹介してきた内容をまとめてみましょう。

  • アジーは淋病の治療には使えない
  • 淋病治療は他の抗生物質を使った注射や点滴で行われる
  • 淋病と併発するクラミジアに対しては、アジーが有効

アジーは以前、淋病の治療にも使われていましたが、現在は耐性菌の登場によって治療に用いられることはありません。
現在、淋病の治療にはセフトリアキソンの点滴ロセフィンの注射がいちばんの選択肢となっています。

しかしながら、アジーはクラミジアの治療には高い効果が認められているため、今でもクラミジアの治療には用いられます。淋病とクラミジアを併発したときなど、選択肢のひとつとなります。