数多くの種類がある痛み止めの違いは?適切な痛み止めの選び方を紹介
さまざまな場面で役立ってくれる治療薬のひとつが痛み止めです。
痛みにはさまざまなものがあり、日常的にその痛みを感じるという人も少なくありませんし、急に大きな痛みに襲われるといった場合もあるでしょう。
そうした時に、痛み止めがあればスムーズに痛みを抑えて日常生活を円滑に進めることができるでしょう。
我慢ができる程度の痛みであれば問題ないかもしれませんが、痛みがどうしても気になってしまうと何にも集中できずに生活の質が低下してしまうことは否めません。
ですが、痛み止めと一口にいっても、その種類は多岐に渡ります。
そこで、こちらのページではさまざまな種類がある痛み止めについてそれぞれの違いや適切な選び方について紹介していきますので、是非お役立てください。
痛み止めはどれがいい?
痛み止めにはさまざまな種類がありますが、どの痛み止めを選ぶのが良いのでしょうか?
いろいろな種類があるため、どれを選べばいいのか分からないというケースは珍しくありません。
痛み止めは、痛みの種類や痛みが起きている原因によって使い分ける必要があります。
逆に言えば原因に対して効果を発揮しない痛み止めを選んで服用しても、全く効果を得られないため、痛みが治まることはなく苦しみ続けることになってしまいます。
そのため、適切な痛み止めを選ぶには、まず痛みの原因を把握するということが重要になります。
そこで、次からは痛みの原因について紹介していきたいと思います。
痛みの原因を把握する
適切な痛み止めを選ぶ上で必要不可欠な痛みの原因を把握するには、何よりもまず痛みにはどのような原因があるのかを知ることが重要です。
ここからは代表的な痛みの原因である
- 侵害受容性疼痛
- 神経障害性疼痛
- 心因性疼痛
という、みっつの痛みについて詳しく紹介していきたいと思います。
侵害受容性疼痛
痛みの種類にはいろいろありますが、普段、私たちが生活していく中で最も多い種類の痛みが「侵害受容性疼痛」です。
これは体の外部や内部が怪我をすることで発生する痛みになります。
例えば
- 切り傷
- 骨折
- 火傷
- 打撲
といったケガをしてしまった場合、怪我した部位で痛みを引き起こす物質のプロスタグランジンが作られます。
このプロスタグランジンは、作られるだけでは痛みが発生するというわけではありません。
侵害受容器と呼ばれる部位でキャッチされることで、痛みを引き起こします。
この侵害受容器というのはいわゆるセンサー的な役割をする部位で、何かしらの障害が体に加えられると痛みを引き起こす物質をキャッチして伝えるわけです。
そのため、自身の体をつねったりして痛いと感じるのもこの種類の痛みとなります。
参考元:疼痛.jp
神経障害性疼痛
次に紹介するのは「神経障害性疼痛」です。
神経障害性疼痛にはいくつかの原因があり、その原因というのは下記の3種
- 神経圧迫
- 神経損傷
- 信号の処理異常や妨害
神経圧迫は椎間板ヘルニアなどが代表的なもので何かしらの原因によって、神経が圧迫されることで痛みがあらわれます。
同様に神経の損傷も糖尿病や帯状疱疹などが原因となって神経に損傷をきたすことで痛みを感じます。
最後の信号の処理異常や妨害はいわゆる幻肢痛や帯状疱疹後神経痛と呼ばれるような痛みで、これらの痛みは信号の処理に異常が起きたり妨害されることであらわれます。
どの痛みも、基本的には神経系に何かしらの問題が起きることで発生する痛みで、灼熱痛やチクチクといった痛みを感じたり、軽く触れられるだけで痛みを感じたりします。
参考元:MSDマニュアル
心因性疼痛
最後に紹介するのは「心因性疼痛」です。
こちらは、痛みの原因となる病気が見つからないような場合に分類されます。
MRIなどの検査を行っても原因が分からないのに痛みが起きてしまっている状態です。
この痛みを引き起こしている原因は検査で見つけられなかった病気であったりする場合もありますが、強いストレスや不安などの心理状態が原因となっている場合があるとも考えられています。
これらの心理状態と向き合うのを無意識の内に避けてしまっており、それが体に痛みを引き起こすとされています。
こうした心因性疼痛の原因は精神的な部分が非常に大きい場合もあるため、他の痛みとは違った対処が必要になってくるという点には注意が必要です。
参考元:ヒロクリニック
痛みは慢性化してしまう
痛みには、怪我などが起きた場合にすぐに痛みがあらわれる「急性痛」の他に、長期間にわたって痛みに悩まされる「慢性痛」があります。
急性痛は外傷などの怪我が最たる原因となるため、一過性の痛みというケースが多く、怪我を治療することで次第に痛みの方もひいていきます。
一方で慢性痛は、原因となる怪我を治療しても一カ月近く痛みが続くような場合に該当します。
基本的に、急性の痛みがあらわれた時には適切な治療を行いますが、何かしらの理由で急性の痛みに対して治療しなかったり放置してしまった場合、痛みに長く晒される形になってしまい、痛みを抑える役割をしていた神経の力が弱まってしまいます。
その結果、怪我が治った後も痛みが慢性化してしまう可能性があるため、急性の痛みがあらわれたという場合には、適切に治療を行うことが必要不可欠となっています。
痛みに応じた適切な対処法
痛みには3つの種類があるというのはここまで紹介してきました。
そして、急性の痛みは放置してしまうと、慢性化してしまう可能性があるとも紹介してきました。
では、それぞれの痛みがあらわれた場合には、どのように対処すればよいのでしょうか?ここからは、それぞれの痛みに対して、適切な対処法について詳しく紹介していきたいと思います。
適切な対処法を把握しておくことで、発生している痛みを抑えて改善するといったことが可能になるため、是非覚えておくようにしましょう。
侵害受容性疼痛の対処法
怪我などの外傷などで起きる「侵害受容性疼痛」の対処法として、最も基本的なのは痛み止めの服用です。
痛み止めを服用することで痛みを抑えられるケースは多いため、非常に有効です。
ですが、痛みが出てすぐに痛み止めがないという場合もあります。
そんな時は、痛みが発生する原因となった怪我について対処する必要があります。
打ち身や火傷などに対しては患部を冷やすことで和らぎます。また、慢性痛の場合は冷やすのではなく温めて血行を良くすることで改善したりします。
痛み止めを用いずに対処する場合、侵害受容性疼痛の中でも痛みの種類によって適切な対処が違っているため、痛みの種類を適切に把握して対処することが重要です。
神経障害性疼痛の対処法
次に神経障害性疼痛への対処法を紹介していきます。
この神経障害性疼痛の対処法としては
- 痛み止めの使用
- 手術
- 神経ブロック
- 理学療法や作業療法
といったものがあります。
神経が圧迫されて痛みがある場合には、物理的に圧迫を取り除ける手術は非常に有効な対処法といえます。
また、痛みの信号を伝える神経回路を麻酔薬などで遮断して痛みの信号を伝えないようにすることで対処する神経ブロックも有効な対処法といえます。
理学療法や作業療法は痛みのある部分の筋委縮を予防したり、痛みに対する感受性を下げるといった効果に期待できます。
こちらの痛みの対処法は侵害受容性疼痛とは違って、痛み止めを飲めば終わりといったケースは少なく、基本的は病院などで検査を受けながら適切に対処していくことが重要になります。
心因性疼痛の対処法
最後に紹介するのは心因性疼痛への対処法です。
こちらの心因性疼痛の対処法も基本は痛み止めの使用となります。ですが、痛み止めの服用以外にも、痛みの原因となっている部分を対処することでも改善が見込めます。
心因性疼痛の原因となるストレスの元を排除することで痛みが起きなくなったり、ストレスがかかった場合でも、ストレスとの向き合い方を変えることができたりすることで、痛みが緩和されたりする場合があります。
こうした、精神的な問題に関しては自分一人でどうにかできる場合もあれば、できない場合もあります。
そのため、病院などで専門医に相談するなどして適切な対処を行うことが心因性疼痛の最適な対処法となります。
痛み止めの種類
痛みの種類や種類ごとの対処法について把握した上で、最後に把握しておくべきことが「痛み止めの種類」です。
痛み止めと一口にいっても、その種類は多岐に渡っており、それぞれの痛み止めでどのような痛みに対して効果的であるのかといったことが違っています。
また、効果や副作用が強いといったものもあるため、適切な痛み止めを選んで使用することが痛みに対処する上でとても重要です。
そこで、ここからは痛み止めの種類についてそれぞれ詳しいく紹介していきたいと思います。
非ステロイド消炎鎮痛薬
最初に紹介する痛み止めはこちらの「非ステロイド消炎鎮痛薬」です。
こちらはNSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)とも呼ばれる種類の痛み止めで、一般的な消炎鎮痛剤の総称となっています。
基本的にはステロイド薬やオピオイド鎮痛薬に属さない抗炎症薬を含むと考えて問題ありません。
多くの鎮痛薬がシクロオキシゲナーゼを阻害することで、炎症などを引き起こす物質であるプロスタグランジンの合成を抑制して炎症を抑えて痛みを鎮めます。
こちらの非ステロイド消炎鎮痛薬は病院で処方してもらえるほか、ドラッグストアなどでも市販されています。
副腎皮質ホルモン薬
次に紹介するのが「副腎皮質ホルモン薬」です。
こちらは、いわゆるステロイド薬と呼ばれるもので、このステロイドは細胞の中に入り込み受容体と結びつくことで、炎症を引き起こすサイトカインの転写を抑制します。
これによって、サイトカインが作られるのを抑えて炎症を抑制することで、炎症が原因となる痛みを改善します。
副腎皮質ホルモン薬のステロイドにはさまざまな種類があります。そしてそれぞれで強さが異なっています。
強い効果を持つステロイドの方が痛み止めの効果も高くなりますが、副作用などのリスクも高くなるため専門家の管理が必要となる点には注意が必要です。
オピオイド鎮痛薬
数ある痛み止めの中でも特に高い効果を持つとされるのがこちらの「オピオイド鎮痛薬」です。
このオピオイド鎮痛薬は「麻薬性鎮痛薬」とも呼ばれ、中枢神経や末梢神経にあるオピオイド受容体と結びつきます。
オピオイド受容体は痛みの抑制系を亢進するため、この鎮痛薬を使用することで痛みを抑えて改善します。
麻薬性鎮痛薬と呼ばれることから、一般的にいわれる麻薬と同じものと考える方もいますが、一般的に使われる麻薬はオピオイド受容体に作用しないものもあります。
カルシウムチャネル阻害薬
上記以外にも、痛み止めには「カルシウムチャネル阻害薬」があります。
こちらは有効成分が、カルシウムイオンが細胞へと入り込む部位であるカルシウムチャネルを遮断することで、細胞内への流入を防ぎます。
これによって、血管が収縮してしまうのを抑える作用があります。
頭痛は、こうした血管が収縮した後の拡張によって起きるとされており、収縮と拡張の差を小さくすることで、頭痛などがあらわれるのを予防します。
選択的セロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬
痛み止めの中には、本来痛み止めとして使われていないものが用いられる時もあります。
例えば「選択的セロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬(SSRI)」があります。
こちらは、いわゆる抗うつ薬として幅広く認知されている治療薬ですが、神経細胞の興奮を抑える効果によって痛みを和らげる効果も期待されています。
そのため、神経障害性痛などに対して幅広く利用されています。
アセトアミノフェン
痛み止めの中には手軽に手に入る種類のものもあります。
それが「アセトアミノフェン」です。いわゆる消炎鎮痛剤の一種で、薬局やドラッグストアなどでも手に入れることが可能です。
こちらはアセトアミノフェンは、痛みの原因物質であるプロスタグランジンをつくる酵素の「シクロオキシゲナーゼ」の働きを阻害します。
これによって、痛みの原因物質の合成を抑制して痛みを改善へと導きます。
また、末梢血管を拡張することで体温を下げる作用を発揮します。
漢方薬
最後に紹介する痛み止めは「漢方薬」です。
漢方薬はさまざまな天然由来の生薬を配合した治療薬であり、西洋医学とは全く違った考え方で症状を改善へと導きます。
漢方薬は市販されているもののほか、医師から処方してもらえるものもあり、それぞれで効果に違いがあります。
この漢方薬の効果については服用する人によって個人差があるため、大きな効果を実感できる人もいれば、逆にあまり効果を感じれないという人もいたりします。
また、漢方薬は天然由来の生薬が有効成分となっているため、副作用リスクが少ないという特徴もあります。
【症状別】痛み止めの選び方
ここまで、さまざまな痛み止めの種類について紹介してきました。
痛み止めについての多少なりとも理解できたところで、どういった痛みにはどういった痛み止めが有効であるのかを把握していきましょう。
そうすることでそれぞれの痛みの種類ごとに適した痛み止めを選んで効果的に痛みを解消へと導くことが可能となります。
適当に選んで使って効果を実感できる場合もありますが、適切に使うことで副作用なども最小限に抑えることが可能です。
頭痛
いろいろな痛みの中でも非常に多くの人が実感したことがある痛みのひとつが「頭痛」です。
偏頭痛持ちという方もいれば、稀に頭痛が出たりという人もいます。
この頭痛に対して効果的な痛み止めは「非ステロイド消炎鎮痛薬」、「アセトアミノフェン」です。
代表的なものとして、ロキソプロフェンやイブプロフェン、アセトアミノフェンがあります。
こちらは市販されている痛み止めでも効果的に痛みを改善へと導くことが可能となっています。
生理痛
女性であれば、誰しもが経験する痛みが「生理痛」です。
生理痛には個人差があり、軽い人であれば全く気にならないほどだったりしますが、酷い人の場合は日常生活に支障が出るほどの痛みだったりします。
ですが、そんな生理痛も痛み止めで痛みを和らげたり改善して、辛い時間を軽減することが可能です。
生理痛に対して効果的な痛み止めは頭痛と同じ「非ステロイド消炎鎮痛薬」、「アセトアミノフェン」となっており、ロキソプロフェンやイブプロフェン、アセトアミノフェンが効果的です。
関節痛
運動をされる方や年齢を重ねると起こりやすい痛みの代表として「関節痛」があります。
関節痛の原因となっているのは、関節の周辺や関節内部が炎症を引き起こしていることで起きます。
そのため、消炎鎮痛作用を持った「非ステロイド消炎鎮痛薬」や「アセトアミノフェン」であるロキソプロフェンやアセトアミノフェン、アルミロプロフェンが痛み止めとして非常に効果的です。
また、関節痛の原因として関節の軟骨がすり減ることでも起きるため、早期に予防をすることが効果的です。
歯痛
急に来る痛みでありながら、痛みを我慢することも難しかったりするのが「歯痛」があります。
歯の痛みに対して有効な痛み止めも、既に紹介してきている「非ステロイド消炎鎮痛薬」や「アセトアミノフェン」になります。
ロキソプロフェンやイブプロフェン、アセトアミノフェンを服用することで痛みを軽減したり改善することが可能です。
ただし、痛みの度合いなどによっては大きな効果に期待できない場合もあります。
腰痛
最後に紹介する痛みの種類は「腰痛」です。
腰痛の原因はさまざまですが、代表的なものとして椎間板ヘルニアなどがあげられます。
腰痛の痛みを抑えるのに役立つ痛み止めは「非ステロイド性消炎鎮痛薬」です。
腰痛の場合はアルミロプロフェンを配合した内服薬や外用薬が効果的に痛みを和らげ改善してくれます。
アルミロプロフェンは胃への負担も小さいため、胃などへの副作用のリスクも小さくなっているという特徴があります。
まとめ
こちらのページでは色々な種類がある痛み止めについて紹介してきました。
痛みに対して高い効果を発揮する痛み止めですが、それぞれの痛みに対して適切な種類のものを選んで利用することはとても重要です。
頭痛、腰痛、歯痛など日常生活の中で、昨日までは全く問題がなかったのに急に強く痛み始めるといったことも珍しくありません。
ですが、適切に痛み止めについて把握した上で、痛み止めを常備しておくことで急にあらわれた痛みも適切に対処することができるようになるので、是非お役立てください。
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