トリキュラーの服用でがんのリスクが上がるって本当?
トリキュラーは避妊やPMS改善などの効果が見込める薬ですが、「実はがんのリスクが上がる?」という噂もチラホラ聞かれます。
これは単なる噂なのでしょうか?それとも、医学的なエビデンスに基づいた事実なのでしょうか?
というわけで、こちらのページではトリキュラーとがんの関係について解説していきます。
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トリキュラーでがんのリスクは上がる?
結論からいうと、トリキュラーを服用することで、一部のがんはわずかにリスクが上がる可能性があります。
たとえば乳がんや子宮頸がんについて、「発症リスクがわずかながら高まる可能性がある」としている論文やクリニックの見解を見ることができます。
“上がる可能性がある”とは歯切れの悪い言い方になってしまいますが、実際のところトリキュラーを飲んだからといってすべての人が乳がんや子宮頸がんになるわけではありません。
『産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2023』(最新)では、ピルの服用による乳がん発症リスクを1.08倍としており、わずかながら可能性があるという程度です。
とはいえ、リスクはゼロではないため、トリキュラー服用中は乳がんや子宮頸がんの検診を受けましょう。
各がんの特徴とトリキュラーの関係性
ひとくちに「がん」といってもさまざまな種類がありますが、トリキュラーと関係があると考えられるのは、主に次の4種類です。
- 乳がん
- 子宮頸がん
- 子宮体がん
- 卵巣がん
そして、トリキュラーによって発症リスクが高まる可能性があると考えられるものがある一方で、逆に発症リスクを下げる効果が期待できるものもあります。
詳しく見ていきましょう!
「乳がん」とトリキュラー【リスク上昇の可能性】
乳がんは、乳房のしこり、へこみ、ただれなどが見られるもので、早期発見によって死亡率は下げることができますが、女性の11人に1人が罹患する可能性があるとされています。
そんな乳がんについて、トリキュラーがわずかながら発症リスクを上げる可能性があるとされています。
トリキュラーに含まれるエチニルエストラジオールが、乳腺組織におけるがん細胞の増殖をもたらす可能性があるといわれているのです。
ただし、乳がんの他の原因に比べると、トリキュラーを含むピルが引き金になる可能性は高くありません。
劇的にリスクが上がる!というものではないため、それほど神経質になりすぎる必要はなく、1~3年に1回の乳がん検診(※)を心がけていれば、万が一の場合も早期発見につながります。
(※40歳以上は毎年の検診推奨)
参考元:乳がんの原因と予防法
「子宮頸がん」とトリキュラー【リスク上昇の可能性】
子宮頸がんは、主にHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染によって引き起こされるがんで、感染経路は多くの場合、ウイルスを持つパートナーとの性行為です。
特に「16型」「18型」のHPVに感染すると、子宮頸がんのリスクが高まります。
そんな子宮頸がんについて、トリキュラーを含むピルが発症リスクを高めるというデータがあります。
というのも、ピルにはHPVの排除率を下げる性質があるためです。
実際のところ、ピルを飲んだ経験がある人は、そうでない人に比べて2倍のリスクがあるとされています。
ただし、HPVに感染しない限りトリキュラーが子宮頸がんを発症させることはないため、HPV感染を避けることが大切です。
性行為の際はコンドームを使うなど、感染を避けるための対策を徹底しましょう。
「子宮体がん」とトリキュラー【リスクを下げる】
子宮体がんは、女性ホルモンのエストロゲンが深くかかわるといわれているがんで、エストロゲン値が通常より高いために起こる子宮内膜増殖症が引き金となります。
エストロゲン値が高くなりがちな女性(50歳以上、肥満、糖尿病など)は特にリスクが高いといわれます。
そんな子宮体がんは、トリキュラーの服用で発症リスクを下げることができます。
というのも、トリキュラーのレボノルゲストレル(プロゲステロン)が子宮内膜増殖症を防ぐためです。
「卵巣がん」とトリキュラー【リスクを下げる】
トリキュラーには、卵巣で起こる卵巣がんのリスクを下げる効果があるとされています。
卵巣がんは排卵の回数が多いほど発症リスクが高まる傾向にあります(そのため閉経後の発症が多いとされています)が、トリキュラーをはじめとするピルの服用により、生涯の排卵回数は少なくなるため、リスクも減少するわけです。
「子宮内膜症」とがんとトリキュラー
子宮内膜症とは、通常なら生理のときに剥がれ落ちる子宮内膜の組織が子宮以外の場所に移動し、重い下腹部痛を引き起こしたり、不妊の原因になったりする病気です。
また、子宮内膜症をきっかけに卵巣がんを引き起こす可能性もあります。
そんな子宮内膜症に対して、トリキュラーを含む低用量ピルは症状軽減・予防効果を持ちます。
- 生理を止めることで発症を防ぐ
- 子宮内膜の増殖を抑制する
実際のところ、トリキュラーを含む低用量ピルは、「最も副作用が少ない子宮内膜症の治療薬」といわれるほど有用性が高いとされています。
参照
参考元:ピル外来
トリキュラーを使うことでがんのリスクは上がったり下がったりする
トリキュラーを含むピルとがんには、深い関係があります。
ポイントは以下の通りです。
- トリキュラーは乳がん、子宮頸がんのリスクを高める可能性がある
- トリキュラーは子宮体がんや卵巣がんのリスクを下げる
- トリキュラーはがんの原因となる子宮内膜症を改善する効果がある
トリキュラーは、乳がんや子宮頸がんのリスクを高める可能性があります。
ただし、乳がんは「わずかに発症リスクが上がる」という程度であり、子宮頸がんについては、そもそも直接原因となるHPVに感染しない限り、ピルは関係ありません。
そのため、定期的にがん検診を受けて気をつけるくらいの心構えで大丈夫です!