超低用量ピルにはどんな効果がある?避妊効果がないってホント!?
高い確率で成功する方法で避妊を行いたい、月経に関する悩みや症状を改善したい…そのような場合に強い味方となってくれるのがピルです。
ピルは配合されている成分量によって種類が変わり、日本国内では低用量ピルや超低用量ピルが主流になっています。
副作用の心配が少なく、はじめてピルを使う方も服用しやすいのが超低用量ピルですが、超低用量ピルには避妊効果がないという噂を耳にして本当に効果があるのか不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
超低用量ピルにはどのような効果があるのかご紹介します。
超低用量ピルの効果
冒頭でも軽く触れているように、超低用量ピルはピルの1種です。
ピルは避妊のために飲むものという印象が強いですが、女性の支えになってくれるさまざまな効果があります。
超低用量ピルで得られる効果は全部で6つあります。
生理痛の緩和
超低用量ピルで得られる効果のうち、もっとも有名なのが生理痛の緩和です。
生理痛は多くの女性を悩ませている症状で、剥がれ落ちた子宮内膜が血液とともに体外へ排出される際に分泌されるプロスタグランジンの量が多くなることによって引き起こされます。
痛みの原因となるプロスタグランジンの分泌量が増えすぎることによって子宮の収縮が強くなり、子宮周囲の充血やうっ血に伴って痛みを感じるようになってしまいます。
超低用量ピルには子宮内膜の増殖を抑える作用があり、月経の際に流れ落ちる内膜を少なくすることによって子宮の収縮やプロスタグランジンの分泌を抑えて痛みを緩和します。
このような作用によって生理痛が和らぎ、生理時のつらさを取り除くことができます。
参考元:ピルの作用のしくみ
生理不順の改善
生理不順は、生理周期が長すぎたり短すぎたりする状態、あるいは全く生理がこない状態のことです。
ホルモンの分泌量が多すぎる、または少なすぎる、もしくは分泌されないなど、ホルモン分泌の異常やストレスが原因による自律神経の乱れや生活習慣などによって引き起こされます。
超低用量ピルには有効成分として女性ホルモンが配合されているため、服用することによって乱れてしまっていたホルモンバランスを整えます。
また、服用している間は生理が生じず、服用を休止している間に生理が来るというサイクルが出来上がるため、乱れていた生理のリズムが整って生理不順が改善されます。
それに伴い、生理不順の影響によるつらい症状も改善され、快適に過ごせるようになります。
参考元:月経不順について
PMSの緩和
PMSは、月経前症候群とも呼ばれる女性特有の症状です。
生理の3~10日ほど前から起きる精神や身体の不調で、黄体期に分泌されるエストロゲンとプロゲステロンの急激な変動が関わっていると考えられています。
ストレスや自律神経の乱れなどの要因が引き金となり、肌荒れやニキビ、体重増加、情緒不安定など200種類以上もの症状があらわれ、生理が始まると緩和されて最終的に消失します。
超低用量ピルを服用することによって排卵が抑制されるため、プロゲステロンの量が本来よりも抑えられてプロゲステロンに起因する症状が和らぎます。
また、体内の女性ホルモン量やその増減が穏やかになることにより、精神的な安定にも繋がり、PMSによるさまざまな症状が緩和されます。
過多月経の改善
超低用量ピルで得られる効果の中には、過多月経の改善に役立つものもあります。
過多月経は生理が1週間以上も続いたり、経血にレバーのような塊が混ざったりする症状です。
子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気が原因になって引き起こされることもあり、貧血の原因にもなることもあります。
生理痛を緩和する効果についてご説明した際に触れたとおり、超低用量ピルには子宮内膜の増殖を抑えて流れ落ちる内膜を少なくする効果があります。
流れ落ちる内膜が少なくなると体外へ排出される経血量も少なくなるため、結果、経血量が減少します。
このような仕組みによって、過多月経による貧血の改善や予防、過多月経に関する悩みなどを改善する効果を発揮します。
参考元:ピルの副効用
子宮内膜症の改善
多くの女性を悩ませている症状の一つに、子宮内膜症があります。
この症状は、女性ホルモンによって増殖と剥離を繰り返している子宮内膜の組織が何らかの原因によって、子宮内腔以外の子宮の筋肉や腹腔内等の異なる組織に発生してしまう病気です。
子宮外に発生した内膜組織は時間の経過とともに徐々に増大し、その結果、炎症や激しい痛みなどを引き起こします。
超低用量ピルは服用することによって体内にエストロゲンが常に存在している状態にするため、体が自然と分泌するエストロゲンの量が減少し、エストロゲンの総量が低く抑えられます。
こういった仕組みで排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑えて子宮内膜症を改善へと導きます。
海外では子宮内膜症の改善でピルを使用するのはポピュラーで、確かな改善効果を期待することができます。
参考元:子宮内膜症
ニキビ・肌荒れの改善
生理前後はニキビや肌荒れが悪化することがありますが、その原因は女性ホルモンにあります。
排卵後に急激に分泌される女性ホルモンに黄体ホルモンと呼ばれるホルモンがあります。
その1種がプロゲステロンですが、このホルモンには皮脂分泌作用があるため、皮脂の分泌が過剰になったり皮脂が毛穴を閉塞させたりしてしまいます。
また、生理中はエストロゲンが減少するため、それによって肌が乾燥しやすくなり、ニキビや肌荒れの悪化に繋がります。
超低用量ピルにはこれらの女性ホルモンが含まれているため、服用することによって女性ホルモンのバランスを整えてニキビや肌荒れを改善へと導きます。
こういった美容効果にも期待できるため、生理前後でも肌を綺麗に保ちたいというときにも適しています。
超低用量ピルには疾患の発症リスクを抑える(予防する)効果もある!?
ご紹介したように、超低用量ピルには生理痛の緩和や生理不順の改善、PMSや子宮内膜症の改善、さらにはニキビや肌荒れを改善する効果など、幅広い効果があります。
しかし、これだけではなく、特定の症状を予防する効果にも期待できます。
子宮内膜症の予防
超低用量ピルは、子宮内膜症の改善だけでなく予防にも役立ちます。
子宮内膜症が発症する仕組みはいまだにわかっていないこともありますが、生理のときに卵管を通って漏れ出した経血中の内膜が他組織に取りつくことが原因の1つと考えられています。
超低用量ピルは服用することによって経血量が減少するため、お腹に逆流する経血の量も少なくなり、子宮内膜症の予防に繋がります。
子宮体がん・卵巣がん・大腸がんの発症リスクを抑える
超低用量ピルは子宮内膜症の予防だけでなく、子宮体がんや卵巣がんといった女性特有のがんの発症率を下げる効果もあるといわれています。
特に子宮体がんに対する予防効果は超低用量ピルを3年以上服用した場合、15年以上も持続するといわれています。
卵巣がんに対する予防効果も、服用中止後15年間も効果が持続するといわれているため、長期にわたって子宮体がんや卵巣がんを予防することができます。
また、大腸がんの発症リスクも抑えられるといわれていますが、大腸がんの予防効果があるかどうかまでは明らかになっていません。
超低用量ピルに避妊効果はないの?
超低用量ピルは数あるピルの1種ですが、避妊効果に関しては国内では認められていません。
これは避妊効果に関する試験が国内では行われていないためで、超低用量ピルが避妊を目的に使えるかどうかは明らかになっていません。
しかし、避妊効果が認められている低用量ピルと避妊効果が認められていない超低用量ピルの違いはエストロゲンの配合量だけです。
海外では超低用量ピルの避妊効果が認められているため、避妊効果が全くないというわけではなく、超低用量ピルでも避妊効果を期待できるといえます。
ですが、きちんと効果を発揮するかははっきりしていないため、もし確実に避妊効果を得たい場合は低用量ピルを使用しましょう。
まとめ
国内で使われているピルのうち、超低用量ピルはもっとも成分量が少なく副作用の心配をほとんどせずにお使いいただけます。
その効果は非常に幅広く、生理痛の緩和から生理不順の改善、PMSの緩和、過多月経の改善など、女性にとって嬉しいさまざまな効果を発揮します。
また、生理前後によるニキビや肌荒れを改善する効果にも期待できるため、美容効果を期待して服用することができます。
子宮内膜症の予防や子宮体がん、卵巣がん、大腸がん等の危険性が高い病気の発症リスク抑制にも役立つため、超低用量ピルは女性の健康を支えてくれる医薬品といえます。
肝心の避妊効果に関しては国内では承認されていません。
ですが、海外では超低用量ピルにも避妊効果があると認められているため、超低用量ピルを活用して避妊を行うというのは現実的な避妊法のひとつとなっています。
超低用量ピルで得られる効果を把握し、上手に活用しましょう。