市販の利尿剤にむくみの改善効果はある?通販と市販品の違い

市販の利尿剤にむくみの改善効果はある?通販と市販品の違いむくみの解消には利尿剤が効果を発揮します。

しかし、ドラッグストアなどで手軽に購入できる市販の利尿剤には本当に効果があるのか、病院で処方される薬のほうが効果的なのではないかと疑問・不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

そこで、この記事では利尿剤として販売されている市販薬の効果について解説しています。
あわせて、「医療用医薬品」の利尿剤の入手方法や種類についてもまとめてみました。
 

利尿剤は市販されていない?

薬を説明する薬剤師
ドラックストアなどでは、むくみの症状緩和に効果のある薬(市販薬)が販売されていますが、医療用医薬品に指定されている「利尿剤」を購入することはできません。

理由は、日本国内で流通する医療用医薬品は医師による処方箋が必要だからです。
 
市販薬は身体への影響や副作用のリスクが少なくなるよう作られているため、医薬品と比べると効果、即効性は劣りますが、「医師の処方箋が不要」という利点もあります。
そのため、「市販薬でも十分」という方や「まずは体の負担が少ないものを……」とお考えの方は、こういった市販薬がおすすめです。
 

むくみの症状改善が期待できる市販薬の有効成分

「利尿効果のある市販薬にはどんな成分が入ってるの?」
そんな疑問にお答えするため、ここでは、ドラッグストアなどで見かける代表的な市販薬の種類や有効成分について解説します。
 

漢方薬

市販の利尿剤のうち、代表的なのは漢方薬です。
自然由来の成分を使った「生薬」を組み合わせる漢方薬は古来、中国などで発達してきた東洋医学で使われていた薬です。
現在どのような漢方薬があるのか、見てみましょう。

五苓散

五苓散はむくみや吐き気、腹痛、頭痛といった症状に効果のある漢方薬です。
漢方の世界では、「水(すい)」が体の中で滞ることで、上記の不調が表れると考えます。
 
五苓散は余分な「水」を体から排出することを目的に配合された漢方薬で、体内における水分の循環を正常化して、余計な水分を排出させることができるとされています。
特に、「お酒を飲んだあとのむくみをどうにかしたい」という方に最適な薬です。

当帰芍薬散

当帰芍薬散は女性の月経不順、足腰の冷え(冷え性)などに効果のある漢方薬です。
漢方の世界では、私たち人間の生命に重要な「気」と「血(けつ)」が十分にあること、そしてこれが正常に流れていることを重視しています。
当帰芍薬散はとくに「血」に特化した漢方薬です。
 
血行改善効果、また余計な水分排出させる効果があるため、冷えからくるむくみ、女性特有の症状にお悩みの方に最適です。

防己黄耆湯

防已黄耆湯は慢性的なむくみ、多汗症、肥満症といった症状に効果があります。
漢方の世界では「胃腸の動きが弱い」という状態を「気(き)が弱い」ととらえており、「気」が弱くなると余分な水(すい)が溜まりやすくなると考えています。
 
防已黄耆湯は、「気を補い、余分な水(すい)取り除く」という目的で作られているため、胃腸の働きが弱い方、水分のとりすぎなどによる慢性的なむくみが気になる方におすすめです。

防風通聖散

防風通聖散は脂肪分解・燃焼、便秘解消、むくみ解消など、主に「肥満解消」に効果的な漢方薬です。
利尿作用、血行促進作用に期待できる成分を多数配合しているため、主にお腹周りから下半身にむくみを感じる人に最適です。
 
しかし、冷え性の方やお腹がゆるい人、また痩せぎみの方には不向きとされているので注意しましょう。

アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物

アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物は、もともと「心不全」など心臓に疾患がある人向けの医薬品に使用されていた有効成分です。
利尿作用に特化しているわけではありませんが、血行改善の効果があることから、むくみの解消効果が期待できるといわれています。
 

市販薬にむくみの改善効果は期待できる?

紹介した各種の漢方薬や、アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物を配合した市販薬。ドラッグストアなどで気軽に手に取れる薬ではありますが、「こんな簡単に買える薬にホントに効果あるの?」という疑問・不安もあるでしょう。

そこで、市販薬のむくみ改善効果の有無をまとめてみました。
 

原因が分かっている場合は市販薬でも改善できる可能性がある

市販薬は医療用医薬品と異なるため、医療用医薬品と同等の効果を得ることはできません。
しかし、むくんでいる原因がはっきりしている場合は、市販薬でも改善が見込める場合があります。
ここでは「市販薬で対応できるケース」を2つご紹介します。
 

更年期によるホルモンバランスの乱れ

とくに女性の場合、更年期に入る頃や閉経前後などにはホルモンバランスが著しく乱れることがあります。

こうしたホルモンバランスの乱れがむくみの原因になっている場合、上記で紹介した「当帰芍薬散」や「防己黄耆湯」を服用することで改善が見込めます。

  • ・「閉経してから突如体が冷えるようになった」などの場合は当帰芍薬散
  • ・「更年期になってから汗をかきやすく水を飲む量が増えた」という場合は防己黄耆湯

このように使い分けをすることができます。
 

アルコールや塩分の多量摂取

塩分の強い食事が続いている場合や、お酒を飲み過ぎたことが原因で起こるむくみには「五苓散」や「防風通聖散」を服用すれば改善を見込むことができます。

五苓散は二日酔いの症状に特化している漢方薬です。

むくみ以外の症状(吐き気や下痢など)も改善したい方におすすめです。
 
また、「ついつい食べ過ぎてしまう」「脂っこいものが大好き」という方、慢性的なむくみにより太って見えてしまう方には防風通聖散がおすすめです。
即効性はありませんが、飲み続けることで肥満症改善も見込めます。
 

市販されていない利尿剤を手に入れる方法は?

色々なおくすり
利尿剤の中には、漢方薬などドラッグストアで買える市販薬とは別に、医師の処方箋が必要な医療用医薬品に指定されているものがあります。

その入手方法としては、どのようなことが挙げられるでしょうか。
 

病院で処方してもらう

医療用医薬品は、病院で処方してもらえば全国の薬局で入手することができます。

ただし、むくみの原因となる病気(心不全や腎機能障害など)が見られる場合のみに処方されることが多く、症状が軽い場合は漢方薬の処方になることも少なくありません。
 
また、病院に行くことでむくみの原因が別に見つかることもあります。
その場合、利尿剤とはまったく別の医薬品が処方されることもあるので、その点は理解したうえで受診するようにしましょう。
 

通販サイトで購入する

海外で流通している製品を、通販サイト(個人輸入代行サイト)を通じて購入することができます。
通販サイトを利用するメリットは、医師の診察や処方箋が不要であることです。
病院に行く時間がなかなか取れないという方には、こちらの方法がおすすめといえます。
 
ただし、通販で注文してから手もとに届くまでには日数がかかることは押さえておきたいところです。
基本的に海外からの発送になるため、2週間程度待つことも少なくありません。
 
そのため、「今すぐ急ぎで欲しい」という方にはおすすめできませんが、時間に余裕がある場合の手段のひとつとして知っておくとよいでしょう。
 

通販サイトで購入できる利尿剤

ここでは、通販(個人輸入)で購入できる海外製の利尿剤について紹介します。
製造を手がけているメーカーや有効成分、価格などの情報をまとめてみました。
 

ムクミトール

ムクミトールは、日本で医療用医薬品として流通する「ルプラック」のジェネリック医薬品です。

有効成分のトラセミドには、体内の余分な水分を排出させ、むくみの改善を目指す効果があります。

製造元はAsle pharmacenticalsというインド北部にある製薬会社ですが、パッケージなどは日本語表記なので、英語に不慣れな方も安心です(インド在住の日本人が監修を手がけています)。
価格は1箱100錠入りで2,160円、1錠あたり22円となっています。

 

ルプラック・ジェネリック

文字通り、こちらもルプラックのジェネリック医薬品です。

ルプラック・ジェネリックの有効成分もトラセミドで、尿管をつなぐ「ヘンレループ」に作用し、余分な水分や塩分といった老廃物を尿として排出させます。

製薬元はIntas Pharmaというインドの製薬会社です。FDA(アメリカ食品医薬品局)をはじめ、世界各国の機関による承認を得た施設で製薬を行っているのが特徴で、安全性の高さは折り紙付きです。
価格は1箱(100錠入り)2,260円、1錠あたり23円となっています。

 

トラセミドジェネリック

トラセミドジェネリックの有効成分もトラセミドで、ルプラックのジェネリック医薬品です。

製造元は、インドの首都デリーに本拠があるAlniche Life Sciencesという製薬メーカーです。
特徴としては、1錠あたりの成分量が多いことが挙げられます。

上記の『ムクミトール』『ルプラック・ジェネリック』は1錠につきトラセミドを5mg配合していますが、こちらのトラセミドジェネリックは「10mg」「20mg」「40mg」という3種類があります。

それぞれの価格は、以下の通りです。

成分量1箱(100錠入り)1錠
10mg4,260円43円
20mg4,960円50円
40mg6,160円62円

 

まとめ

今回は、ドラッグストアなどで手軽に買える市販の利尿剤の種類やむくみ改善効果について、また医療用医薬品に指定された利尿剤の入手方法についてまとめてみました。

市販薬として代表的なのは、五苓散や当帰芍薬散、防己黄耆湯、防風通聖散といった漢方薬です。

また利尿剤ではありませんが、むくみ改善効果のある市販薬としてアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物を配合したものも見られます。
「二日酔いでむくんでいる」「更年期になってむくみが目立つようになった」といった場合、それぞれ適切な漢方薬などを選ぶことで改善が見込めます。
 
一方、医療用医薬品は病院で処方してもらえるほか、海外で流通しているものを通販(個人輸入)で取り寄せることも可能です。参考にしていただければ幸いです。