性病ってどんなものがある?性病の種類と症状・感染経路・治療方法を紹介

性病ってどんなものがある?性病の種類と症状・感染経路・治療方法を紹介多くの男性や女性を悩ませる性感染症。
性病といった名称で呼ばれることが多く、性交渉を主な感染経路としていることから、相談などが遅れてしまって治療に時間がかかってしまうケースは珍しくありません。
しかし、こうした性感染症にはさまざまな種類があり、中には取り返しのつかないものもあるため、早期発見・早期治療を行うということが重要になります。
 
こちらのページでは、そんな性病について

  • どんな性病があるのか
  • 症状は?
  • 感染経路や治療法は?

といったことについて紹介していきますので、自分が性病かもしれないという時は是非お役立てください。

 

性病とは?

性病を考える男女各種性病についてお話をする前に、まずは性病というのが一体どういうものなのかということについて紹介していきたいと思います。
性病とは、性行為によって病原体を含んだ体液が皮膚や粘膜が接触することで感染する病気です。
感染経路となる性行為は通常の膣性交だけでなく、オーラルセックス(口唇性交)やアナルセックス(肛門性交)も含まれる点には注意が必要です。
 
現在では、性病や性感染症という名称のほか、性感染症の英語である「Sexual Transmitted Infections」の頭文字をとった「STI」や「Sexual Transmitted Disease」の頭文字をとった「STD」といった呼ばれ方をすることもあります。
では、ここからより詳しくそれぞれの性病に関して、紹介していきたいと思います。

 

クラミジア(性器クラミジア感染症)

クラミジア性病の悩みを持つ方の中でも、もっとも多いのがこのクラミジア(性器クラミジア感染症)です。
男女ともに発症する性病ですが、こちらのクラミジアは女性に多く発症する傾向があります。
また女性の中でも若い層が特に多くなっています。
また、クラミジアはオーラルセックスでも感染するため、性器だけでなく喉へ感染する可能性があります。

 

クラミジアの症状

クラミジアの症状としては

  • 排尿痛
  • 尿道の不快感
  • 掻痒感

といったものがあげられます。
また、女性の場合は上記に加えて

  • おりものの増加
  • 不正出血
  • 下腹部痛
  • 不妊

といった症状があらわれることもあります。
しかし、女性の場合、クラミジアの自覚症状が乏しい場合が多いため、感染に気付かずに感染を広げてしまっているということも珍しくありません。

 

クラミジアの感染経路・原因

クラミジアの感染経路は主に3つ。

  • 通常のセックスで、膣粘膜との接触
  • オーラルセックスで、喉の粘膜と接触
  • 分娩時に母から子への母子感染

というものになります。
性病というと、どうしても性器などに症状があらわれるのをイメージしがちですが、クラミジアはオーラルセックスで喉へ感染する可能性があるという点には注意しておく必要があります。

 

クラミジアの治療方法

治療薬クラミジアは主に投薬療法で治療されます。
クラミジアの治療薬は、アジスロマイシンレボフロキサシンを配合した抗生物質です。
アジスロマイシンは1回の服用で治療が完結するのに対し、レボフロキサシンは7日間にわたって継続服用する必要があります。
服用の手間は、アジスロマイシンの方が掛かりませんが、お腹を下しやすく、レボフロキサシンはアジスロマイシンよりもお腹を下しにくくなっています。

 

淋病(淋菌感染症)

淋菌淋病(淋菌感染症)は、前述のクラミジアについで多い性病です。
淋菌と呼ばれる細菌が感染することで、尿道や子宮頚管などに炎症を起こします。
男性の場合、淋病に感染するとクラミジアよりも強い症状があらわれることがあります。
 
その一方で女性の場合は、クラミジアと主な症状が似ているためクラミジアか淋病か判断できない場合があります。
ただし、男女ともに感染していても無症状な場合もあるため、その点には注意が必要です。

 

淋病の症状

淋病に感染した時にあらわれる症状は
男性の場合

  • 性器から膿の排出
  • 排尿時の強い痛

女性の場合

  • おりものの増加
  • 黄色や黄緑色のおりもの
  • 性交痛
  • 不正出血

といったものがあげられます。
男性の場合は、症状が強くあらわれることも多く、性感染症への感染を自覚しやすくなっていますが、女性の場合は男性よりも症状が軽いため気づかないことも珍しくありません。

 

淋病の感染経路・原因

淋病の感染経路は性行為になります。
また、分娩時に母から子へと母子感染するケースもあります。
ごく稀に、手やタオルなどを介して感染することもあります。
通常のセックスやオーラルセックス、アナルセックスといった粘膜接触によって感染するため、症状は性器だけでなく、喉や肛門にあらわれる場合もあります。

 

淋病の治療方法

治療薬淋病治療で用いられる方法はセフトリアキソンスペクチノマイシンを用いた注射での治療になります。
上記以外の方法としては、アジスロマイシンレボフロキサシンなどの抗生物質(淋病治療薬)を用いた投薬治療になります。
ただし、現在の淋菌には内服薬に耐性をもった耐性菌が登場していることもあり、投薬治療で十分な効果を得られないというケースがある点には注意が必要です。

 

ヘルペス(性器ヘルペス感染症)

HSVヘルペス(性器ヘルペス感染症)はHSV(単純ヘルペスウイルス)に感染することで、性器やその周辺に症状があらわれる性病です。
これまでに紹介してきたクラミジアや淋病とは違って、わかりやすい症状があらわれるため感染が自覚しやすくなっています。
感染者数自体は、クラミジアや淋病と比べると少ないものの、未だ年間で8,000人以上となっているため、注意が必要な性病の1つです。

 

ヘルペスの症状

ヘルペスに感染した場合にあらわれる症状としては

  • 発熱
  • 排尿痛
  • 性器やその周辺への小水疱が発生

といったものがあげられます。
初めてヘルペスに感染した時には、強い発熱や倦怠感がありますが、再発時はそうした症状が現れない場合もあります。
ヘルペスは小水疱ができるほか、性器などに発生した小水疱が潰れて潰瘍となって強い痛みがあらわれることも珍しくありません。
また、ヘルペスであらわれた小水疱内の液体はウイルスが含まれているため、水泡が潰れて出た液体が粘膜に触れてしまうことで、更に感染を広げてしまう可能性があります。

 

ヘルペスの感染経路・原因

ヘルペスの感染経路は性交渉となっています。
また、水泡が潰れた時に出る液体に触れることでも感染する場合があります。
そのため、性器だけでなく肛門の皮膚に感染する場合もあります。
 
ヘルペスの感染は、ヘルペスの症状があらわれている時だけでなく、症状が治まった後でも感染させてしまう可能性があります。
また、ごく稀に母親から子への分娩時に母子感染するという場合もあります。

 

ヘルペスの治療方法

治療薬ヘルペスの治療方法は基本的に投薬治療が行われます。
ただし、重症の方や免疫不全の方の場合は点滴治療が行われます。
投薬治療に用いられるのはアシクロビルバラシクロビルといった成分を配合した抗ウイルス剤を用います。
ヘルペス治療薬の服用は5~10日間となっており、早期治療を行った場合は症状の悪化をより抑えることが可能となります。
しかし、ヘルペスは一見治ったかのように見えても神経膜に潜伏して、免疫が低下した時に再発するケースは珍しくなく、長年治療を行う必要があったりします。

 

カンジダ(性器カンジダ症)

カンジダ性病の中でも女性に多いとされているのがカンジダです。
膣カンジダ症や性器カンジダ症などと呼ばれており、元々女性の膣粘膜や消化管、体表に存在するカンジダ菌が増殖することで発症します。
カンジダは男性よりも女性に多い性病の1つで、女性が発症する膣カンジダ症は女性全体の2割が経験するともいわれるほど、一般的なものとなっています。

 

カンジダの症状

カンジダの症状としては

  • 性器周辺のかゆみ
  • 白っぽいおりもの
  • 排尿痛
  • 性交痛

といったものがあげられます。
上記の症状は一例で症状のあらわれ方には個人差があるため、カンジダになった全員が上記の症状が出るというわけではありません。
男性の場合、亀頭などに赤みが出たり、白い苔のようなものが生じたりします。

 

カンジダの感染経路・原因

カンジダの感染経路は性行為となっています。
性交渉で感染した場合は、性器や外陰部、亀頭などへの感染のほか、尿道や血液などに感染する場合があります。
また、カンジダは人の肌などに存在する常在菌であることから、性交渉をしていないという方の場合であっても、体調不良などで免疫力が低下した時にカンジダが増殖して発症するというケースもあります。

 

カンジダの治療方法

治療薬カンジダの治療は膣錠やクリーム、内服薬などを用います。
また、カンジダの治療薬を使用するとともに、感染部位を清潔に保つことが必要になります。
その他にも、通気性の良い下着などを着用するといったことも必要です。
用いられる治療薬の成分としては、クロトリマゾール、硝酸ミコナゾール、硝酸イソコナゾール、硝酸オキシコナゾールなどがあります。

 

トリコモナス(膣トリコモナス症)

トリコモナストリコモナスは女性の性病というイメージがありますが、実は男性にも感染する場合があります。
しかしながら、トリコモナスの感染者数は男女比にすると1:10と大きな違いがあります。
男性の場合はトリコモナスに感染しても無症状であることが多いため、そもそも診察を受けないというケースが珍しくありません。
その上、診察を受けても女性と違って男性からトリコモナスを検出するのが困難であるということが考えられます。

 

トリコモナスの症状

トリコモナスの症状としては

  • 泡状の悪臭がするおりもの
  • 膣内の灼熱感
  • 膣内の激しい痒み
  • 外陰部の赤みやただれ

といったものがあります。
男性の場合、トリコモナスに感染した4人に3人が無症状となっており、感染に気付かないケースは珍しくありません。
症状があらわれた場合は

  • 排尿痛や排尿時の違和感
  • 尿道から膿のような液体の分泌

といったものがあります。

 

トリコモナスの感染経路・原因

トリコモナスは、トリコモナスと呼ばれる原虫が性交渉などで性器内へ入り込むことで、炎症を起こします。
そのため基本的には、トリコモナスに感染している人との性交渉によって感染します。
しかし、性交渉以外にも、下着やタオル、浴槽などを介して女性から女性へと感染する場合がある点には注意が必要です。

 

トリコモナスの治療方法

治療薬トリコモナスの治療にはメトロニゾダール、チニダゾールといった成分を配合した内服薬を用います。
トリコモナスの治療薬を7~10日ほど服用したうえで、トリコモナスの有無を検査で確認する形になります。
また、内服薬を用いる方法の他に、膣洗浄や膣錠を併用した治療法を行うケースもあります。

 

尖圭コンジローマ・HPV

コンジローマ尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスが原因となって発症する性病の1つです。
尖圭コンジローマはこれまで紹介したクラミジアや淋病よりも感染者数自体は少なくなっていますが、2021年で5,000人以上となっており、女性より男性の方が多い性病の1つとなっています。
感染部位は性器だけでなく、舌や口内などの粘膜に感染する場合もあります。

 

コンジローマの症状

尖圭コンジローマの症状には特徴があります。
その特徴というのが、性器周辺や肛門周辺にイボができるというものです。
初期は先が尖ったような小さなイボですが、症状が悪化するとイボの大きさは大きく、数も多くなります。
また、イボ同士が合体することで野菜のカリフラワーのような状態になってしまいます。

 

コンジローマの感染経路・原因

尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスが皮膚や粘膜に付着することで感染します。
主な感染経路は性行為となっており、性器同士がこすれることで粘膜の表面から感染します。
また、指や病変に触れた物を介して感染する場合や、分娩時に母子感染するというケースがあります。
そのため、性交渉をしていないという方でも、感染する可能性がある点には注意が必要です。

 

コンジローマの治療方法

治療薬尖圭コンジローマの治療法は有効成分にイミキモドを配合した外用薬を用いて治療します。
ただし、尖圭コンジローマの治療薬だけでウイルスを完全に除去することは困難であり、症状が酷い場合は電気メスなどを用いた焼却や切除といった治療を併用することも珍しくありません。
症状の進行具合によって治療期間は1ヶ月ほどで終わる方から、1年ほどかかかる方まで幅広いため、早期治療を行うことはとても重要です。

 

梅毒

梅毒近年、若い女性の中に多くなっているとされている性病の1つが梅毒です。
梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌によって発症する性病で、2010年代以前までは減少傾向にありました。
しかし、それ以降は増加傾向にあり、2024年には年間感染者が14,000人を突破しており、注意が必要な性病の1つとなっています。

 

梅毒の症状

梅毒に感染してしまうと症状として

  • 感染部位に硬いイボやしこりができる
  • 性器周辺や手足、全身に発疹(バラ疹)ができる
  • 全身の炎症が進行

といったものがあらわれます。
また、適切な治療を行わず放置してしまうと、最終的には脳や心臓に病変ができてしまうことがあります。
そうなると、心不全や脳梗塞といった命を脅かすような状態になってしまうため、適切な治療は必須となっています。

 

梅毒の感染経路・原因

梅毒の感染経路は主に性交渉となっています。
通常のセックスのほか、オーラルセックスやアナルセックスなど、病変部位と粘膜が接触する性交渉を行うことで感染します。
梅毒トレポネーマは感染力の強い細菌であり、キスなどでも感染したという報告があったり、梅毒の方が使った髭剃りを使ったことで感染したというケースもあります。
また、妊娠されている方の場合は、血液を通って母子感染することがあります。

 

梅毒の治療方法

治療薬梅毒を治療するための方法として一般的なのは内服薬を用いた内服治療になります。
使われる内服薬としてはペニシリン系抗生物質アモキシシリンが第一選択薬となっています。
ペニシリン系にアレルギーがあるような場合には、ミノサイクリンテトラサイクリンといった抗生物質が用いられます。
梅毒の治療薬を用いた治療のほかにも、同じペニシリン系の抗生物質を筋肉注射することでも治療することが可能となっています。
内服薬を用いる治療の場合、治療期間は梅毒の進行状況によって変わりますが、早ければ2週間ほどで完治が可能となっています。

 

HIV(エイズ)

HIV性病の中でも、不治の病として今も多くの人を恐怖へ陥れているものがあります。
それがHIV(エイズ)です。
国内では、後天性免疫不全症候群とも呼ばれ、人が持つ免疫機能を著しく低下させ病気への耐性をなくし、死に至らせます。
今もまだ、完全に治療するという方法は確立していないため、気を付けなければならない性病の1つとなっています。

 

HIVの症状

HIVに感染したばかりの頃は、風邪やインフルエンザに似た

  • 発熱
  • リンパ節の痛み
  • 筋肉痛
  • 皮疹
  • 下痢

といった症状があらわれますが、次第に症状自体は落ち着いて症状がない期間に入ります。
この期間は個人差がありますが、数年から10年とされています。
無症状期間が終わると、エイズが発症します。
エイズが発症してしまうと免疫機能が働かなくなり、普段であれば免疫の機能でかからないような感染症に感染して発症してしまい、死に至ることも珍しくありません。

 

HIVの感染経路・原因

HIVの感染経路は大きく3つあります。

  • 性行為での感染
  • 血液を介した感染
  • 母子感染

上記がHIVの感染経路ですが、中でも感染者の9割が性行為で感染しているとされています。
HIVを感染させてしまう性行為は通常のセックスだけではありません。
肛門でのアナルセックスでも感染しますし、口を使うオーラルセックスでも感染のリスクがあります。

 

HIVの治療方法

治療薬HIVに感染した場合はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩などが配合された抗HIV薬を用いてHIVの増殖を抑え、エイズの発症を防ぐという治療が行われます。
そのため、HIVに感染した場合は治療をしても、体内からHIVを排除するといったことはできないので、ずっと治療を継続していく必要があります。
ですが、この治療法が確立してからは、エイズの発症によって命を落としてしまっている方の数は大きく減少しています。

 

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

マイコプラズマ尿道炎の原因菌はさまざまですが、その1つにマイコプラズマやウレアプラズマがあります。
マイコプラズマやウレアプラズマが性器や咽頭に感染することで発症する性病の1つですが、無症状で感染に気付かないというケースもあります。

 

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状

マイコプラズマやウレアプラズマに感染した場合には、淋病やクラミジアと同様の症状があらわれます。

  • 尿道などの違和感
  • 排尿痛
  • 膿の排出
  • 性器のかゆみ
  • 異臭がするおりもの
  • おりものの増加

上記のような症状があらわれているのに、淋病やクラミジアではないというような場合には、マイコプラズマやウレアプラズマへの感染が疑われます。

 

マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染経路・原因

マイコプラズマやウレアプラズマは性行為によって感染します。
感染原因となる性行為は通常のセックスのほか、アナルセックスやオーラルセックスも含まれます。
マイコプラズマやウレアプラズマといった細菌に感染してしまっている場所と性器や尿道といった粘膜が性交渉の際に接触したりすることで感染します。
また、喉にも感染するためキスで相手の喉へと感染させてしまうケースがあります。

 

マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療方法

治療薬マイコプラズマやウレアプラズマに感染した場合は、抗生物質を用いた治療が行われます。
主に用いられるのはマクロライド系テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生物質が用いられます。
用いられる抗生物質の種類については、抗生物質を処方してもらうクリニックによっても違いますし、感染しているのがマイコプラズマなのかウレアプラズマなのかによっても変わります。

 

尿道炎

排尿痛性病などが原因として発症しやすいのが尿道炎です。
細菌や真菌、ウイルスなどが尿道に入り込むことで炎症を起こすのが原因となっています。
尿道炎単体で発症するというケースは珍しく、多くの場合は淋病やクラミジアなどの性病と共に発症するケースがほとんどです。
ですが、不潔な尿道を手で触るといったようなことで尿道炎となる可能性がある点には注意しておく必要があります。

 

尿道炎の症状

尿道炎の主な症状は

  • 排尿時の違和感
  • 排尿痛
  • 尿道から膿や分泌物の排出

といったものがあげられます。
主に排尿に関する症状があらわれます。
また、男性の場合は尿道が長いため痛みを感じる部分に個人差があったりします。
また、人によっては症状を全く感じないというケースもあります。
無自覚のまま性病を更に拡大させてしまっている可能性がある点には注意が必要になります。

 

尿道炎の感染経路・原因

尿道炎の発症は、性病へ感染することが主な原因となっています。
性病の感染経路としては淋菌やクラミジア、ウイルスなどが尿道に入り込む可能性があるセックスやオーラルセックス、アナルセックスなどの性行為が主な原因となります。
また、不衛生な手指で尿道を触ったりしたりすることでも尿道炎を引き起こすというケースがある点には注意しておく必要があります。

 

尿道炎の治療方法

治療薬尿道炎の治療方法は、基本的には内服薬を用いた投薬治療となります。
この時、用いられる薬は尿道炎の原因となっている病気によって変わります。
それぞれの疾患に対して有効な治療薬を服用することで、尿道炎を引き起こしている細菌を減少させて改善へと導きます。
また、尿路感染症は水分補給を十分にして排尿を促すということも重要になります。

 

A型肝炎

HAV性交渉で感染する性病の1つにはA型肝炎もあります。
こちらはA型肝炎ウイルス(HAV)が感染することよる病気で、基本的な感染経路は性行為ではないものの、性行為でも感染するケースがあります。
A型肝炎に感染したとしても多くの人が完治しており、強い免疫力を得るため再発する可能性もほとんどありません。
ですが、極めて稀ではありますが劇症肝炎で死に至るケースがある点には注意が必要です。

 

A型肝炎の症状

A型肝炎の症状としては黄疸や嘔吐、発熱などがみられます。
初期症状は頭痛や発熱、筋肉痛といった風邪やインフルエンザと同様の症状があらわれるため、風邪などと間違われるケースも少なくありません。
またA型肝炎に感染した方の1%未満ではありますが、劇症肝炎を発症する方もいるため適切に予防することが重要です。

 

A型肝炎の感染経路・原因

A型肝炎の主な感染経路は経口感染となっています。
A型肝炎ウイルスに汚染された食物や水を摂取したり、A型肝炎ウイルスに感染している生魚を加熱処理せずに生食したりすることで感染します。
A型肝炎ウイルスは糞便中に排泄されるため、糞便が手に付着した状態で食べ物に触れてそこから感染(糞口感染)する場合もあります。
また、糞便中にウイルスが排出されるため、アナルセックスやオーラルセックスなどで感染する場合もあります。

 

A型肝炎の治療方法

自宅療養A型肝炎に感染してしまった場合の治療方法はありません。
感染から完治までの速度は非常に遅く、数週間から数ヶ月治療に要することも珍しくありません。
この時、発熱などの症状を緩和するために、解熱鎮痛剤などを用いるケースもありますが基本的には不要な薬物治療を避けるということがあげられます。
そのため、食事などが難しくどうすることもできないといった場合には、点滴などの対症療法が用いられます。

 

B型肝炎

HBVB型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)が感染することによって発症する疾患です。
血液や体液を媒介として感染する感染症で、感染時の健康状態によって一過性の感染で終わる場合もあれば、生涯にわたって感染が持続する場合もあります。
また一度感染してしまうと、治療後もウイルスDNAは肝臓に残るため、免疫抑制療法などを用いると再発したり、劇症肝炎などに繋がる場合があります。

 

B型肝炎の症状

B型肝炎の症状は急性肝炎と慢性肝炎の2タイプに分類できます。
急性肝炎の場合

  • 全身倦怠感
  • 悪心
  • 褐色尿
  • 黄疸

といった症状があらわれます。
特徴的な症状としては、尿が濃い茶色になる褐色尿や眼球や肌が黄色くなる黄疸があげられます。
また、劇症肝炎になる場合もあります。
 
慢性肝炎は出産時に母子感染などした場合になり、無症状のまま数十年経過した後に、思春期を過ぎた頃に強い肝炎が起こります。
その肝炎を経て、抗体ができると再び症状は治まり肝機能が安定する場合もあれば、生涯にわたって肝炎症状が持続する場合があります。

 

B型肝炎の感染経路・原因

B型肝炎は血液や体液を介して感染します。
そのため、B型肝炎の感染経路は

  • 出産時の母子感染
  • 傷口へ血液や体液の付着
  • 性交渉
  • 静脈用麻酔の乱用
  • 入れ墨
  • ピアスの穴開け

といったものがあります。
B型肝炎ウイルスは感染力が強いため、性交渉で感染させてしまうリスクは高くなっています。
さらに、アナルセックスなど出血リスクが高い性交渉ではさらに感染リスクが高くなります。

 

B型肝炎の治療方法

治療薬B型肝炎の治療法は、急性肝炎か慢性肝炎によって変わります。
B型急性肝炎の場合、基本的に抗ウイルス剤などを用いた治療は必要ありません。
食欲不振などの症状で栄養や水分補給が必要になる場合は点滴を用いたりすることはありますが、基本的には自然に改善するのを待つ形になります。
一方のB型急性肝炎の場合は、ウイルスの増殖を抑えるタンパク質を注射するインターフェロン療法やウイルスの増殖を阻害する薬剤(テノホビルアラフェナミドフマル酸塩、アデホビルなど)を服用する内服療法などの治療法が用いられます。

 

C型肝炎

HCVC型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで発症する感染症です。
C型肝炎は7割近い人が持続感染者となり、気づかぬうちに進行してしまい最終的には肝臓がんなどになってしまうことがあります。
また、感染に気付かないケースも多いため、現在日本ではC型肝炎に感染している方が100万人以上いると考えられています。

 

C型肝炎の症状

C型肝炎に感染した場合の症状は進行具合によって変わります。
慢性肝炎の場合、自覚症状がほとんど出ないことも珍しくなく、肝硬変や肝臓がんへ進行して自覚するといったケースも珍しくありません。
肝硬変まで進行した場合、掌が赤くなる手掌紅斑や身体が黄ばむ黄疸といった症状があらわれます。
また、むくみや腹水、出血が止まりにくくなるといった症状があらわれることもあります。

 

C型肝炎の感染経路・原因

C型肝炎の感染経路は血液や体液を介したものになります。

  • 注射器の使いまわし
  • 入れ墨
  • ピアスの穴開け
  • 性行為
  • 母子感染

といったのが主な感染経路ですが、多くの場合は血液を介した感染になります。
そのため、性行為での感染率は極めて稀ですが、出血を伴いやすいアナルセックスや生理中の性交渉といった場合には、血液を介しての感染リスクも増加してしまいます。

 

C型肝炎の治療方法

治療薬C型肝炎の治療法は、内服薬を用いたものになります。
内服薬によってC型肝炎ウイルスを体内から排除することで治療を行います。
この治療法は、ソホスブビル・レジパスビル配合錠グレカプレビル・ピブレンタスビル配合錠、ソホスブビル・ベルパタスビル配合錠が用いて行われています。
以前は、インターフェロン療法を用いることが基本となっていましたが、現在ではインターフェロン療法はほとんど行われなくなっています。

 

赤痢アメーバ症

赤痢アメーバ症赤痢アメーバ症は、赤痢アメーバと呼ばれる原虫が感染して発症する感染症です。
大腸炎の一種ですが、感染症の赤痢のような症状があらわれることから赤痢アメーバ症と呼ばれます。
福祉施設での集団感染や男性の同性愛者間での感染が多い傾向にありますが、全国の届出数を見ると2021年から560人ほどとなっており、そこまで多くの人が感染しているというわけではありません。

 

症状

赤痢アメーバ症に感染した場合にあらわれる症状は

  • 粘血便
  • 下痢
  • 排便時の下腹痛
  • 発熱
  • 食欲不振

といったものがあげられます。
なかでも特徴的な症状となっているのが、便の周囲に粘血が付着する粘血便です。
また、頻繁に便意をもよおすものの、便が出なかったり出ても少量だったりといった症状があらわれることもあります。

 

感染経路・原因

赤痢アメーバ症の感染経路は、糞便に排出される嚢子の経口感染(糞口感染)によるものです。
糞便に汚染された水や食べ物を飲んだり食べたりすることで感染したりします。
直接糞便が水や食べ物を汚染していない場合でも、気づかないうちに手などへ糞便が付着して、それが食べ物や口に付着して感染するというケースもあります。
また、アナルセックスや肛門を舐めるといった性行為で感染することもあります。

 

治療方法

治療薬赤痢アメーバ症の治療法としては、内服薬を用いた投薬治療が基本となります。
治療にはメトロニダゾールチニダゾールを有効成分に配合した内服薬が用いられます。
メトロニダゾールを用いた場合、7~10日の内服で治療が完了します。
また、重症化した場合や内服薬の内服が難しい場合は注射液を用いた治療が行われる場合もあります。

 

まとめ

こちらのページでは性病について、そしてさまざまな種類の性病に関して紹介してきました。
一口に性病といっても、その種類はさまざまですし、感染経路も性交渉だけでなく多種多様です。
性病感染に気付かず放置してしまうと、妊娠に影響が出てしまったり、命に危険が及んでしまったりというケースもあります。
症状についても、全く無症状という場合もあるので性病に関する適切な知識を持つことによって、性病の早期発見、早期治療が実現可能となります。
 
また、感染経路を適切に把握しておくことで、コンドームの適切な使用に対する意識の向上など、性病感染の予防にも繋がります。
これまで減少傾向にあった性病も、近年になって増加傾向に転向しているものもあるため、自分は大丈夫と考えるのではなく、気持ちを切り替えて対策をすることが重要です。

 

女医

監修者は記事の内容について監修しています。
記事内でご紹介している商品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。

 

監修者情報

水野泰孝先生

  • 医師

    水野 泰孝

  • 所属・資格等

    グローバルヘルスケアクリニック 院長・医学博士

  • 経歴

    東京慈恵会医科大学大学院修了、タイ王国マヒドン大学留学(Diploma in Tropical Medicne取得)。
    国立国際医療センター厚生労働技官、在ベトナム日本大使館医務官、東京医科大学准教授・同大学病院感染制御部長、感染症科診療科長などを歴任し2019年より現職。
    専門は熱帯感染症・性感染症・渡航関連疾患・予防接種など。