クロルオフ眼軟膏

細菌性の結膜炎など、目の表面に起こる感染症に使われます。クロラムフェニコールに感受性のある細菌による結膜やまぶたの炎症に効果があり、感染の広がりを防ぎます。軽度から中等度の感染に対して処方されることが多く、医師の指示で使用されます​。

持続的に効果を発揮しやすいのが眼軟膏の特徴です。これは軟膏が目の表面にとどまる時間が長く、ゆっくりと薬が広がるためです。点眼薬よりも使用回数が少なくて済む場面で処方されることが多く、再発予防にも役立ちます。

グラム陽性菌と一部のグラム陰性菌に対して効果があります。具体的には、ブドウ球菌、大腸菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌に有効とされ、タンパク質合成を妨げて増殖を防ぎます。幅広い病原菌に対応できるため、初期治療にも使われます。

数回の使用で改善が見られることがあります。症状や感染の重さにより個人差はありますが、多くの場合は1〜2日で赤みやかゆみなどが軽くなります。ただし、改善しても治療は目が正常になってから48時間は続けるよう指示されています​。

通常は3時間おきに使用するため、5～6回使う形になります。症状の重さや治療の段階によって回数が調整されることもあります。使用間隔を均等に保ち、自己判断で回数を増減せず、指示通りの頻度で使い続けることが大切です​。

他の点眼薬を使う場合は、少なくとも5〜10分以上間隔をあけてから軟膏を使用してください。軟膏は薬の広がりを妨げる可能性があるため、基本的に最後に使用するのが望ましいです。順番や間隔は処方内容に応じて調整してください。

まぶたの内側（下まぶた）に少量をそっと塗るのが基本です。清潔な手で下まぶたを軽く引いて、チューブの先が目に触れないように注意しながら塗ります。塗布後はまぶたを閉じて1〜2分安静にし、薬がなじむまで目をこすらないようにしてください。

勝手に中止するのは避けてください。症状が軽くなっても細菌が残っている可能性があります。そのため、途中でやめると再び細菌が増えて再発や耐性菌出現の原因となってしまいます。

ごくまれに再生不良性貧血のような重い副作用が報告されています。これは全身に吸収された場合に起こる可能性があるため、点眼薬や軟膏でも長期連用は避ける必要があります。処方された期間を超えて使用せず、異常があればすぐに使用を中止してください​。

妊娠中の使用は必要性が明確な場合に限ります。動物実験で胎児毒性が報告されているため、原則として使用されるケースはほぼありません。使用前には必ず医師に相談し、自己判断での使用は避けてください​。

できるだけ目をこすらないようにしてください。軟膏が外に押し出されたり、炎症を悪化させることがあります。間違って触れてしまった場合は、手を洗って必要に応じて使用時間を調整しましょう。塗布後1〜2分は静かに目を閉じておくのが理想的です。

目以外の部位に触れるのは避けた方がよいです。眼軟膏は局所的に作用する設計ですが鼻や口のまわり、皮膚の炎症部位などに付着すると刺激を感じたり、思わぬ吸収につながる可能性があります。塗布後は手を洗い、薬が他の部位につかないよう注意しましょう。