シプロトル

アレルギー性鼻炎に対して高い改善率が報告されています。40例の臨床試験で有効率は82.5%とされており、くしゃみ・鼻水などヒスタミンによる症状をしっかり抑える効果が確認されています。抗ヒスタミン作用と抗セロトニン作用の両方を兼ね備えた薬です。

かゆみに対して強力な効果があります。痒みを対象とした複数の臨床試験で、改善率は74.7～94.4%と非常に高くなっています。抗ヒスタミン作用に加え、セロトニンにも拮抗するため、かゆみを引き起こす複数の因子に対する作用が期待されます。

抗ヒスタミン・抗セロトニン作用の両方を持ち、クロルフェニラミンやプロメタジンよりも強力な効果を示すとされています。幅広い症状に対応できることから、多用途な第一世代抗ヒスタミン薬の代表格のひとつとして位置づけられています。

決められた用法・用量を守って継続的に服用することが基本です。特に食後の服用は吸収効率が安定して効果が持続しやすくなります。また、かゆみやアレルギー症状が悪化する要因を避ける生活環境の整備も重要です。

通常、成人は1回4mgを1日1～3回に分けて経口服用します。服用回数や量は症状の程度や年齢によって調整されることがあります。効果の発現と持続を安定させるためにも、毎日同じ時間帯での服用が推奨されます。

明確な制限はないものの、吸収や副作用の出方を安定させるためには食後の服用が望ましいとされています。空腹時の服用では眠気やめまいが強く出ることがあるため、注意が必要です。

症状が軽ければ1日1回から始め、反応を見ながら増減されるのが一般的です。シプロトルは1日1回で済むこともあれば、3回まで必要なケースもあります。

明確な投薬期間の制限は設けられていませんが、長期間の使用は副作用のリスクもあるため、定期的な診察で継続の可否を判断することが大切です。慢性疾患で長く服用する場合でも、医師と相談しながら管理されます。

閉塞隅角緑内障や狭窄性胃潰瘍がある人には禁忌です。抗コリン作用により眼圧が上がったり、胃内容物の停滞で症状を悪化させるおそれがあります。また、高齢で著しく衰弱している方にも投与すべきではないとされています​。

明確な併用禁忌は設定されていませんが、アルコールや睡眠薬、抗不安薬との併用で中枢抑制作用が強くなることがあります。さらに抗コリン薬や抗うつ薬（SSRIなど）との併用で、それぞれの作用が過剰または打ち消し合う可能性があるため注意が必要です​。

重大な副作用には痙攣や無顆粒球症があります。いずれも頻度は不明ですが、意識がもうろうとしたり、けいれんが起きた場合はすぐに服用を中止して医師の診察を受ける必要があります​。

妊娠中は催奇形性の報告があり、治療上の有益性が上回る場合に限り使用されます。授乳中は乳汁中への移行もあるため、授乳の中止または薬の中止を検討すべきとされています。事前に必ず医師に相談しましょう​。