デキソナ

ステロイド薬の一種であるデキサメタゾン錠は、炎症や免疫反応の抑制を目的として幅広い疾患に使われます。例えば、関節リウマチや喘息、自己免疫疾患、さらにはがん治療に伴う吐き気の軽減など、症状の原因となる炎症や過剰な免疫反応を抑えるために用いられることが多いです。症状の種類や重症度に応じて使い分けられる薬のため、目的に合わせた服用が重要になります。

抗がん剤の副作用としてあらわれる吐き気や嘔吐を軽減するために、デキサメタゾンは補助的に使われます。特にシスプラチンなどの強力な抗がん剤と併用される際には、消化器症状を和らげる目的で事前に服用するケースが多いです。治療の継続性を保つためにも、こうした副作用対策として重要な役割を担っています。

基本的にデキサメタゾンは、細菌やウイルスを直接治す薬ではなく、体の過剰な免疫反応を抑える薬です。したがって風邪やインフルエンザそのものには使われませんが、重度の気道炎症や喘息の発作が絡むような症例では、補助的に使われることがあります。ただし使用は慎重に判断されます。

デキサメタゾンは「全身性ステロイド薬」として、局所だけでなく体全体の炎症反応や免疫機能に影響を及ぼします。たとえば、全身性エリテマトーデスやALアミロイドーシスのような全身疾患にも用いられ、内臓や血管などに広がる症状を抑える治療が行われます。局所治療では届かない症状に対しても作用するのが特徴です。

通常、デキサメタゾンは症状や目的に応じて1日1回から4回まで分けて服用します。炎症を抑えるための量は患者さんごとに異なるため、医師の指示で回数が変わることがあります。継続的に飲むことが多いため、飲み忘れないようにする工夫も大切です。

デキサメタゾンは食後の服用が推奨されることが多いです。これは、空腹時に飲むと胃に負担をかけてしまうおそれがあるためです。とくに長期で飲む場合は胃腸のトラブルを避けるためにも、食後のタイミングを意識することが大切です。

基本的には気づいた時点ですぐに飲んで問題ありませんが、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばして通常通りの時間に飲むのが一般的です。ただし、自己判断で2回分をまとめて飲むのは避けてください。詳細は医師に確認を。

自己判断での急な中止はNGです。急に減らすと体に大きな負担がかかり、副作用や離脱症状が起きることがあります。症状がよくなっても、必ず医療機関の指示に従って服用量を調整することが必要です。

デキサメタゾンを長期間使用すると、感染症のリスクが高まったり、糖尿病や骨粗しょう症、消化性潰瘍などの副作用が出ることがあります。目の病気や精神症状などにも注意が必要です。服用中は体調の変化に気づいたら早めに医師へ相談してください。

生ワクチンの接種は控える必要があります。これはデキサメタゾンを使用中や使用後しばらくの間は、免疫機能が低下している可能性があるためです。ワクチン由来の感染症を起こすリスクがあるため、接種を検討する際は必ず医師に相談してください。

急に服用をやめると、発熱や倦怠感、関節痛などの離脱症状が現れることがあります。これは体が薬に慣れてしまっている状態で起こる反応です。服用を中止する際は、医師の指示に従って少しずつ減らすようにしてください。

病気によっては、デキサメタゾンの服用が症状を一時的に悪化させることがあります。たとえば、精神疾患や消化性潰瘍などがある方は、特に注意が必要です。持病のある方はあらかじめ医師に伝えておくと安心です。