トリキュラーの重篤なリスク|血栓・がん・FAGA(抜け毛)の可能性は?

トリキュラーの重篤なリスク|血栓・がん・FAGA(抜け毛)の可能性は?トリキュラーは多くの人にとって安全な薬ですが、ごく稀に重篤な副作用が起こることがあります。
また、FAGAになるといったような噂もあります。

重篤な副作用は時に命に危険を及ぼし、FAGAは女性としての尊厳を脅かす場合があるため、正しい知識を持って適切に対処することが大切です。

こちらのページでは、そんなトリキュラーの重篤な副作用やFAGAに関する噂についての情報を紹介します。
また、トリキュラーの軽度な副作用に関する情報はこちらでまとめています。

リスク1:血栓症

血栓トリキュラーをはじめとする低用量ピルには、血栓症(血のかたまりが血管に詰まる病気)のリスクが上昇することが知られています。
これは、トリキュラーに含まれるエストロゲンが血液を固まりやすくする作用を持っているためです。
ただし、血栓症の発現頻度は「頻度不明」となっており1%未満となっています。

ただし、血栓症はさまざまな要因でリスクが高まるとされているため、リスク上昇の要因がある人は注意しなければいけません。

特に注意が必要な人とは?血栓症のリスクを高める要因

血栓症のリスクが高まる要因はさまざまです。
以下の条件に当てはまる場合が該当するため、服用前に確認しておくようにしましょう。

  • 喫煙している(特に35歳以上)
  • 肥満(BMIが高い)
  • 家族に血栓症の既往がある
  • 手術や長時間の飛行機移動がある

上記に該当する場合は、トリキュラーの服用を避けたり、医師と相談して他の避妊法を検討してください。

これが出たらすぐ受診!血栓症の初期症状(ACHES)

血栓症は、初期症状を見逃さず早期発見することが大切です。
以下の「ACHES」と呼ばれるサインを覚えておきましょう。

症状内容
A(Abdominal pain)激しい腹痛
C(Chest pain)胸の痛みや息切れ
H(Headache)今までにない激しい頭痛
E(Eye problems)視界の異常やかすみ目
S(Severe leg pain)ふくらはぎの痛みや腫れ

これらの症状が出た場合は、血栓ができている可能性があるためすぐにトリキュラーの服用を中止し、医療機関を受診してください。

リスク2:がん(乳がん・子宮頸がんなど)

女性トリキュラーにはがんのリスクに影響を与える可能性がありますが、「増えるリスク」と「減るリスク」があるのが特徴です。
最新の研究では、長期的に見るとトリキュラーが全体的ながんリスクを大きく上げるとは言えないとされています。

リスクが上昇する可能性のあるがん

がんの種類上昇する理由
乳がんエストロゲンが乳腺組織に影響を与える可能性
子宮頸がん胸の痛みや息切れ

トリキュラーに含まれるエストロゲンは、乳腺や子宮頸部の細胞を刺激する作用があります。
そのため、長期間服用した場合、乳がんや子宮頸がんのリスクがわずかに上がるとされています。

ただし、主に5年以上の継続使用や、HPVウイルスの持続感染が関係するため、短期間の服用でリスクが急増するわけではありません。
いずれにしても、定期的な検診で早期発見が可能です。

リスクが低下する可能性のあるがん

がんの種類低下する理由
子宮体がん子宮内膜の増殖が抑えられる
卵巣がん排卵回数が減ることで卵巣への負担が軽減される<

トリキュラーには排卵を抑える作用や、子宮内膜の過剰な増殖を防ぐ働きがあります。
一部のがんのリスクを高めるとされる一方で、子宮体がんや卵巣がんのリスクを下げる効果があることも報告されています。

特に卵巣がんは、排卵のたびに卵巣に微細なダメージが蓄積されることが一因とされており、トリキュラーで排卵を抑えることで予防につながると考えられています。

「子宮内膜症」とがんとトリキュラー

子宮内膜症は、通常なら生理のときに剥がれ落ちる子宮内膜の組織が子宮以外の場所に移動し、重い下腹部痛を引き起こしたり、不妊の原因になったりする病気です。
また、子宮内膜症をきっかけに卵巣がんを引き起こす可能性もあります。
トリキュラーはそんな子宮内膜症に対し以下のような効果があります。

  • 生理を止めることで発症を防ぐ
  • 子宮内膜の増殖を抑制する

実際、トリキュラーは、「最も副作用が少ない子宮内膜症の治療薬」といわれています。

参考元:ピル外来

結論:定期的ながん検診の重要性

がんのリスクに関しては、トリキュラーの効果だけでなく生活習慣・家族歴・年齢なども大きく関わります。
そのため、服用の有無に関わらず、年に1回の婦人科検診を受けておくことがとても大切です。

リスク3:FAGA(女性男性型脱毛症)と抜け毛

抜け毛一部の人では、トリキュラー服用中や中止後に抜け毛を感じることがあります。
これは、女性ホルモン(エストロゲン)のバランス変化がヘアサイクルに影響するためです。
トリキュラーをやめた後にホルモンが急変することで、一時的に抜け毛が増える「休止期脱毛」が起きるケースもあります。
また、まれにFAGA(女性男性型脱毛症)の素因を持つ人が、トリキュラーによってホルモンバランスがきっかけとなり発症することもあります。

トリキュラーで毛深くなることはある?

では逆にトリキュラーを服用することで毛深くなってしまうことはないのでしょうか?
トリキュラーにはプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれていますが、これは強いアンドロゲン作用を持っています。
しかし、トリキュラーにはエストロゲンも含まれているので、アンドロゲン作用が打ち消されるとされています。
そのため、トリキュラーで毛深くなる可能性は極めて稀です。

リスク4:血圧への影響

血圧トリキュラーに含まれるエストロゲンは、腎臓に作用して体内の水分量を変化させるため、血圧に影響を与えることがあります。
軽度であれば問題ありませんが、もともと高血圧の人はトリキュラーは使えません。
これは、血圧の上昇が血栓症の原因になるためです。

また、服用中に血圧が上がる人もいるため、定期的な血圧測定が必要です。
血圧が急激に上がったり、動悸・めまいなどの症状がある場合は、すぐに服用を中止し医師に相談してください。

血圧が高い場合はトリキュラーを使えない?

トリキュラーで血圧が上昇する可能性があることからもともと血圧が高い方はトリキュラーを使うことができません。
以下の表を参考に、自分の自身がトリキュラーを使えるかどうかまずは確認しておくようにしましょう。

使用することが
できないケース
中等度以上の高血圧症
(収縮期血圧 160 mmHg 以上,拡張期血圧 100 mmHg 以上の値を持続的に示す場合)
慎重投与が
必要になるケース
軽度の高血圧症
(収縮期血圧 140~159 mmHg, 拡張期血圧 90~99 mmHg の症例)

参考元:低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)

参考元:高血圧の診断基準と分類|血圧別のリスクと対処法を解説

まとめ:リスクを理解し、定期的な検診で安全な服用を

トリキュラーを含む低用量ピルは、正しく使えば非常に安全性の高い薬です。
ただし、ごく稀に重篤な副作用が起こることがあるため、リスクを正しく理解し、定期的な検診を受けることが重要です。

もし以下に当てはまる場合は、自己判断せず医師に相談してください:

  • 血栓症の症状(ACHES)がある
  • 血圧が高い、または高くなってきた
  • 抜け毛や体調の変化が長く続く

知識があれば、ピルは強い味方になります。
自分の体と向き合いながら、安全にトリキュラーを活用していきましょう。

トリキュラーに関する副作用以外の情報であればこちらをご確認ください。