低用量ピルの服用中におりものが変化する原因とは?対処法についても解説
低用量ピルを服用している際におりものが変化して不安を感じる人は少なくありません。
低用量ピルの服用中は、さまざまな要因によりおりものが変化するためそれほど心配はいりません。
しかし、おりものが変化する原因はピルの服用以外にもあるため注意が必要です。
今回は、低用量ピルの服用に伴って変化したおりものの特徴や原因について解説します。
また、生理周期別のおりもの状態やおりものが変化した場合の対処法についても紹介するため、ピルを服用している人は参考にしてください。
低用量ピルの服用中に変化したおりものの特徴
低用量ピルの服用中におりものの変化が見られることがあります。
低用量ピルの服用によるおりものの変化には、以下のような特徴があります。
- 服用を始めてから3ヶ月目まで起こりやすい
- おりものの量自体は少ない
低用量ピルの服用中に起こるおりものの変化は、服用を始めてからの3ヶ月目までに起こりやすいです。
最初の数ヶ月間は、ホルモンの影響で体が新しい状態に適応するため、量や質に変化が起こることが少なくありません。
また低用量ピルを服用すると、おりものの量自体は減少する傾向にあります。
これは低用量ピルが子宮内膜の肥厚を抑制するためです。
ただし、おりものの変化は低用量ピル以外が原因であるケースもあります。
いつもとは違うにおいや色(たとえば、黄色や緑がかったもの)、かゆみ、痛みを伴う場合は感染症の可能性があるため医師に相談することが重要です。
低用量ピルの服用中におりものが変化する原因とは?
低用量ピルの服用中におりものが変化する原因として、以下が考えられます。
- 低用量ピルによるホルモンバランスの変化
- 低用量ピルの副作用による不正出血
- 性感染症
- 婦人科疾患
ここからは、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
低用量ピルによるホルモンバランスの変化
おりものの変化する原因は、低用量ピルによるホルモンバランスの変化です。
低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンが含まれており、これが体内のホルモンバランスに影響を与えます。
ホルモンバランスが変化すると生理前のようなおりものがでるのが特徴です。
少量の血が混じっているケースもあり、ピンク色や赤色のおりものがでるケースもあります。
低用量ピルの副作用による不正出血
低用量ピルの服用中には、不正出血が見られることがあります。
これはピルの副作用であり、女性ホルモンの影響で子宮内膜が不安定になるためです。
不正出血は、特に服用を始めてからの最初の3ヶ月間に多く見られます。
この期間に女性ホルモンの量が変化するため、出血が起こります。
性感染症
低用量ピルとは直接的な関係はありませんが、性感染症によっておりものが変化するケースもあります。
性感染症はクラミジアや淋病、カンジダ、トリコモナスなどさまざまです。
性感染症の場合は、おりものの形状だけでなくにおいやかゆみなどを伴うケースもああります。
具体的には、以下のようなおりもの変化があります。
性感染症の種類 | おりものの変化 |
---|---|
クラミジア | おりものが水っぽくなる |
淋病 | 膿のような黄色っぽい色になる |
カンジダ | ヨーグルト状のカスのようなものがでる |
トリコモナス | 黄緑色で泡立っている |
性感染症は、適切な治療を受けないと不妊となる可能性があるため、上記のような症状がでたら早めに医療機関に受診しましょう。
婦人科疾患
こちらも低用量ピルとは直接的な関係はありませんが、子宮頸管ポリープや子宮内膜ポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなどの婦人科疾患が原因でおりものが変化することもあります。
粘液を伴うおりものが増えたり、出血が混じることもあります。
出血がある場合は、低用量ピルによるものなのか、それ以外の疾患によるものなのか判別が困難であるため、医療機関を受診することがおすすめです。
正常なおりものとは?
おりものの変化を確認するためには、通常のおりものを正しく把握しておくことが大切です。
ここからは、正常なおりものの状態について生理周期の各段階に分けて詳しく解説します。
卵胞期
卵胞期は月経周期の初期にあたる期間で、通常は月経が始まってから約14日間続きます。
この時期のおりものの特徴は、ホルモンの影響を受けて変化していきます。
初めは月経後のためおりものの量は比較的少なく、血液と混じった茶色っぽい色が特徴です。
その後、卵巣からエストロゲンが分泌されることでおりものの量が増加し、質も変化します。
エストロゲンの影響によって水分が増加し、さらさらとした透明な状態になります。
卵白のようなおりものと表現されることもあります。
排卵期
排卵期は月経周期のなかで卵細胞が成熟し、卵子が卵巣から放出される時期です。
この時期は通常、月経周期の14日目前後にあたります。
この期間、エストロゲンの分泌が最も高まるため、おりものの量は増加し、透明でとろみのある状態になります。
黄体期
黄体期は、月経周期の排卵期から次の月経が始まるまでの期間であり、通常は約14日間続きます。
この期間は卵子が排卵されたあとに形成される黄体から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。
黄体期のおりものは、エストロゲンの分泌が減少してプロゲステロンの影響を受けるため、通常は排卵期に比べておりものの量が減少します。
色は白く、クリーミーな質感になることが多いです。
この時期のおりものが下着に付着すると酸化して黄色っぽく見えることもあります。
低用量ピルの服用中におりものの変化があったときの対処法
低用量ピルの影響によっておりものに変化があった場合、不安を感じる人もいるでしょう。
ここからは、低用量ピルの服用中におりものの変化があったときの対処法について見ていきましょう。
低用量ピルの服用を続けて様子を見る
低用量のピルを服用しておりものの変化が起きた場合、まずは低用量ピルの服用を続けて様子を見ることが大切です。
おりもの変化はホルモンバランスの変化によって起こり、服用を開始してから最初の3ヶ月間は続くため、その期間は様子を見ましょう。
ただし、あまりに変化が大きい場合や異臭を伴う場合、あるいはほかの不快な症状がある場合は、注意が必要です。
性感染症や婦人科疾患など低用量ピルによる影響以外が原因である場合もあるため、医師に相談しましょう。
低用量ピルの種類を変えてみる
もし、おりのものの変化が持続したり、気になったりするようであれば、低用量ピルの種類を変えることも一つの手段です。
現在使用しているピルのホルモン成分が合わない場合、別のピルに変えることでおりもの変化が収まる可能性があります。
たとえば、エストロゲンとプロゲステロンの比率や種類が異なるピルを試してみることで、おりものの状態が改善されることもあります。
産婦人科を受診する
おりものの変化が持続し、なおかつ不快感やにおいを伴う場合はやはり産婦人科医師に相談することが重要です。
婦人科での診察を受けることで、感染症や子宮筋腫・卵巣の異常などを確認できます。
特に、性感染症や炎症が原因である場合、早めに対処することで不妊となることを避けることができます。
診察を受ける際は、気になる症状やおりものの色、量、においなどを詳しく医師に伝えることが重要です。
これにより、正確な診断が行われ、必要な検査や治療を受けることができます。
まとめ
低用量ピルの服用中は、ホルモンバランスの変化や副作用によりおりものが変化するケースがあります。
低用量ピルを服用中のおりものは、量自体は少ないものの血が混じっていることがあります。
こうした変化は、低用量ピルを服用してから約3ヶ月で治まることが多いです。
3ヶ月で治まらない場合は、性感染症や婦人科疾患を否定するために、医療機関を受診しましょう。
低用量ピルを服用している人は、この記事を参考におりものが正常に変化しているのかを確認してみてはいかがでしょうか。
監修者情報
医師
叶谷 愛弓
所属・資格等
レディースクリニックなみなみ 院長
経歴
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
医学博士
日本産科婦人科学会 産科婦人科専門医
日本産科婦人科遺伝診療学会 認定医
FMF認定超音波医
叶谷先生のクリニックはこちら→レディースクリニックなみなみ