更年期になると腟が濡れにくくなる?対処法を徹底解説

更年期になると腟が濡れにくくなる?対処法を徹底解説更年期に入ると腟が濡れにくくなり、性行為の際に痛み(性交痛)を感じることがあります。
性交痛が続く場合、性行為自体に意欲的になれなかったり、辛いものという印象が芽生え、パートナーとの関係に亀裂が入ってしまうケースは珍しくありません。
だからこそ、性交痛の原因を把握した上で適切に対処するのが大切です。
 
この記事では、腟が濡れにくい場合の対処法を具体的に解説します。
性交痛に悩まされている方はぜひ参考にしてください。

 

更年期になると腟が濡れにくくなる?

中年女性の肌更年期に入ると女性ホルモンの分泌が減るため、腟の分泌液が少なくなり濡れにくくなるといわれています。
また、女性ホルモンはコラーゲンの生成にも関係しており、分泌量が減ることで腟の乾燥やハリの低下を感じる場合もあるでしょう。
 
女性ホルモン以外では、自己免疫疾患「シェーグレン症候群」などの病気が要因になることもあります。
中年期以降の女性が発症するケースが多く、全身の分泌腺に異常があらわれることで腟だけでなく体のさまざまな部分が乾燥しやすくなるのが特徴です。
腟が濡れにくくなると、性行為の際に痛みを感じやすくなります。
痛みへのストレスから、さらに強い痛みが生じるケースも少なくありません。
また、腟の乾燥は雑菌の繁殖を促し、ニオイや痛みを感じやすくなる場合もあります。

 

更年期によって腟が濡れにくくなっている場合の対処法

保湿剤腟が濡れにくいことによって性交痛を感じている場合は、適切な対策を取ることが大切です。
痛みを我慢していると、腟に悪影響を与える可能性もあるため注意しましょう。
ここでは、更年期によって腟が濡れにくい場合の対処法を紹介します。
自分に合った方法を取り入れ、問題を解消するための参考にしてください。

 

潤滑ゼリーや保湿剤を活用する

日常的に取り入れられる対処法としては、潤滑ゼリーや保湿剤を活用する方法があります。
潤滑ゼリーは性器同士の摩擦を減らすことで痛みを和らげます。
濡れ方や痛みの感じ方はそのときのコンディションによっても変わるため、様子を見ながら潤滑ゼリーの量を調節しましょう。
また、腟に塗るタイミングが早すぎると乾きやすくなる点にも注意が必要です。
 
保湿剤は、腟のデイリーケアに役立つアイテムです。
まずは、デリケートゾーン用のソープで優しく洗い、腟周辺を清潔にしましょう。
洗浄力の高いボディソープなどで強く洗うと逆効果になる場合もあるため、優しく洗うのがポイントです。
洗った後に専用の保湿剤を使用すると、腟の潤いが持続しやすくなります。
体を洗うとき以外も乾燥を感じたら保湿剤を活用してみてください。

参考元:【更年期や閉経後の性交痛】濡れない原因、対処法や治療法など性交痛の悩みを女医が丁寧に解説

 

ホルモン補充療法を行う

ホルモン補充療法とは、女性ホルモンを補うことで更年期の悩みを改善する治療のことです。
飲み薬や貼り薬、塗り薬などがありそれぞれによって特徴が異なります。
飲み薬は腸管から吸収され、肝臓を通った後に効果を発揮するのが特徴です。
貼り薬や塗り薬は皮膚から血管に直接吸収されるため、肝臓や胃腸への影響が少ないと考えられています。
 
また、女性ホルモン錠剤を腟へ投与し、乾燥や腟萎縮の緩和を目指す治療法もあります。
萎縮性腟炎の治療であれば、保険の適用が可能です。
ただし、乳房のハリなどの副作用が生じる場合があります。
ホルモン補充療法は、腟の乾燥だけでなく「急に体が熱くなる」「疲れやすく常にだるい」など、更年期特有の症状を和らげるのにも役立つ治療です。
まずは医師に相談し、どの治療法が適しているのかしっかり検討するようにしてください。

参考元:更年期の性交痛|症状や原因、対処法は?濡れない、ゆるみなどの悩みも

 

レーザー療法を行う

レーザー療法は、加齢によって衰えた細胞を再生してコラーゲンを誘発することで潤いやハリを取り戻すための治療法です。
メスを使用せずに治療を行うため、体への負担を軽減できます。
女性ホルモンを投与する必要がないため、乳がんや子宮がんの治療を行っている方も取り入れられるのも特徴です。
 
また腟全体が引き締まることで、尿漏れなど尿機能の改善にもつながります。
腟の乾燥だけでなく、デリケートゾーン全般のお悩みを感じている場合に検討してみるとよいでしょう。
また個人差はありますが、一般的に数日~2週間で乾燥が緩和されて性行為の際に痛みを感じづらくなるといわれています。
月に1回のレーザー治療を3ヶ月間継続することで腟の乾燥を改善できるでしょう。

参考元:膣レーザー

 

性交痛は腟が濡れにくくなること以外にも原因はある?

腹痛の中年女性性行痛みは、腟が濡れにくい以外にもさまざまな要因で感じることがあります。
性交痛を感じたら、放っておくのではなく原因を把握することが大切です。
ここでは、主な原因について詳しく紹介します。
性行為時のお悩みを改善するための参考にしてください。

 

婦人科系の疾患を引き起こしている

濡れているのに痛みを感じる場合は、婦人科系の疾患が生じている可能性があります。
下記のような異常がないか確認しましょう。

  • 性行為以外でも痛みを感じる
  • 尿や便を出す際に痛みを感じる
  • 下腹部にずっしりと重みのある痛みを感じる
  • 突然生理痛が重症化した

こうした症状がある場合、「子宮がん」「子宮筋腫」「子宮内膜症」「クラミジア」をはじめとした感染症などの疑いがあります。
早めに医療機関を受診し、原因を明らかにするようにしてください。

参考元:更年期における性交痛とは?痛みの原因から対策や治療方法について

 

骨盤底筋の筋力や腟周辺の皮膚の弾力が低下している

尿道や腟を支える骨盤底筋の筋力が衰えると、性交時の痛みや尿漏れ、過活動膀胱などが起きやすくなります。
女性ホルモンは骨盤底筋の皮下組織の維持にも影響を及ぼしているため、更年期に女性ホルモンが減少することで骨盤底筋が弱まる可能性があるでしょう。
日頃から骨盤底筋を鍛え、筋力を衰えさせないことが大切です。
 
また、女性ホルモンが減少すると、コラーゲンも減少するといわれています。
コラーゲンが減ると肌だけでなく腟にも影響が及び、腟内のハリが低下しやすくなるでしょう。
ハリのない腟は硬くなりやすく、性行為をする際に痛みを感じたり、表面が切れて出血したりといったことが起きる可能性があります。

 

ストレスやトラウマをかかえている

更年期は突然イライラしたりネガティブな気持ちに陥ったりするなど、さまざまな面でストレスを感じることが多くなります。
ストレスが溜まった状態で無理に性行為をしようとすると、体が緊張して痛みを感じる場合があるでしょう。
性交痛を感じた経験があると、再び性行為をする際に「また痛くなったらどうしよう」と不安になって緊張状態に陥り、痛みが強くなることもあります。
結果的に性行為自体が億劫になり、パートナーと距離を置くケースも少なくありません。
 
また、若い頃の経験がトラウマとなってよみがえり、性行為時の痛みにつながる場合もあります。
精神的な要因で痛みを感じているときは、カウンセラーや専門医による心理療法も有効です。
ストレスやトラウマを感じたら、専門家への相談を検討してみてください。

 

更年期になると性感染症のリスクも高まる?

リスクを説明する医者更年期で女性ホルモンの分泌が減少すると、腟の萎縮が起きて自浄作用が低下し、感染症のリスクが高まるといわれています。
性感染症の種類は、トリコモナス腟炎や性器クラミジア、淋菌感染症などさまざまです。
女性の場合、自覚症状がほとんどない性感染症もあるため、知らないうちに症状が悪化している場合も少なくありません。
 
おりものの量や色が突然変わった、ニオイがきつくなった、デリケートゾーンがかゆいなどの異変を感じたら注意が必要です。
気になる症状が出た場合は、早めに医療機関を受診するようにしてください。

 

まとめ

更年期は、女性ホルモンの影響で腟が濡れにくくなることがあります。
腟が濡れず、性行為の際に痛みを感じたら、無理をせず早めに対策を取るようにしてください。
潤滑ゼリーや保湿剤を使用するほか、女性ホルモンの投与やレーザー療法といった選択肢もあるため、専門家に相談しながら検討することが大切です。
 
また、腟が濡れにくい以外の原因でも性交痛が起きる場合があります。
痛みは我慢せず、必要に応じて医療機関を受診するようにしてください。