糖尿病の初期症状はなに?無症状が多いってホント?

糖尿病の初期症状はなに?無症状が多いってホント?生活習慣病のひとつである糖尿病
名前自体はよく目にしたり耳にしたりすることがあるかと思います。
ですが、実際にこの糖尿病になってしまった場合には、どういった症状があらわれるのでしょうか?
こちらのページではそんな糖尿病の初期症状について紹介していきたいと思いますので、糖尿病かもしれない…という方は是非一度参考にしてみてください。

 

糖尿病の初期症状にはなにがある?

糖尿病を発症した場合にあらわれる初期症状には一体どのようなものがあるのでしょうか?
まずは、この糖尿病の初期症状について紹介していきたいと思います。

 

糖尿病はほとんどが無症状

糖尿病を発症した場合、何かしらの症状が初期症状としてあらわれることはほとんどありません。
多くの方が無症状のまま糖尿病を発症し、気づかぬうちに糖尿病が進行してしまいます。
そのため、糖尿病はサイレントキラーとも呼ばれ、明確な症状があらわれるころにはかなり糖尿病が進行してしまっていることは珍しくありません。

参考元:サイレントキラーと呼ばれる糖尿病

 

初期症状として起こりやすい症状

糖尿病を発症した場合にあらわれやすい初期症状としては喉の渇きや多飲、多尿や倦怠感といったものがあげられます。
しかし、いずれの症状についても徐々にあらわれるため、急に上記のような症状が明確にあらわれるということはありません。
そのため、日頃から体の変化や異変を注意深く観察していないと糖尿病の発症に症状から気付くことは容易ではありません。
それ故に、定期的に検査などをしていない場合は、糖尿病が進行して合併症を発症してから明確な症状があらわれて、初めて糖尿病に気づくという場合も珍しくありません。

 

糖尿病が少し進行するとあらわれる症状

糖尿病に気づかないまま放置してしまうと徐々にいろいろな症状があらわれるようになります。
ここからは、糖尿病が進行した時にあらわれる症状を紹介します。

 

糖尿性神経症

糖尿病神経症は糖尿病によって高血糖の状態が長く続いた時にあらわれる症状です。
運動神経や知覚神経、自律神経などに障害が及ぶようになって、さまざまな症状があらわれます。
例えば、運動神経に障害があらわれると足先が垂れて歩きにくくなったり、手先がしびれたりします。
知覚神経に障害があらわれると、不快な痛みに悩まされるようになったり、痛みや寒さを感じにくくなったりします。
 
また、自律神経に障害があらわれると、立ち眩みや発汗の異常、EDや排尿障害、胃腸障害(つづく便秘や下痢)といったさまざまな症状があらわれます。
このように、神経に障害があらわれることでさまざまな症状が体のさまざまな部位であらわれるのが糖尿病神経症の特徴です。

参考元:糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょうがい)

 

糖尿性網膜症

糖尿病が進行することであらわれる症状のひとつが糖尿病性網膜症です。
これは糖尿病が進行することで眼球内の組織である網膜が障害を受けて、視力が低下する病気です。
また、糖尿病性網膜症は視力の低下だけでなく、症状が進行してしまうと完全に視力を失って失明してしまうといったリスクもあります。
 
この糖尿病性網膜症による失明は現代の日本における失明原因の代表にもなっているため、糖尿病によって視力低下などの症状があらわれた場合は、速やかに対処していくことが必要不可欠といえます。
定期的な検診によって糖尿病性網膜症を発見し、早期に治療することで視力低下の進行を抑えることは可能であるため、糖尿病になった場合は定期的な検診は非常に重要といえます。

参考元:糖尿病網膜症とは

 

糖尿性腎症

糖尿病が進行することによってあらわれるさまざまな合併症の中でも特に気を付けるべきなのがこの糖尿病性腎症です。
糖尿病の進行によって、腎臓の機能が低下するというもので、この糖尿病性腎症が進行してしまうと最終的に人工透析が必要な体になってしまいます。
人工透析が必要になる原因の病気の第一位となっているのが、この糖尿病性腎症であるため糖尿病を発症した場合には定期的な検査を受けて腎機能をチェックすることは非常に重要といえます。
 
この糖尿病性腎症は、発症初期はほとんど自覚症状がなく徐々にむくみや貧血、気分不良といった症状があらわれます。
そのため、気づいたときには人工透析を免れないという状況になってしまうケースも少なくないため注意しておくようにしましょう。

参考元:糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)

 

どんな人が糖尿病になりやすい?

外食している男性糖尿病は進行してしまうと様々な合併症を引き起こし、失明してしまったり人工透析が必要になったりと非常に危険な病気です。
では、この糖尿病にはなりやすい人はいるのでしょうか?
ここからは、どういった人が糖尿病になりやすいのかといったことについて紹介していきたいと思います。

 

肥満体型・外食が多い

糖尿病になりやすい人の特徴と考えられているのが、肥満体型の方や食生活が乱れやすい方です。
現在の考え方では、糖尿病には免疫異常による1型と生活習慣などが主な原因となる2型があり、糖尿病患者の8から9割以上が2型の糖尿病患者とされています。
甘いお菓子やジュースをよく食べたり、脂っこい食事が多かったり、肥満体型という方は2型の糖尿病になる危険が高くなっています。
 
また、食生活が乱れている、いわゆる栄養バランスが偏りがちな外食が多いという方も同様に糖尿病のリスクが高まるといえるため、日ごろから外食が中心で肥満気味という方は食生活の習慣を改善するということは非常に重要です。
ただ、必ずしも肥満があるから糖尿病というわけではなく、あくまでも糖尿病は加齢によって誰でもなるリスクがあり、肥満や食生活の乱れは注意しましょうという点に留意してください。

参考元:糖尿病になりやすい人の特徴と予防法

 

運動不足になっている

糖尿病になりやすい人は食習慣が乱れている方の他に、運動不足な方もなりやすくなっています。
実際に、日常の活動量が多い人と比べて、少ない人は糖尿病の発症率は高いとされています。
運動によって筋肉への血流が増加することで、内臓脂肪も減少し、血糖が筋肉に取り込まれ血糖値を低下させます。
 
そのため、日ごろから運動や筋力トレーニングなどを行い、血糖値を下げることで糖尿病を予防することができます。
逆に言えば、そうした運動をしない方の場合は血糖値を下げる効果は弱くなってしまい、高血糖の状態が維持され糖尿病になりやすくなってしまいます。

参考元:糖尿病の運動のはなし

 

アルコールをよく飲む

アルコールの摂取自体は適切な量であれば糖尿病の予防になる可能性もありますが、過度な飲酒は糖尿病のリスクを高めてしまいます。
これは、飲酒によって過度にアルコールを摂取してしまうと、血糖を下げる働きがあるインスリンの分泌を抑制してしまう効果もあるためです。
 
また、単純にお酒の飲みすぎや食べ過ぎによるカロリー過多そのものが、血糖値を高める要因となるため二重に血糖を高めてしまうことになります。
その結果、血糖値が高い状態が維持されてしまい糖尿病を発症してしまうのです。

参考元:アルコールと糖尿病

 

ストレスが多い

日頃から多くのストレス(睡眠不足など)を受けている人も、糖尿病になりやすいとされています。
これは、人がストレスを受けることによって分泌されるホルモンのコルチゾールが血圧や心拍を上昇させるとともに、血糖値も高める作用があるためです。
また、ストレスを受けることでインスリンの作用を受けにくくなるということも判明しています。
そのため、日ごろから強いストレスを受けている方は、血糖値が上昇しやすい上に血糖値を下げるインスリンの効果が低下することによって、糖尿病になりやすくなります。

参考元:糖尿病とストレスの関係

 

血縁者に糖尿病の人がいる

糖尿病になりやすい人は上記のような生活習慣やストレスなどが原因となることが多いですが、血縁者に糖尿病の方がいる場合もなりやすくなっています。
糖尿病は遺伝するとされており特に、両親がどちらも糖尿病であるという場合では4~5割の方が糖尿病になるという報告もあります。
そのため、生活習慣などに問題がない場合でも、両親からの遺伝によって糖尿病を発症してしまうという可能性があるため、血縁者に糖尿病の方がいるという場合は定期的な検査などでチェックしてくことは非常に重要といえます。

参考元:糖尿病と遺伝についての解説

 

症状を感じたらすぐに病院で検査を受けましょう!

総合病院ここまで、糖尿病の初期症状や糖尿病になりやすいという人について紹介してきました。
糖尿病になりやすい人に該当している場合には、定期的に健診を受けるなどのチェックを行うことが大切ですし、何かしらの症状があらわれたという場合には速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
糖尿病の検査については、一般内科や内分泌糖尿病内科を受診することで受けることが可能です。
 
また、眼科や外科などでも検査を受けることができる場合があるので、そちらを受診する場合には事前に確認しておくようにしましょう。
検査の結果が出るまでの時間は受診する医療機関の設備によっても違いますが、多くの場合30~60分で結果がでるので、できる限り速やかに検査を受けるようにしましょう。

 

まとめ

こちらのページでは糖尿病を発症した場合にあらわれる初期症状や糖尿病になりやすい人について紹介してきました。
こちらで紹介した情報をまとめたポイントがこちら

  • 糖尿病の症状は徐々にあらわれるから気づきにくい
  • 発症する合併症を放置すると人工透析や失明など取り返しのつかないことがある
  • 肥満体型や食生活が乱れた人がなりやすい
  • 運動不足や過剰に飲酒するかもなりやすい
  • 血縁者に糖尿病の人がいる場合も注意
  • 症状を感じた場合はすぐに病院で検査を

糖尿病を発症してすぐに何かしらの症状がハッキリとあらわれることはありません。
徐々に倦怠感や口の乾きといった症状があらわれるため、気づきにくくなっています。
そのまま糖尿病に気づかず放置してしまうとさまざまな合併症を併発してしまって失明したり、人工透析が必要になってしまう場合もあります。
そのため、自身が糖尿病になりやすいかどうかを把握した上で、何かしらの異常を感じた場合には速やかに専門の医療機関などで検査を受けるようにしましょう。

 

監修者情報

井林雄太 糖尿病専門医

  • 医師

    井林 雄太(いばやし ゆうた)

  • 所属学会

    日本糖尿病内科専門医・日本内分泌内科専門医・日本内科学会認定内科医

  • 経歴

    2008年に大分大学医学部を卒業。糖尿病専門外来や、内分泌専門外来に従事しており、糖尿病の臨床や栄養学、アンチエイジング学を専門としている。ミトコンドリアの研究などの論文執筆や国際学会の発表歴を持ち、厚生労働省委託事業である希少疾患ガイドライン作成のチームリーダーなども歴任。また、医師向けの専門書執筆をはじめ、記事執筆/監修、市民公開講座などを行い、正しい医療知識の普及・啓蒙に努めている。