治療の成果は飲み方で決まる!イベルメクトールの服用方法
イベルメクトールは、有効成分イベルメクチンの優れた効果により、疥癬をはじめとする寄生虫感染症を治療することが可能です。
しかし、飲み方を間違えると正しく効果が得られないばかりか、副作用のリスクが高まることも……。
こちらのページでは、イベルメクトールの正しい使い方と注意点をわかりやすく解説します。
目次 [表示]
疥癬撃退の基本。イベルメクトールの内服量や投与回数を把握しよう
疥癬の治療において、イベルメクトールの服用量は体重1kgあたり0.2mgが目安です。
1回目を服用後、1〜2週間あけて2回目を服用するのが一般的で、いずれも空腹時に服用します。
・休薬期間がある
・2回目の服用が必要
上記の2点を忘れないようにしましょう!
体重 | 服用量 | 錠数(12mg錠) |
---|---|---|
15-24kg | 3mg | 1/4錠 |
25-35kg | 6mg | 1/2錠 |
36-50kg | 9mg | 3/4錠 |
51-65kg | 12mg | 1錠 |
66-79kg | 15mg | 1+1/4錠 |
80kg~ | 18mg~ | 約200μg/kgで換算 |
「いつ飲む?」の正解。効果を引き出すタイミング
【服用タイミング】
空腹時に飲むことで成分の吸収が安定します。
服用前は2時間、服用後は4時間の絶食が理想です。
【投与間隔】
1回目服用後、1〜2週間あけて検査などをした上で2回目の服用を検討します。
ちなみに、イベルメクトールを空腹時に飲むのは、有効成分のイベルメクチンが脂溶性であるためです。
食後に服用すると、イベルメクチンが食事の脂質に溶けて吸収量が増え、副作用リスクが高まります。
飲んでからの流れ。疥癬治療の回復プロセスを知る
イベルメクトールは即効性の高い治療薬であるため、疥癬では通常、数日から1週間程度でかゆみの軽減や皮疹の改善が見られることが多いです。
ただし、症状の進行具合によっては完全な改善までにさらに時間がかかることもあります。
早めに治療を済ませるには、早期発見・早期治療が欠かせません。
家庭内・施設内感染を防ぐための予防策
集団感染のリスクが高い施設や家庭内では、疥癬を発症した人に接触した可能性がある人に対し、イベルメクトールの予防的な投与が行われることがあります。
服用方法は通常と同じ(体重1kgあたり0.2mg)ですが、自己判断での予防投与はできません。
また、定期的な皮膚検査や発症者への適切な治療を並行する必要があります。
糞線虫症やオンコセルカ症などの疥癬以外の飲み方は?
イベメクトールは、疥癬以外にも糞線虫症やオンコセルカ症といった寄生虫症の治療に用いられます。
疥癬とは飲み方が違うので、紹介します。
疾患名 | 用量 | 回数・間隔 |
---|---|---|
糞線虫症 | 0.2mg/kg | 単回(再感染時に再投与) |
オンコセルカ症 | 0.15mg/kg | 年1〜4回の定期投与(地域による) |
糞線虫症の場合、1回あたり体重1kgにつき0.2mgを服用します。
単回投与が基本ですが、再感染の可能性がある場合は追加投与を行うことがあります。
オンコセルカ症の場合、体重1kgあたり0.15mgを年1〜2回服用します。
再感染リスクが高い地域(熱帯アフリカ、中南米の流行地域など)では、年2回から4回の定期投与が推奨されることもあります。
一方、感染リスクが比較的低い場合は年1回の投与で管理されることが一般的です。
なお、疥癬治療の服用方法と同じように、他の疾患の治療でもイベルメクトールは空腹時が基本です。
飲む前に確認!イベルメクトール服用時の3つの注意点
イベルメクトールを服用するにあたり、次の3つの注意点を押さえておく必要があります。
こんな人は注意!服用前に押さえたいポイント
イベルメクトールは比較的安全な薬とされていますが、妊婦や授乳中の女性には使用が推奨されていません。
また、ロア糸状虫による重度感染を併発しているなど、特定の病気の方も慎重な判断が求められます。
飲みすぎ注意!中毒症状とその危険性
イベルメクトールを過剰に服用すると、中毒症状が現れる可能性があります。
・めまい
・頭痛
・意識障害
・けいれん
上記のような神経症状が一般的ですが、重篤な場合には昏睡状態に至ることもあります。
その他に肝機能障害や皮膚症状の悪化も報告されているため、服用量の厳守が重要です。
もし飲みすぎたら?過量服用時に取るべき行動
服用後に異常を感じた場合や過剰に服用してしまった場合は、すぐに医療機関を受診してください。
自己判断で服用を続けたり、中止したりすることは避け、必ず医師の指示に従うことが大切です。
特に、中枢神経症状や呼吸困難、強い倦怠感が現れた場合は、緊急対応が必要になります。
正しい飲み方が鍵!イベルメクトール治療の最終チェック
疥癬治療にイベルメクトールを使用する際には、飲み方と注意点を正しく理解することが大切です。
ここまでの内容を、重要なポイントに絞って整理します。
- 疥癬治療の際、服用量は体重1kgあたり0.2mgが基本
- 空腹時に服用することで吸収が安定する
- 過剰摂取は中毒や重篤な副作用の原因になる
イベルメクトールは、用法・用量を守ることで効果を最大限に発揮します。
疥癬以外にも使用されますが、疾患ごとに服用方法は異なるため、きちんと把握した上で上手に活用しましょう。