フルコナゾール

カンジダやクリプトコッカスなどの真菌による感染症に幅広く使われます。真菌が血液や肺、消化管、尿路、脳などに入り込むと重い症状を引き起こすため、フルコナゾールで増殖を抑えて回復を助けます。深い部分の感染にも使えるのが特徴です。

真菌の細胞膜を作る成分の合成をおさえることで増殖を止めます。菌そのものを殺すのではなく、これ以上増えないように働きかけて、体が回復しやすい状態を整えていきます。

臨床試験では単回投与でも治癒率が80％以上となっています。このことから非常に高い効果に期待できます。かゆみやおりものなどの症状も早い段階で軽くなり、再発の予防にもつながります。

飲み薬として全身に届きやすく、幅広い真菌に対応できるのが強みです。消化管や尿路などいろいろな部位に使え、注射薬なしでも治療が進められる点が大きな利点です。

基本的には1日1回、決められた量を水で飲むのが基本です。毎日同じ時間帯に飲むことで体内の薬の濃度が安定しやすくなり、より効果的に真菌の増殖を抑えることができます。食事の影響は少ないので、空腹時でも食後でも使用できます。

カンジダ症では感染の部位や重症度によって量が変わります。たとえば腟カンジダ症では150mgを1回飲むだけでよく、それ以外の部位では50〜100mgを毎日続けて飲むことが多いです。症状の重さに応じて調整されます。

1日1回の薬なので、朝でも夜でも決めた時間に毎日忘れずに飲むことが大切です。体内の薬の濃度を一定に保つため、毎日同じタイミングで飲むと効果が安定しやすくなります。

用量は病状に応じて調整されますが、急に多くの量をまとめて飲むと副作用のリスクが高まることがあります。医師の指示どおりに1日量を守って使うことで、安全に治療が進められます。

ショックやアナフィラキシーのような急激なアレルギー反応が報告されています。血圧の低下や発疹、顔の腫れ、息苦しさなどが急に現れた場合は重大な副作用の可能性があります。体調の変化には早めに気づくことが大切です。

一部の薬とは併用によって血中濃度が大きく変わるため注意が必要です。たとえば抗精神病薬のルラシドンやブロナンセリンと併用すると効果が強くなりすぎるおそれがあります。

妊婦または妊娠の可能性がある女性には使用を避けることが求められています。胎児に異常が起きた可能性があるという報告があり、催奇形性のリスクが指摘されています。そのため、基本的には使用するケースはほとんどないといえます。

臨床試験では下痢、吐き気、発疹などの軽い副作用が比較的よく見られました。いずれも一時的なことが多いですが、症状が強すぎたり、いつまでも改善しない場合は場合は医師に相談が必要です。