アジーはどんな性感染症に効く?正しい知識で性病対策!
アジーは優れた抗菌薬で、性感染症を含むさまざまな細菌性の感染症に効果を発揮します。
とはいえ、「性感染症=すべてアジーで治せる」というわけではありません!
こちらのページでは、アジーが有効な性感染症と、有効ではない性感染症について解説します。
目次 [表示]
アジーで性感染症を治療する前に、アジーの効果と治療期間を一覧で確認!
まずは、代表的な性感染症におけるアジーの効果の有無や治療期間について、一覧でまとめました。
病名 | アジーの効果 | 治療期間 |
---|---|---|
クラミジア | ◎(第一選択薬) | 2~3週間 |
マイコプラズマ | 〇(高用量) | 2~4週間 |
ウレアプラズマ | 〇 | 2~4週間 |
梅毒 | △ | 2~4週間(第1期梅毒) |
淋病 | × | 2~3週間 |
カンジダ | × | 2~4週間 |
コンジローマ | × | 約3ヶ月 |
トリコモナス | × | 約2週間 |
HIV | × | 一生涯 |
※表における「治療期間」は再検査を含めた治療期間です
※アジーの効果がない性感染症の治療期間は、適切な治療法を用いた場合の治療期間です
こうして見ると、日本で最も感染者数が多いクラミジアに対しては優れた効果を発揮するものの、2020年代に入ってから急増している梅毒は『△』という程度で、第一選択ではありません。
また、クラミジアに次いで感染者数が多い淋病をはじめ、アジーが効かない性感染症も少なくありません。
アジーは全ての性感染症に有効なわけじゃない!
そもそもアジーは、マクロライド系抗生物質のアジスロマイシンを有効成分とする抗菌薬で、性感染症の中でも 「細菌」が原因となる病気に対して効果があります。
逆にいえば、原因が細菌ではない性感染症に対しては、効果が得られないのです。
また、細菌による性感染症の中にも、アジーが有効でないものがあります。
性感染症の治療は、「自分はどの性病にかかっているのか」「自分の性病にはどの薬が効くのか」をしっかり把握したうえで行うことが欠かせません。
アジーで治せる性感染症|正しい飲み方と治療の流れを徹底解説
ここからは、アジーで治療できる性感染症について紹介していきます。
クラミジア感染症の治療はアジーが第一選択薬!
クラミジア感染症は、アジーで簡単に治療が可能です。
アジーを1回(1000mg)服用するだけでよく、服用から2~3週間後の再検査で「陰性」が出れば完治となります。
治療期間は、性器クラミジアも咽頭クラミジアも同様です。
クラミジアに似た症状が出るウレアプラズマとマイコプラズマにも有効!
ウレアプラズマやマイコプラズマは、クラミジアと似た症状(尿道炎による排尿痛など)を引き起こす細菌です。
この治療にもアジーは用いられ、飲み方もアジーと変わりません。
アジスロマイシン1000mgを1回服用し、再検査を行うだけです。
ただし、再検査のタイミングは服用から2~4週間後となっています。
第一選択ではないが梅毒治療にも使われる
梅毒はペニシリン系の抗生物質アモキシシリンが第一選択となっていますが、ペニシリンアレルギーがある場合はテトラサイクリン系の抗生物質ドキシサイクリンが使われることがあります。さらに、ドキシサイクリンも使えない場合はアジスロマイシンが投与されることがあります。
ただし、海外ではアジスロマイシンに耐性を持つ梅毒トレポネーマ(原因菌)が確認されている点には注意が必要です。
梅毒が疑われる場合は必ず病院で診察を受け、適切な治療を行いましょう。
アジーが効かない性感染症とは?間違った治療で後悔しないために
次に、アジーが効かない性感染症について紹介していきます。
以前は効果があった淋病!今はアジーでの治療は危険!
かつて、淋菌が原因の淋病はアジーで治療可能でした。
しかし現在、「アジーで治せる」と短絡的に考えるのは危険です!
というのも、耐性菌の登場により治療効果が見込めなくなっているのです。
淋病の治療ではセフィム系の抗生物質セフトリアキソンが第一選択となり、点滴治療を行います。
参考元:専門医+エキスパートに聞く よりよい服薬指導のための基礎知識 vol.110 | ファーマスタイルWEB 性感染症(STD)梅毒・性器クラミジア感染症・淋菌感染症
女性に多いカンジダやトリコモナスにも効果はない
女性に多い性感染症であるカンジダやトリコモナスは、そもそも病原体が細菌ではないため、抗菌薬のアジーは効果を発揮しません。
カンジダは真菌、トリコモナスは原虫が原因で起こるため、それぞれ抗真菌薬や抗原虫薬が用いられます。
ウイルスが原因のコンジローマには全く効果がない
コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症です。
ウイルス性の性感染症であるため、抗菌薬であるアジーはまったく効果がありません。
コンジローマは外用薬(イミキモドクリーム)や外科的な治療が基本となります。
ウイルスが原因のHIVにも効果はない
エイズ(後天性免疫不全症候群)を引き起こすHIVもウイルス性の性感染症であるため、アジーによって治すことはできません。
HIVの治療は、エイズ発症を抑える薬を服用し続けることで行います。
アジーは全ての性感染症に有効じゃない。正しい知識を持って治療に臨もう
ここまで、アジーのさまざまな性感染症に対する効果について紹介してきました。
- アジーが有効なのは細菌性のクラミジアとウレアプラズマ
- 第一選択ではないものの、梅毒の治療に使われることもある
- 昔は細菌性の淋病にも有効だったが、耐性菌の影響で現在は効果がない
- ウイルス、真菌、原虫が原因の性感染症にはもともと使えない
アジーは、クラミジアやウレアプラズマといった細菌性の性感染症に効果がありますが、同じ細菌性の淋病の治療には使えません。
また、ウイルスや原虫、真菌が原因となる性感染症には効果がありません。
正しく性感染症に向き合うため、ぜひ押さえておきましょう!