妊娠中に睡眠薬を服用できる?胎児への影響と服用する際の注意点を解説

妊娠中に睡眠薬を服用できる?胎児への影響と服用する際の注意点を解説妊娠中の不眠に悩み睡眠薬の服用を考えているものの、胎児に与える影響が心配で服用をためらう人も多いのではないでしょうか。
妊娠期間中の睡眠薬の服用が問題ないのか、どのような注意点があるのか気になるところです。
 
この記事では、妊娠中における睡眠薬の服用に関する注意点や、胎児への影響について詳しく解説します。
また、服用可能な睡眠薬の種類や快適な睡眠を得るための方法についても紹介するため、妊娠中の不眠に悩んでいる人は参考にしてください。

 

妊娠中に睡眠薬を使っても大丈夫?胎児への影響は?

妊婦結論からいうと、妊娠中に睡眠薬を服用することは可能です。
ただし、すべての睡眠薬が安全に使用できるわけではありません。薬の種類や妊娠週数に応じて使用の可否が異なるため、慎重な判断が求められます。
そして、妊娠中の薬物療法では、過剰摂取や長期間にわたる服用は避けて「必要最低限の量をできるだけ短期間で服用する」という考え方が基本です。
また、眠れない場合でもすぐに睡眠薬に頼るのではなく、まずは生活習慣を見直したりリラックス法を試みたりするなどの対策を行いましょう。

 

妊娠中に服用できる睡眠薬は?

妊娠中は、以下のような睡眠薬などを服用できます。

  • 睡眠導入剤
  • 睡眠サプリ
  • 漢方薬

ここでは、それぞれの睡眠薬について詳しく解説します。

 

睡眠導入剤

睡眠導入剤は、短期間のみであれば妊娠中でも服用することが可能です。
ただし、自己判断で睡眠導入剤を服用すると胎児や母体に悪影響を与える可能性があるため、妊婦さんの状態や体質を考慮する必要があります。
また、睡眠導入剤は短期的な不眠の解決策として服用することが大切です。
 
妊婦さんが睡眠導入剤を長期間服用すると、胎児が「新生児薬物離脱症候群」を引き起こす可能性があります。
新生児薬物離脱症候群とは、母体が服用している薬剤が胎盤を通じて胎児に移行し、出生した胎児に震えや傾眠などの症状が一時的に発症することです。

 

睡眠サプリ

睡眠サプリには副交感神経に働きかけたり深部体温を下げたりする成分が含まれており、睡眠の質をよくする効果があります。
病院で処方される睡眠薬は翌日に強い眠気やふらつきなどの副作用があるのに対し、睡眠サプリは目覚めたときの疲労感を軽減させるのが特徴です。
睡眠サプリの代表的な成分として、GABAやテアニンが挙げられます。
GABAはアミノ酸の一種であり、リラックス効果があります。
テアニンもアミノ酸の一種であり、ストレスを軽減するのに効果的です。
 
これらの成分が含まれる睡眠サプリを飲めば、深い睡眠や目覚めたときの疲労感・不快感の軽減などに役立つでしょう。
ただし睡眠サプリのなかには、妊婦さんが服用できないものもあるため、選ぶ際には注意が必要です。

 

漢方薬

漢方薬は体質改善や心身のバランスを整える目的で服用され、妊娠中の不眠にも役立ちます。
漢方薬は妊娠中のストレスやホルモンバランスの乱れを改善することで不眠を解消します。
たとえば、体質虚弱な方の不安などの神経症状を抑える「加味帰脾湯」や、神経の高ぶり・緊張を抑える「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」などは、不眠に効果的な漢方薬としてよく使われます。
漢方薬は即効性には欠けますが、副作用が少ないため妊娠中であっても長期間にわたって安全に服用することが可能です。

 

妊娠中に睡眠薬を服用する際の注意点

妊娠中に睡眠薬を服用する際は、胎児への影響や副作用を避けるために適切な服用方法を理解することが重要です。
ここでは、妊娠中に睡眠薬を服用する際の注意点について詳しく解説します。

 

睡眠薬の過剰摂取は避ける

睡眠薬の過剰摂取は、妊婦さんだけでなく胎児にも悪影響を及ぼす可能性があります。
たとえば、睡眠薬を飲みすぎると胎児が過眠状態になるリスクが高まります。
ほかにも、赤ちゃんの成長や発達に支障をきたすリスクもあるため、睡眠薬は必要最小限の量を服用することが重要です。
 
また、妊娠中は普段と同じ薬の効き目や副作用がでるとは限りません。
睡眠薬を服用する際は、定期的に医師に相談するなどして適切な服用法を確認することが、母子ともに健康でいるためのポイントとなります。

 

睡眠サプリを使う前に医師に相談する

妊娠中に服用できる睡眠サプリはGABAやテアニンなどさまざまありますが妊娠中の服用が推奨されないものも存在します。
妊婦さんが安全に睡眠サプリを服用するためには睡眠薬と同様に適切な製品を選ぶことが大切です。
睡眠サプリ選びに迷った時は医師に相談することで、妊娠中の体調や状況を踏まえ最適なアドバイスを提供してくれます。
自身の健康だけでなく胎児の健康を守るためにも、睡眠サプリを服用する際は適切なものを適切に利用するようにしましょう。

 

妊娠中の睡眠を快適にする方法

妊娠中は体や心にさまざまな変化が生じるため、快適な睡眠を確保する必要があります。
睡眠の質を向上させるためには、リラックスできる環境を整えることが効果的です。
ここでは、妊娠中の睡眠を快適にする方法をいくつか紹介します。

 

リラックスできるアロマや入浴剤を活用する

普段の生活のなかでリラックスできる時間をつくることは、妊娠中の睡眠改善に効果的です。
たとえばアロマオイルを使用することで、心地よい香りに包まれながらリラックスしたひとときを過ごせるでしょう。
アロマオイルとして代表的なラベンダーやカモミールの香りは、ストレスを軽減してリラックス効果を高めるとされています。
 
また、リラックス効果がある入浴剤を使って温かいお風呂に浸かるのも睡眠改善に効果的です。
入浴中に体温が上昇し、その後の体温低下が睡眠を促進します。
入浴後はリラックスした状態でベッドに入れるため快適な睡眠環境が整うでしょう。

 

妊婦さん向けのヨガを取り入れる

妊婦さんに適したヨガは体に負担をかけないポーズが多く含まれており、心身のリラックスに効果的です。
呼吸法を取り入れながらゆったりと行う動きをすることで、ストレスを和らげて心が落ち着くでしょう。
また、ヨガを行うときは無理のない範囲で行うことも大切です。
妊婦さん向けのクラスを用意しているところもあるため、活用してみるのもよいでしょう。

 

ハーブティーや温かい飲み物を摂る

妊娠中は、ハーブティーや温かい飲み物を飲んでリラックスできる時間をつくることも大切です。
リラックス効果のあるハーブティーは心を穏やかにして体を温める効果があります。
 
ただし、妊娠中に使用できるハーブは限られており、安全性が確認されているものを選ぶ必要があります。
飲む前に自分に合ったハーブティーを選ぶようにしましょう。
温かい飲み物は体を温めてリラックスさせて自然な眠りをサポートするので、就寝前に取り入れるのがおすすめです。

 

まとめ

妊娠中に睡眠薬を服用することは可能ですが、胎児への影響を考慮して必要最少量かつ短期間に限り服用することが重要です。
妊婦さんが服用できる睡眠薬には睡眠導入剤や自然由来の睡眠サプリ、漢方薬が挙げられます。
また、妊娠中の快適な睡眠をサポートするために、リラックスできる習慣や妊婦さん向けのヨガを取り入れるとも効果的です。
他にも、ハーブティーや温かい飲み物を摂ることでリラックスした状態を保ち、快適な睡眠を促しましょう。
 

監修者情報

薬剤師 榊原布尚

  • 執筆者

    榊原 布尚(さかきばら のぶなお)

  • 所属・資格等

    薬剤師・研修認定薬剤師

  • 経歴

    薬局経営者&Webライター。薬剤師免許取得後、病院で4年間、調剤薬局で6年間勤務。その後、M&Aにて調剤薬局を買収し独立。現在は、薬局経営を行いながら、「薬剤師に保険調剤以外の働き方を!」というテーマのもと、これまで得た薬局管理の知識や、薬の情報などを発信している。