睡眠薬の副作用はたくさんある!知っておきたい副作用の対策と間違った服用方法

睡眠薬の多い副作用睡眠障害の改善に役立つ睡眠薬。現在では一般的に利用されていますが、当然のことながら睡眠薬を服用するにあたって正しい服用方法を把握しておくことは必要不可欠です。
ですが、用法用量だけではなく睡眠薬の副作用などについても把握しておくことも重要になります。これは、副作用を把握しておくことで、副作用症状があらわれた時にいち早く気付けるといったことにも繋がるためです。

そこで、こちらのページでは睡眠薬の副作用についてや副作用に関する疑問、そして睡眠薬の正しい服用方法について紹介していきます。

睡眠薬の代表的な副作用

睡眠薬の副作用は多岐にわたります。また、服用する睡眠薬の種類によっても副作用が違っていたりもします。そのため、まずは睡眠薬の副作用として代表的な

  • ふらつき・転倒
  • 翌日の眠気(持ち越し効果)
  • 健忘(けんぼう)
  • せん妄
  • 作業効率の低下
  • 反跳症状・退薬症状
  • 依存症

の7つについて紹介していきます。

上記の副作用は、多くの睡眠薬であらわれるおそれがある副作用となっているため、症状があらわれたという場合には、適切に対処しましょう、

ふらつき・転倒

ふらつき最初に紹介する副作用は「ふらつき・転倒」です。
この副作用は眠気が原因となって立っていることが難しくバランスを崩してふらついてしまったり、筋弛緩作用によって筋肉が弛緩して体重を支え切れずにふらついてしまったり、転倒してしまいます。
自宅などのプライベートな空間であっても、ふらついたり転倒してしまうと危険な場合もありますし、外出時などにあらわれると更に危険です。

このふらつきや転倒という副作用は、睡眠薬を服用してから効果があらわれている間にあらわれる副作用であり、短時間型や長時間型など種類を問わず効果が出ているタイミングであらわれる副作用になります。
そのため、超短時間型の睡眠薬などの場合、服用後から1時間ほどであらわれるといったケースもあります。

翌日の眠気(持ち越し効果)

眠気次に紹介する副作用は「翌日の眠気(持ち越し効果)」です。
これは、睡眠薬の効果を翌日まで持ち越してしまい、その結果、起床してから睡眠薬の作用によって眠気が取れずに眠たいままとなってしまう副作用です。
効果時間が長い長時間型などの睡眠薬で起きやすい副作用ですが、短時間型や超短時間型の睡眠薬であっても服用するタイミングと睡眠時間によっては翌日まで効果を持ち越してしまう可能性があります。
睡眠時間を十分に取れないタイミングで睡眠薬を服用してしまった場合に、起床後も効果が持続してしまう可能性が高くなります。また、入眠障害なのに長時間型の睡眠薬を服用するといったような適切でない睡眠薬を服用している場合にも、あらわれやすくなります。

健忘(けんぼう)

健忘睡眠薬の代表的な副作用として次に紹介するのは「健忘」です。
健忘は、過去の出来事の記憶が部分的に思い出せなくなってしまうという副作用です。過去の出来事とちっても、多くの場合は睡眠薬を服用してから眠りつくまでの記憶となっており、それ以前の記憶を思い出せなくなるというケースはありません。
ただし、人によっては服用後に運転をしてその記憶が無かったり、食事をしてその記憶が無かったりというようなケースもあります。
これらの症状は、睡眠薬の作用で脳が眠りに入っている状態となっているため記憶に残らないために起きています。

そのため、睡眠薬を服用してから眠りにつくまでにあらわれやすい副作用といえます。

せん妄

せん妄よっつ目に紹介する睡眠薬の副作用は「せん妄」です。
せん妄とは、ぼんやりと頭に靄が掛かったような状態で起きておらず、注意力が低下したり状況を判断したりする力が低下します。また、それに伴い突拍子もない発言をしたりする症状です。
これは、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の作用によって、抑制系の神経物質の働きが高まることによって極度の緊張緩和状態となります。その結果、意識レベルなどの低下などさまざまなせん妄症状の原因を引き起こします。

そのため、こちらのせん妄とよばれる副作用は睡眠薬を服用してから就寝するまでの間だったり、翌日まで効果が持ち越されてしまっているような場合に副作用としてあらわれるおそれが高くなってしまいます。

作業効率の低下

作業効率の低下眠気の持ち越しなどと同様な副作用となっているのが「作業効率の低下」です。
これは、睡眠薬の作用によって筋弛緩作用が発揮されることで、さまざまな作業に対して効率が低下してしまう状態を指します。基本的にこちらの作業効率の低下は睡眠作用の持ち越しによって引き起こされるため、適切な睡眠薬を服用できていなかったり、服用するタイミングなどに問題があるケースが多くなっています。また、こちらの副作用は睡眠薬を服用してすぐに就寝せずに、何かしら他の作業などを行ったといったような場合にも、あらわれやすい症状となっています。

ただし、逆に考えると適切な睡眠薬を適切に使用すれば、リスクを最小限に抑えることが可能となっています。

反跳症状・退薬症状

減薬睡眠薬の副作用として代表的なものの6つめが「反跳症状・退薬症状」です。
反跳症状と退薬症状は同じ意味で、問題を改善するために治療薬を長期服用していたりする場合に。治療薬の服用を中止したり減薬することで、治療薬を服用する前よりも問題の症状が強くなってしまうようなことを指します。

そのため、睡眠薬の場合であれば睡眠薬の服用によって改善していた問題(睡眠障害)が、睡眠薬の服用を中止したり減薬することによって、服用前より睡眠障害の症状が強くあらわれてしまうといった形になります。

作用時間が短いタイプのものほど症状が強く現れ、服用量や期間が長ければその分が現れやすくなるとされています。

依存症

依存症最後に紹介する睡眠薬の代表的な副作用は「依存症」です。
依存症は精神的依存と身体的依存の2種類に分類することができます。精神的依存は睡眠薬を服用しないと不安になってしまいその不安が原因となって不眠となってしまうような状態を指し、身体的依存は睡眠薬の作用に慣れてしまっているような状態の時に、睡眠薬を服用しないと身体が何か異変が起きたと認識してしまい、さまざまな症状があらわれます。
精神と身体の依存によって、睡眠薬を手放せなくなってしまうのが依存症です。

こうした依存症は、睡眠薬を長期的に常用したり、強い睡眠薬を多量に使用し続けたりすることで、現れやすくなってしまいます。

睡眠薬の副作用で太るってホント?

睡眠薬を服用すると副作用で太ってしまうと考える方は意外と少なくありません。
では、実際のところ睡眠薬の副作用として体重増加は報告されていたりするのでしょうか?
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の添付文書などを見てみると体重増加といった副作用の報告はされていません。そのため、睡眠薬を服用したら副作用で絶対に太ってしまうという認識は間違いです。

ただし、ベンゾジアゼピン系睡眠薬には抗不安作用もあり、この作用によって食欲が亢進するといったケースはあります。この食欲の亢進が体重の増加につながるというケースは考えられますが、食欲亢進の副作用があらわれるのは頻度不明と非常に稀なものとなっているため、睡眠薬の副作用で太るというのは基本的に間違いと考えて問題ありません。

睡眠薬の副作用の対処法

辛い睡眠障害を改善することができる睡眠薬。副作用が無ければ非常に有効な治療薬ではありますが、副作用があらわれない可能性はゼロではありません。だからといって過度に副作用に怯えて、睡眠薬の服用を躊躇ってしまって、睡眠障害に悩み続けるという必要もありません。

ここからは、睡眠薬を服用している時に副作用があらわれた場合の対処法について紹介していきますので、副作用があらわれたという時にはお役立てください。

睡眠薬の副作用の対策は難しい

睡眠薬を服用した時にあらわれる副作用の対処法としては、いろいろな方法があります。

基本的な対策法としては以下の通り。

副作用の名称対処法
ふらつき・転倒服用後の作業を避ける、速やかに就寝
翌日の眠気(持ち越し効果)短時間型への変更、薬の減薬
健忘(けんぼう)服用後の速やかな就寝、アルコールとの併用を避ける
せん妄適切な用法用量で薬を使用する、医師へ相談
作業効率の低下睡眠のサイクルを定めて睡眠薬を正しく使用する
反跳症状・退薬症状医師と相談しながら適切に減薬していく
依存症継続使用や過剰な減薬や中止を避ける

副作用があらわれる原因としては、睡眠薬との相性が良くない場合や、適切な用法用量を守れていなかったりといったように原因がハッキリとしている場合もあります。
そうした場合には、副作用があらわれている原因に対してアプローチすることで、副作用を予防しながら十分な睡眠薬の効果を実感することも可能です。

副作用が酷い場合の対応

医師に相談医師や薬剤師から伝えられた用法用量を守って睡眠薬を服用しているのに、それでも強い副作用があらわれてしまうような場合もゼロではありません。

そうした場合、服用している睡眠薬を減量することであらわれる副作用症状を大きく軽減することができる場合もあります。
そのため、副作用が酷い場合にはまず医師に相談しながら服用量を減量したりすることで、副作用を感じずに睡眠薬の効果だけを得るといったことが可能です。

また、医師と相談しながら減薬してもなお副作用が酷いような場合は、薬との相性が悪いことが考えられます。そのため、そうした場合には服用する睡眠薬を変更するなどの対策が取られることもあります。

副作用がひどくても急な中断は危険!?

減薬のステップ睡眠薬を服用すると酷い副作用に悩まされてしまうため、睡眠薬の服用をやめてしまおうと考えた場合、急に服用そのものを完全にやめてしまうのは危険です。
急に睡眠薬の服用を中止してしまうと、離脱症状によってより強い副作用があらわれてしまうおそれがあるためです。
そのため、睡眠薬の服用をやめる場合は、適切に減薬していく必要があります。

基本的に睡眠薬を減薬する場合、1~2週間をかけて睡眠薬の効果で眠れる状態を維持しながら、服用する睡眠薬の量を1/4や1/2ずつ減らしていくといった方法が取られます。
そうして少しずつ時間をかけて減薬していくことで、睡眠薬の離脱症状を予防しながら睡眠薬そのものの服用を中止して行くことが可能になります。もちろん、減薬の途中で睡眠薬の効果で眠れて副作用があらわれないといったバランスが取れているような場合には、そこからさらに減薬せずに睡眠薬を使用するといったことも可能です。

【ダメ!絶対!】睡眠薬の間違った使用方法

睡眠薬は適切に使用すれば副作用などを感じずに、辛い睡眠障害を改善してくれます。
ですが、間違った方法で服用してしまうと事故の原因となってしまったりと非常に危険です。そこで、ここからは睡眠薬を服用する上で、間違った方法について紹介していきますので、睡眠薬の使用をお考えの方は間違った方法も把握しておくことで、副作用などのリスクを軽減しながら睡眠薬を使用していただけるようになります。

用法用量を超えた使用はダメ!

薬大量服用まず紹介するのは、睡眠薬に限らずどのような医薬品を服用する場合にもいえる「用法用量を守って服用する」ということです。
どのような医薬品にも、それぞれ有効な作用と共に副作用が存在します。当然、用法用量通りで効果をあまり感じないからと過剰に服用してしまえば、副作用があらわれてしまう恐れも高まってしまいます。
その結果、効果よりも副作用の方が辛くなってしまい本末転倒な状態になってしまうこともありますし、副作用の中には重篤なものがあったりもするため、重篤な副作用が引き起こされてしまえば死に至るといったような可能性もゼロではありません。

重篤な副作用があらわれる可能性は稀であらわれることの方が少ないですが、適切な用法用量を守らずに服用してしまえばそのリスクも相対的に高まってしまうため、睡眠薬を使う場合も用法用量を守って服用するようにしましょう。

アルコールとの併用もダメ!

酒と薬睡眠薬はアルコールとの併用も避けることは基本的に避けるべきとされています。
これは、アルコールと睡眠薬を併用してしまうと過剰に睡眠薬の効果があらわれてしまい、記憶障害や呼吸抑制などの重大な問題を引き起こしたり、ふらつきや翌日まで眠気を持ち越すなどの副作用のリスクが高まるためです。

これは、睡眠薬とアルコールどちらも分解される場所が同じなためです。
アルコールも睡眠薬も体内の臓器で分解されて無害なものとなって体外へ排出されますが、アルコールと睡眠薬を併用することでアルコールと睡眠薬それぞれの分解が遅くなってしまいます。
その結果、アルコールの良いや睡眠薬の効果が長く残ってしまう形になるのです。

これによって、アルコールと睡眠薬の作用が同時に発揮されて記憶障害や呼吸の抑制があらわれたり、睡眠薬の効果が本来よりも長くあらわれて効果を持ち越したりするようになるため、併用は避けるようにしましょう。

他人の睡眠薬を服用する

他人の睡眠薬を服用する眠れないからといって、他の人が服用している睡眠薬をわけてもらって飲むといったこともNGです。
睡眠薬にはいろいろな種類があり、それぞれの睡眠薬ごとに効果が出る速さや効果が持続する長さが違っていますし、どういった睡眠障害に対して有効なのかということも違います。

そのため、睡眠薬を切らしてしまっているようなときに、他の人が服用している睡眠薬をわけてもらったとしても、自分と睡眠薬をわけてもらった人の睡眠障害の種類が違っていれば充分な効果を感じることはできませんし、逆に睡眠薬の効果を翌日に持ち越してしまって起きている時も副作用で辛い状態になってしまうといったことも考えられます。

睡眠障害の改善には、自身の睡眠障害の種類に合った適切な睡眠薬を選択する必要があるため、他人から睡眠薬をもらって服用して睡眠障害を改善しようというようなことはお避け下さい。

睡眠薬の正しい服用方法

睡眠障害を改善するには、適切な用法用量を守って服用する必要があります。
また、正しく服用するというのは用法用量を守って飲むということだけではありません。睡眠薬には適切なタイミングで服用する必要があったりします。
ここからは睡眠薬の正しい服用方法について紹介していきますので、睡眠薬の正しい服用方法を把握して辛い睡眠障害の改善を行うようにしてください。

就寝前に服用する

寝る前に飲む睡眠薬を服用する場合、適当に服用しておけば大丈夫というものではありません。
特に勘違いしてしまいやすいのが、睡眠薬を飲んでから何かしらの作業をしたりしながら眠くなるのを待ち、眠気が出てきたら布団に入って就寝するというものです。

この服用方法は服用後から眠るまでの時間を有効に活用できているように感じるかもしれません。ですが、睡眠薬の効果があらわれると眠気と共に筋弛緩作用などによってふらつきなどがあらわれることもあります。
そうなると、布団に入るまでにふらついてしまって転んで大けがに繋がるという可能性もあります。

そのため、睡眠薬は基本的には就寝前に服用し、服用後は布団に入って眠気が起きるのを待つようにすることが正しい服用方法になります。こうして服用後に作業せず布団に入っておけば作用があらわれてから事故が起きる可能性を排除することができます。

他の薬と併用する場合は医師に相談する

医師に相談する睡眠薬には他の医薬品との飲み合わせに気を付けなければならないものが少なくありません。
また、飲み合わせの悪い薬はどの睡眠薬を服用している場合でも同じというわけでもありません。
ですから今、他の医薬品を服用しているけど睡眠薬で睡眠障害も改善したいと考えた時には、まずは医師に相談して薬の飲み合わせが悪くないか?といったことを確認するようにしましょう。

飲み合わせの確認をせずに他の薬と睡眠薬を併用してしまった場合、飲み合わせが悪くて過剰に作用があらわれてしまったり、非常に強い副作用に悩まされるといったおそれがあります。
そうなると睡眠障害を改善できないだけでなく、酷い副作用によって命が危険にさらされてしまうなんて言う可能性もあるため、飲み合わせの確認は必ず行うようにしましょう。

まとめ

睡眠障害の改善に役立つ睡眠薬の代表的な副作用には

ふらつき・転倒

持ち越し効果

反跳症状・退薬症状

依存症

といったものがあり、それぞれがどういった症状なのかということや、これらの副作用に対する対処法を紹介してきました。
副作用自体は睡眠薬に限らずどんな医薬品にも存在するものなので、適切な対処法を把握して服用するようにしましょう。

また、こうした副作用を予防するためには、併せて紹介した「正しい服用方法」や「間違った服用方法」を把握しておくことも大切です。

是非こちらのページを参考にして頂き、適切な用法用量を守って副作用を防ぎながら睡眠障害を改善していきましょう。
 

女医