高血圧ってどんな症状があらわれる?高血圧からくる危険な症状

高血圧ってどんな症状があらわれる?高血圧からくる危険な症状生活習慣病のひとつである高血圧。

高血圧という名前を目にしたり耳にする機会は多いものの、実際に高血圧であるという人を見ても特に何かしらの支障がでているようなことはなかったりします。

では、この高血圧になってしまうと一体どのような症状があらわれるのでしょうか?

こちらのページではそんな高血圧の症状や高血圧から来る危険な症状について詳しく紹介していきたいと思います。

 

高血圧そのものに自覚症状はない!?

では、早速ではありますが高血圧になってしまった場合、具体的にどのような症状があらわれるのでしょうか?

実は、高血圧になってしまっても日常生活に支障がでたり、何かしらの症状に悩まされたりすることは多くはありません。
 
高血圧は名前の通り血圧が高い状態が続く病気ですが、自覚症状がないことが多い上にあらわれる症状としては動悸や息切れ、頭痛など高血圧以外でもあらわれる症状が多いため、症状だけで高血圧と判断することは容易ではありません。

そのため、自覚症状がないまま進行したり、症状があらわれていても高血圧と認識できないうちに進行してしまったりすることからサイレントキラーといった呼ばれ方をすることもあります。

参考元:頭痛や肩こりは要注意? 高血圧の自覚症状とリスクを解説

 

高血圧の状態で放置しているとどんな症状が起きる?

動脈硬化
高血圧は自覚症状に乏しく、高血圧に気づいたときには大きく進行してしまっている場合があります。

そして、高血圧が進行するとさまざまな合併症を引き起こしてしまいます。

ここからは、そんな高血圧が原因となって引き起こす合併症について詳しく紹介していきます。

 

血管が傷つき「動脈硬化」が起きる

高血圧の状態は血流によって血管に高い圧力がかかった状態が維持されます。

本来、血管はしなやかで弾力を持っていますが、血圧の高い状態が長く続けば続くほど血管はいつも張り詰めた状態となって血管の内壁にダメージが蓄積していきます。

その結果、血管内壁の傷などからLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が入り込み、酸化してしまいます。
 
酸化したLDLコレステロールは、免疫細胞である白血球の一種であるマクロファージに取り込まれ、泡沫細胞に変化し、炎症などを引き起こすサイトカインという生理活性物質を分泌します。

こうした状態が続いてしまうと、白血球の残骸や線維化した細胞が蓄積し、脂質がたまったプラークを形成し、動脈硬化を引き起こします。

その結果、血管が狭くなったり、たまったプラークが破れたところに血栓が付着することで、血流が低下したり、途絶してしまうことがあります。

また、動脈硬化によって柔軟性が失われた血管に強い圧力がかかると血管が破裂したりといったことが起きたりします。

参考元:動脈硬化になる仕組みと対処法について

 

冠動脈が狭くなる「狭心症」

前項で紹介した高血圧が由来となって起きる動脈硬化が冠動脈に起き、血流が低下することで狭心症などを引き起こします。

この冠動脈は心臓を覆っており、心臓へと酸素や栄養を送る機能を持っています。

この冠動脈が動脈硬化で硬く狭くなってしまい、血流量が低下してしまうと胸痛や息切れなどの胸の症状を引き起こし、心臓の機能が低下することがあります。
 
基本的に狭心症は15分程で症状がおさまるとされています。

胸の中心や左胸が締め付けられるような痛みが典型的であり、運動や坂道・階段などで生じやすい労作性の症状が多いです。

狭心症は動脈硬化によって心臓への血流量が減少することで起きますが、この動脈硬化が進行して完全に心臓への血流が止まってしまった場合には心筋梗塞を引きこしてしまい、命の危険も引き起こされることがあるため非常に危険です。

参考元:高血圧とは

 

心臓が酸素不足になる「心筋梗塞」

高血圧が進行した場合には、心筋梗塞を引き起こす場合もあります。

前項の狭心症のところでもお話したように、心筋梗塞は動脈硬化が進行してしまい完全に血管が詰まって心臓への血流がなくなってしまうことで引き起こされます。

心臓への血流が完全に止まった場合、血液と共に供給される酸素や栄養が一切なくなってしまいます。
 
その結果、心臓の細胞は壊死してしまいます。そして壊死した細胞が再生するといったことはありません。

心臓への血流が停止してから20分程で心臓細胞の壊死が始まるとされており、血栓の大きさや詰まった血管の部位、血流再開までの時間などによって壊死の範囲は広くなるとされているため、心筋梗塞があらわれた場合には一刻も早い処置が必須となっています。

参考元:心臓の病気あれこれ

 

脳の血管が詰まったり破れたりする「脳卒中」

高血圧が進行して起きる症状には脳卒中もあります。

この脳卒中とは脳梗塞や脳出血、くも膜下出血という3つの脳血管疾患を総称した病名です。

高血圧によって脳の血管が動脈硬化によって詰まってしまうことで脳梗塞が引きこされ、血管が硬くなってしまい圧力に耐えきれず破裂することで脳出血が引き起こされます。

そして、くも膜下出血は脳動脈瘤と呼ばれる血管のこぶが破裂してしまうことで起こされます。
 
このくも膜下出血を引きこす脳動脈瘤の原因のひとつとして考えられているのが高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病です。

脳卒中になってしまうと、脳が障害を受けてしまうため身体機能や言語機能に障害があらわれたり、死に至ってしまう場合もあります。

参考元:脳卒中

 

大動脈の壁が腫れる「大動脈瘤」

高血圧が原因となって起きる症状にはいろいろなものがありますが大動脈瘤もそのひとつとされています。

大動脈瘤の原因については完全には改善されていませんが、高血圧が原因のひとつではないかと考えられています。
 
この大動脈瘤というのは心臓から全身へと血管を運ぶ大動脈の血管壁の弱くなっている部分に亀裂が入り、そこに血流が入り込むことで膨らんでしまい、瘤(こぶ)のようになった状態を指します。

大動脈瘤ができたばかりの頃は、高血圧と同じように自覚症状も乏しく気付かぬうちに進行してしまうことは珍しくありません。

そして、大動脈瘤が進行して大きくなり破裂してしまうと、胸部や腹部で大量出血を引きこして急速に危険な状態に陥ってしまい、突然死に至ることも珍しくありません。

参考元:大動脈瘤と大動脈解離

 

心臓の筋肉が分厚くなる「心肥大」

高血圧によって動脈硬化が引き起こされてしまうと心肥大と呼ばれる症状があらわれることもあります。

動脈硬化となって血管が狭くなってしまうと、血管抵抗が増加するため、心臓はより強い力で血液を送る必要が出てきます。

その結果、心臓へかかる負荷が大きくなります。

この心臓にかかる負荷が大きくなることで、心臓の筋肉が発達し、心筋は厚く、心臓は大きくなってしまいます。

こうして心臓が大きくなってしまった状態を心肥大と呼びます。
 
心臓の筋肉が発達することは良さそうに思えますが、実際には心臓の拡張性が失われてしまうことで心臓機能は低下してしまいます。

その結果、心不全などの更に危険な状態に陥ることもあります。

参考元:高血圧と心肥大

 

定期的に血圧の検査を受けましょう!

血圧測定をする女性
高血圧になって引き起こされる合併症はそれぞれに関連性があったりしますし、命に危険が及ぶケースも珍しくありません。

そのため、高血圧と診断された場合には速やかに治療を行うことが必要不可欠です。

既にお話しているように高血圧は自覚症状に乏しいため、定期健診や健康診断で血圧が高いと指摘されたりした場合には、食生活を見直したり運動習慣をつけたりして高血圧を改善するようにすることが重要です。
 
また、血圧計は市販されていたり、レンタルしたりすることが可能となっているため、日ごろから自宅でも血圧を測るようにすることが大切です。

 

高血圧の診断基準

血圧が高い状態を指す高血圧ですが、実際にこの高血圧と診断される時の基準値はどのぐらいなのでしょうか?

高血圧と診断される基準は、病院で血圧を測った場合、上(収縮期血圧)が140 mmHg、下(拡張期血圧)が90 mmHg以上です。

また、自宅で血圧を測定した場合は、上が135 mmHg、下が85 mmHg以上が基準値となっています。

病院と自宅で測定した時の基準値が違う理由は、自宅などでリラックスした状態で測定した血圧(家庭血圧)が、病院で測定した血圧(診察室血圧)よりも下がる傾向があるためです。

参考元:高血圧

 

高血圧だと思ったらどうすればいい?

自宅で血圧計を使って血圧を測っていた時に、前項でお話しした高血圧の診断基準値を超えてしまっていた場合、どうすればいいのでしょうか?

何よりもまずすべきことは病院で診察を受けるということ。

病院で改めて診断をしてもらった上で、高血圧だった場合は速やかに治療を開始することが重要です。

現在、この降圧薬にはさまざまな種類があるため、医師と相談しながらどの降圧薬を使うのか決めるようにしましょう。

 

まとめ

高血圧や高血圧になった場合にあらわれる症状などについて紹介しました。

こちらのページで紹介した情報のまとめがこちら。

  • 高血圧の初期症状はない場合が多い
  • 高血圧が進行すると命に関わる危険な病気を引き起こす
  • 高血圧の診断基準には診察室血圧と家庭血圧というふたつがある
  • 高血圧かもしれない場合はすみやかに病院で診察を受ける

高血圧は初期症状に乏しく、高血圧になっていても何かしらの症状があらわれるケースは珍しいです。

また、症状があらわれたとしても他の疾患でもあらわれるようなものが多いため、症状から高血圧と判断することが難しかったりします。

そうして気づかぬうちに高血圧が進行してしまうと、命に関わるような危険な合併症を引き起こすことも多いので、自宅や病院などで定期的に測定していくことが重要です。

その結果、高血圧と診断された場合には降圧薬などを医師と相談しながら決定して対策を行うようにしましょう。
 
また、高血圧の治療には降圧薬だけではなく生活習慣の改善も非常に重要となるため、減塩、カロリーをとりすぎない食事、食生活のバランスに気を付ける、禁煙、運動習慣など、普段の日常生活も気を付けるようにしてください。

高血圧の治療では、日常的な血圧の推移が非常に重要となるため、自宅での血圧のチェックを普段からしていただくことが大切です。

その血圧の変化に応じて処方の調整も検討されるため、自己判断での調整はせずに、定期的に通院し、医師の指示の下で、適切な降圧剤の調整をしてもらいましょう。
 
生活改善がうまくいくと、それだけでも血圧が下がりますので、将来的に降圧剤が不要になることもあるため、必ずしも一度治療を始めたら、降圧剤を一生飲み続けなければいけないわけでないことも知っていてください。
 

監修者情報

循環器内科 小鷹悠二

  • 医師

    小鷹 悠二 (おだか ゆうじ)

  • 所属・資格等

    日本循環器内科学会 専門医・日本総合内科学会 専門医・医学博士

  • 経歴

    総合病院・大学病院での勤務を経て、2018年よりおだかクリニックの副院長として診療・経営にあたる。専門の循環器疾患(虚血性心疾患、心不全、不整脈など)はもちろんのこと、高血圧や高脂血症、糖尿病等の生活習慣病や内科疾患全般の診療に従事。現在は、医療コンサルト・アドバイザー業務や、ライティング業務などにもあたっている。