低用量ピルを使用できない人とは?ピル以外の避妊方法について

低用量ピルを使用できない人とは?ピル以外の避妊方法について低用量ピルは、生理痛の改善や避妊などの目的で多くの女性が服用しています。

しかし、年齢や喫煙などの要因により低用量ピルを服用できない可能性があることをご存じでしょうか。

こうした要因があるにも関わらず、低用量ピルを服用し続けると血栓症のリスクが高まる危険性があります。

 

そこでこの記事では、低用量ピルを使用できない主な理由や、年齢、喫煙、体重などによる制限を詳しく解説します。

さらに、ピルが適さない場合に利用できるほかの避妊方法についても紹介するため、避妊方法を探している人や自分に合った避妊方法を選びたい人は参考にしてください。

 

女医

低用量ピルは通販で購入できるようになり、非常に身近なものになりました。しかし誰でも使えるというわけではありません。使用できないケースもあるのでしっかり確認しておきましょう!

 

低用量ピルはだれでも使用できるわけではないってホント?

低用量ピルは避妊目的だけでなく、生理痛の改善や月経移動などさまざまな用途で処方されている薬です。

しかし、一部の人では使用が制限される場合があります。

 

ピルの服用が制限される主な理由は、血栓症などの命に関わる副作用リスクが高いためです。

医師は問診を通じて、患者の身体状況を確認してピル服用が適切かどうかを判断します。

喫煙習慣、肥満、加齢、既往症の有無など、さまざまな要因が検討されます。

 

具体的には、ピルの服用が制限される可能性がある人は以下の通りです。

  • 初経前のお子さま
  • 閉経後の人
  • 片頭痛持病者
  • 35歳以上で過度の喫煙者
  • 乳がんや子宮がんの人
  • 血栓症リスクが高い人
  • 重度の高血圧症
  • 脂質異常症
  • 糖尿病
  • 授乳中の人
  • 産後間もない人
  • 肝機能に問題のある人
  • 一部の常用薬を服用中の人

ピルは避妊以外の効果も期待できますが、自己判断で使用するのは避けるべきです。

必ず医療機関での適切な診断を経て、安全性を確認したうえで服用を開始しましょう。

医師の判断なくしてピルを勝手に服用すれば、かえって健康被害につながるリスクがあります。

参考元:低用量ピル

 

低用量ピルは何歳から何歳まで利用できる?

女子学生

低用量ピルは、多くの年代の女性に広く利用されている薬ですが、年齢によっては服用を避けなければならない場合もあります。

ここからはピルを利用できる年齢を改めて確認していきましょう。

 

10~12歳から閉経近くまで利用可能

低用量ピルは、初経(生理)が始まった10代前半のお子さまから、閉経前(50歳前後)までの人が服用できるとされています。

つまり、おおよそ10~12歳くらいから、閉経間近までが低用量ピルの適正な服用年齢の範囲です。

ただし、服用開始が可能となる年齢には個人差があるため、初経時期が遅い場合は12歳を超えてからの服用開始となる場合もあるでしょう。

 

また、個人差や体質、既往症の有無などによって服用できる年齢胃の範囲が狭まる場合があります。

他にも医師の判断で安全面を考慮した結果、服用を控えるよう指示されるケースもあります。

低用量ピル服用の可否は、年齢以外の要素も考慮して総合的に判断する必要があります。

 

年齢によってピルの服用ができなくなる理由

40歳を超えると、医師から低用量ピルの服用中止をすすめられることがあります。

服用中止の理由は、加齢とともに血栓症のリスクが高まるためです。

40歳代後半から50歳代にかけては、低用量ピル服用の是非を改めて検討する必要があり、高齢出産を希望する場合を除いて服用中止をすすめられることが多くなります。

 

低用量ピルが含有するエストロゲンには血液を固まりやすくする作用があり、40歳以降はその副作用リスクも高まることが理由です。

肥満、妊娠高血圧の既往、脂質異常症や一部の糖尿病など、血栓症のリスク要因がある方の場合は、さらに注意が必要となります。

年齢以外の個人的な要因で、40歳以下でも低用量ピルの服用が制限される可能性もあるのです。

 

喫煙者はピルを使用できない?

タバコを吸う人がピルを服用する際には、健康リスクが高まる可能性があるため慎重な検討が必要です。

ここでは、喫煙者が低用量ピルを使用する場合のリスクとそれでもピルを使用したい場合について解説します。

参考元:喫煙者は低用量ピルを飲むことができますか?

 

喫煙者が低用量ピルを使用するリスク

喫煙は、血液を収縮させる作用があるため、低用量ピルの血液を固めやすくする作用と相乗的に働くことで血栓症のリスクを高めてしまいます。

このことから、35歳以上で1日に喫煙本数が15本以上の方は低用量ピルの服用が認められません。

また、年齢と喫煙本数が多ければ多いほど血栓症だけでなく、脳卒中、心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが高まってしまいます。

 

また、喫煙者で脂質代謝異常がある場合も、低用量ピルの服用は避けるべきでしょう。

悪玉コレステロールの上昇や善玉コレステロールの低下は、喫煙との相乗効果で血管を損傷し、重篤な疾患の引き金となります。

 

血栓症は、血の塊が血管を詰まらせる病気です。

塞栓する部位によって、肺塞栓症や脳梗塞、心筋梗塞などの命に関わる疾患に進行するリスクがあります。

喫煙は血栓症発症のリスクが高まるため、喫煙者は医師の受診が必要です。

 

喫煙者が低用量ピルを使用するには?

喫煙を続けていると健康被害のリスクが高まるため喫煙者が低用量ピル服用を希望する場合、まずは禁煙を心がけましょう。

 

禁煙によって、おおよそ1年から5年程度で心血管系疾患のリスクが低減するといわれています。

つまり、一定期間の禁煙を経たあとであれば、低用量ピルを服用できるようになるでしょう。

 

ただし、低用量ピルを医師に処方してもらう際には喫煙歴を正直に伝え、低用量ピル処方の可否について適切な判断を仰ぐ必要があります。

喫煙本数や期間、既往症の有無などを考慮してリスクを最小限に抑えたうえで服用を検討することが大切です。

 

肥満体型だと使用できない?

肥満体型の人が低用量ピルを使用する際には、注意が必要です。

肥満は血栓症のリスクを高める要因の一つであり、低用量ピルの服用は血栓症の発生確率をわずかに上げてしまいます。

特にBMIが30以上の場合、そのリスクはさらに増加します。

このことから、医師は肥満体型の人に対してピルの処方を慎重に行う場合があります。

 

このため、肥満体型の人は低用量ピルの使用前に健康的な体重への改善が推奨されることは珍しくありません。

ダイエットによってBMIを適正範囲内に保つことによって、血栓症のリスクを低減させることが可能です。

また、定期的な運動には血流を改善して血栓の形成リスクを低下させる効果にも期待できます。

 

ダイエットや運動が苦手な人は、まず日常的な歩行を増やすことから始めるとよいでしょう。

たとえば、買い物に行く際に徒歩で遠回りするなど、生活のなかで無理なく運動を取り入れらていくことが、ダイエット成功への第一歩となります。

参考元:低用量ピル

 

ピルを使用できないけど避妊したい場合はどうすればいい?

ピルが適さない場合でも、多様な避妊方法が存在します。

各方法には特徴があり、個人のライフスタイルや健康状態に合わせて選択することが重要です。

具体的な避妊方法には、以下のような方法があります。

避妊方法

概要

コンドーム

性行為ごとに使用し、性病の予防にも効果がある

IUD(避妊リング・子宮内避妊器具)

医師によって子宮内に挿入され、長期間にわたって避妊効果を発揮する

IUS(子宮内避妊システム)

ホルモンを放出し、長期間の避妊効果を発揮する

避妊手術

男性(パイプカット)、女性(不妊手術)の両方に適用できる、恒久的な避妊方法

アフターピル

性行為後の短期間内に服用することで、妊娠を防げる

ミレーナ

ホルモンを放出するIUDの一種で、長期にわたり避妊効果を発揮する

殺精子剤

精子の活動を阻害する化学物質を含むクリームやゼリー

膣外射精

射精を膣外で行う方法だが、避妊効果はほかの方法に比べて低い

これらの方法には、それぞれ利点と欠点があるため、医師と相談しながら最適な避妊法を選択することが大切です。

 

まとめ

低用量ピルが服用できる人と服用できない人の違いには、血栓症のリスクが高まる要因が関わっています。

特に

  • 喫煙習慣がある人
  • 肥満体型の人
  • 特定の年齢層に属する人

といった方はピルの使用を避けたほうがよかったり、医師から使用を禁止されたりする場合があります。

これらの条件に該当する場合やピルが体質に合わないと感じる人にとっては、代替の避妊方法を確認しておきましょう。

 

避妊に関する決断は自己判断で行うことも可能ですが、自己判断が難しいケースは珍しくありません。

そうした場合には、事前に医師に相談した上で、低用量ピルの服用の可否を聞いたり、服用するかどうかの判断を行ったりするようにしましょう。