レボフロックスはエリスロマイシンなどの他の抗生物質とは何が違う?

レボフロックスはエリスロマイシンなどの他の抗生物質とは何が違う?抗生物質には、レボフロックス以外にもエリスロマイシン、アモキシシリンなどさまざまな種類があります。
こちらのページでは、レボフロックスと他の抗生物質のさまざまな違いについて解説します。

 

エリスロマイシンやアモキシシリンとは?

エリスロマイシン、アモキシシリンについて簡単にまとめると、以下の通りです。
 

エリスロマイシンマクロライド系抗生物質。
特に、細菌性の呼吸感染症に高い効果を発揮。
皮膚感染症の治療にも使われる。
アモキシシリンペニシリン系抗生物質。
急性気管支炎、肺炎、中耳炎の第一選択薬。
尿路感染症など、その他の病気にも高い効果を発揮。

それぞれ系統が異なるため、たとえばペニシリン系にアレルギーがある人にはマクロライド系のエリスロマイシンが処方されることがあります。
ちなみにレボフロックスはニューキノロン系抗生物質で、呼吸器感染症や皮膚感染症、尿路感染症をはじめ、さまざまな感染症に対して有効です。

参考元:エリスロマイシン(エリスロシン)–呼吸器治療薬

参考元:アモキシシリン水和物(アモリン・サワシリン)–呼吸器治療薬

 

抗生物質としての効果や強さの違い

レボフロックスの有効成分レボフロキサシンは、幅広い感染症の治療に有効です。
特に肺炎球菌からクラミジアまで肺炎の原因菌のほとんどをカバーできることもあり、「レスピラトリー(Respiratory=呼吸器の)キノロン」と呼ばれます。
マクロライド系、ペニシリン系に耐性を持つ細菌に対しても有効であるため、数ある抗生物質の中でも特に効果は高いといえるでしょう。
とはいえ、「レボフロックス=万能の抗生物質」というわけではなく、ニューキノロン系にアレルギーのある方などは服用できないため、個々の状況に合わせて薬を使い分ける必要があります。
 

参考元:レボフロキサシン水和物(クラビット)–呼吸器疾患

 

レボフロックスと他の抗生物質を併用することはできる?

レボフロックスと他の抗生物質を併用することは可能です。
実際、レボフロックスの有効成分レボフロキサシンについては、「結核の治療に際して他の抗結核薬(抗生物質)と併用しなければならない」とされています。
そもそも、多剤耐性菌に対して2種類以上の抗生物質を併用するケースは珍しくありません。
ただし、併用はその分だけ副作用のリスクが高くなることでもあるため、適切な判断のもとで進める必要があります。
 

参考元:広範囲経口抗菌製剤

 

即効性はどちらが高い?

レボフロックスと他の抗生物質を「即効性」という点で比較したとき、レボフロックスは特に高い部類に入るといえます。
実際にそれぞれ服用から最高血中濃度到達時間を見ると、レボフロックスやアモキシシリンは1~2時間で到達するのに対し、エリスロマイシンは2時間で到達となっています。
このことから、レボフロックスは即効性にも優れていることがわかります。
 

 

適応症の違い

レボフロックスやエリスロマイシンなどの抗生物質は、いずれも皮膚感染症や呼吸器感染症、性感染症といった幅広い細菌感染症に適応があります。
レボフロックスのみの適応症として、ざ創、腸チフスやコレラ、炭疽やブルセラ症などがあります。
同様にエリスロマイシンのみの適応症には、肺膿瘍やジフテリア、百日咳や破傷風、アメーバ赤痢といったものが挙げられます。
また、アモキシシリンのみの適応症には、びらん・潰瘍の二次感染やヘリコバクター・ピロリ感染胃炎などがあります。
 

 

副作用はどう違う?

レボフロックス、アモキシシリン、エリスロマイシンに共通する副作用として、悪心や嘔吐、下痢などの消化器系の症状が挙げられます。

レボフロックス1〜5%未満
アモキシシリン0.1〜5%未満
エリスロマイシン頻度不明

ただし、エリスロマイシンはマクロライド系の抗生物質の中では下痢が起こりやすいとされています。
 

参考元:医療用医薬品:レボフロキサシン

参考元:医療用医薬品:アモキシシリン

参考元:医療用医薬品:エリスロマイシン

 

まとめ:レボフロックスとエリスロマイシンは適切に使い分けよう

こちらのページでは、レボフロックスとエリスロマイシンなどの他の抗生物質の違いについて紹介してきました。
ポイントは以下の通りです。

  • レボフロックスは適応菌種が幅広い
  • レボフロックスは血中最高濃度到達時間も早い
  • 適応症はそれぞれの抗生物質で違うため、病気に合わせて選ぶ

レボフロックスやエリスロマイシンなどの抗生物質は、それぞれ効果の強さや適応症が異なります。
単純に比較してより強くて幅広い病気に効果があるものを選びがちですが、効果の強さだけではなく、治療する疾患に対してより有効なものを選ぶことが大切です。