アクネトールの服用方法を解説|飲み方・タイミング・注意点まとめ
しつこい中等度~重症ニキビに対して、優れた効果を発揮するニキビ治療薬アクネトールですが、その“優れた効果”は「正しい服用方法」を知ってこそ実感できるものです。
このページでは、初めてアクネトールを使う人が知っておきたい「正しい飲み方」から「やってはいけない落とし穴」「意外と忘れがちな注意点」まで解説します。
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1日1回?それとも2回?:正解は体重・重症度しだいで変わる
アクネトールの有効成分イソトレチノインについて、「体重1kgあたり0.5〜1.0mgを1日1回もしくは2回に分けて服用」とされています。
つまり、「体重が60kgなら1日あたり30~60mgになるように調整せよ」ということですが、ニキビ治療の現場でイソトレチノインが処方される場合、それほど厳密に計算されるわけではないようです。
- 中等度のニキビならイソトレチノイン20mgから服用を開始
- 上記で足りなければ体重に応じて1kgあたり0.5mgで調整する
- 重症ニキビなら体重1kgあたりイソトレチノイン1.0mgで服用する
なお、1回で飲むか2回に分けて飲むかの判断は、服用量に応じます。
- 1日の服用量が20mgなら1回で服用
- 1日の服用量が40mg以上なら2回に分けて服用
アクネトールを飲むのは必ず“食後”:空腹がNGな理由とは!?
アクネトールには、「脂溶性」という性質があります。
これは「脂肪に溶けて吸収される性質がある」という意味であり、胃の中に脂質がない空腹時は吸収率がよくありません。
というわけで、アクネトールの効果をしっかり実感するには食後の服用が望ましいといえます。
実際に行われた試験でも、下記のような結果が出ています。
Mean plasma levels of the isotretinoin-Lidose formulation during fasting reached 66.8% of that observed with a fatty meal, and those of the isotretinoin formulation only reached 39.6% of that observed with a fatty meal.
――空腹時のイソトレチノイン-リドース製剤の平均血漿濃度は、脂肪分の多い食事摂取時に観察される濃度の 66.8% に達しましたが、イソトレチノイン製剤の平均血漿濃度は脂肪分の多い食事摂取時に観察される濃度の 39.6% にしか達しませんでした。
ただし、たとえばイソトレチノインを処方している皮膚科クリニックで「高脂質の食事をとるべし」のような指示がなされるわけではなく、通常の食事をとっていれば十分に吸収されると考えられます。
そもそも脂質が多すぎる食事は肌にも良くないので、あまり気にし過ぎず、常識の範囲内でメニューを選びましょう。
どれくらいの量を、どのくらい続ければいい?
アクネトールは、毎日適切な量の服用を続け、服用した有効成分の総量が一定の数値に達することが治療のゴールとされています。
総量の目安となるのが、体重1kg当たり120~150mgです。
これまでに服用してきたアクネトール(イソトレチノイン)の総量が所定の数値に達した頃には、しっかりとした効果があらわれているはずです。
服用量と治療期間の目安(中等度の例)
体重 | 1日あたりの目安量 (0.5mg/kg) | 累積投与量(総量)の目安 (120~150mg/kg) | 治療期間の目安 |
---|---|---|---|
50kg | 20mg | 2,400~3,000mg | 120〜150日 (約4~5ヶ月) |
60kg | 30mg | 3,600~4,500mg | 120〜150日 (約4~5ヶ月) |
70kg | 30mg | 3,600~4,500mg | 120〜150日 (約4~5ヶ月) |
アクネトールをうっかり飲み忘れた!そのとき慌てずにすべきこと
アクネトールは毎日服用すべき医薬品ですが、うっかり忘れてしまうこともあるでしょう……。
そんなときに絶対NGなのが、2回分を一度に飲むことです。
副作用のリスクが高まり、肝臓や肌に負担がかかる恐れがあるためです。
もし飲み忘れに気づいたら、次の対応を参考にしてください。
- 気づいた時点で1回分だけ服用
- 次の服用時間が近い場合は、飲み忘れ分をスキップ
アクネトールには一緒に飲んではいけない薬やサプリがある
アクネトールは、他の薬やサプリとの組み合わせによって重大な副作用が出ることがあります。
ポイント
- 「併用禁忌」に当たるものとの併用は絶対に避ける
- 「併用注意」に当たるものはできるだけ避け、必要なら医師に相談する
絶対に併用してはいけない併用禁忌!
ビタミンAサプリ
アクネトールとビタミンAを一緒に服用してしまうと、ビタミンA中毒を引き起こす可能性があります。
ビタミンA中毒は多くの場合、頭痛や発疹の症状がみられる他、部分的な脱毛や唇のひび割れが起こったり、骨折しやすくなったりすることがあります。
テトラサイクリン系抗生物質(ミノサイクリン、ドキシサイクリン等)
頭蓋内圧亢進のリスクがあります。
頭蓋内圧が高まることで、激しい頭痛や視覚異常、吐き気や嘔吐などの症状があらわれます。
一緒に服用する時に注意しなければいけない併用注意
アルコール
飲酒は肝機能障害のリスクを高めてしまうため、服用中は基本的に禁酒が推奨されています。
フェニトインなどの抗てんかん薬
ビタミンAの代謝に影響を与えることで、骨粗鬆症のリスクを高めてしまう可能性があります。
ただ飲むだけじゃダメ。飲み方を把握して飲むのが成功のカギ
アクネトールの効果を最大限に引き出すには、以下のポイントが欠かせません。
- 必ず“脂質を含む食後”に飲む
- 空腹で飲むと効果が半減。吸収率が2倍以上変わることも。
- 服用期間は累積投与量から逆算する
- 累積投与量を目標にして継続しましょう!
- 他の薬・サプリとの併用は必ず確認
- ビタミンAや一部の抗生物質は危険。自己判断せず医師か薬剤師に相談を!
この3つだけ押さえておけば、初めてでも安心してスタートできます。
しっかり押さえたうえで、適切な用法用量を把握して使い始めてみましょう!