便秘の原因となる食事とは?解消するために積極的に摂りたい食べ物もご紹介

便秘の原因となる食事とは?解消するために積極的に摂りたい食べ物もご紹介便秘は国民病といわれており、多くの人が悩まされています。
原因として挙げられるのはストレスや運動不足、食生活の乱れなどさまざまです。
重度の便秘を放置していると、腸閉塞などの重い病気になってしまう可能性もあるため、早めに対策を講じることをおすすめします。
 
そこでこの記事では、便秘の原因や解消方法を紹介します。
自身の生活習慣と照らし合わせながら、便秘の原因や対策を見つけましょう。

 

便秘になる原因とは

便秘になる原因として、主に以下の5つが挙げられます。

  • 乱れた食生活
  • 水分不足
  • 自律神経の乱れ
  • 運動不足
  • 疾患の可能性もある

上記に該当する項目が多いほど、便秘の可能性が高いです。
以下では、それぞれの原因について詳しく解説します。

 

乱れた食生活

近年、ダイエットによる無理な食事制限や栄養バランスが偏った食事など、不健康な食生活である人が増えつつあります。
このような「栄養バランスが乱れた食生活」は、便秘を引き起こす原因の一つです。
 
排便は腸に一定の量の便が溜まったときに、脳が「排便してもよい」という指示を出して行われます。
そのため、食事制限を行うと排便を促すほどの便が溜まらずに溜まった便が固まって留まることで便秘を引き起こします。
また、ジャンクフードが中心の食生活は便を柔らかくする働きがある食物繊維が不足するため、便秘を引き起こしやすくなります。

 

水分不足

便秘を引き起こす原因として「水分不足」も挙げられます。
健康な便には、約80%の水分が含まれているといわれています。
便の水分量が80%を大きく下回ると固い便となって排便が困難になったり、痛みを伴ったりするでしょう。
しかし、水分量が逆に多すぎても軟便などになって腹痛を伴うため、適度な水分量を補給することを意識しましょう。

 

自律神経の乱れ

「自律神経の乱れ」も便秘の原因の一つです。
自律神経には興奮や緊張した際に働く交感神経とリラックスした際に働く副交感神経があります。
腸の排泄運動は副交感神経が優位になると活性化します。
 
しかし、過度なストレスがかかると交感神経が活発化して腸の活動が低下します。
このように、自律神経は腸の働きに大きな影響を与えます。

 

運動不足

「運動不足」による筋力の低下も、便秘を引き起こす原因の一つです。
便を押し出す腹筋、背筋などの体幹の筋肉が足りなければ、便が胃腸で停滞して排便のリズムが狂います。
また、腹筋だけでなく太ももの筋肉も、排便に関係しています。
足の筋肉を鍛えるためにも歩ける距離は車を使わず歩く、エレベーターは使わず階段を使うなど、普段の生活に工夫を加えることが大切です。

 

疾患の可能性もある

誰でもなり得る便秘ですが、「疾患」が原因で引き起こしているケースもあります。
例えば過敏性腸症候群や甲状腺機能低下症、糖尿病などの疾患は、便秘を引き起こす可能性があります。
また、神経系の疾患やホルモンバランスの乱れが排便に影響を与えているケースもあるでしょう。
長期間続く便秘や腹痛・体重減少などの異常がみられる場合は、病院で診察を受けることをおすすめします。

 

便秘になりやすい食品・食生活

便秘に悩んでいる人は、食生活を改善することで症状が緩和される可能性があります。
ここからは、便秘になりやすい食品を紹介するため、過度に摂取しないように注意しましょう。

 

タンニンが含まれる飲み物

タンニンを過剰摂取すると腸に特殊な膜が張られ、便を排泄するための蠕動運動が抑制されます。
その結果、便秘を引き起こしやすくなるでしょう。
タンニンを多く含む食品には、主に以下が挙げられます。

  • 濃い緑茶、紅茶、ウーロン茶を含むお茶類
  • コーヒー
  • 日本酒
  • ワイン
  • ウィスキーなど

日常的にお酒やコーヒーを多量に飲む人は、便秘になりやすいといえます。
ただし、カフェインやアルコールで下痢傾向になる方もいらっしゃるので、便秘がない方は気にする必要はありません。

 

肉類中心の食生活

肉類に多く含まれる動物性脂肪も、便秘の原因になりやすいです。
肉類には食物繊維が含まれておらず、ほとんどが腸で吸収されます。
その結果、便の量が少なくなって腸の蠕動運動が低下するため、便秘を引き起こしやすくなります。
 
また、動物性脂肪は過度に摂取すると腸内環境を悪化させてしまいます。
腸内環境が悪化すると腸が正常に活動できなくなり便秘を引き起こしやすくなるでしょう。
腸内環境を整えるためにも、野菜や果物などの食物繊維を多く含む食品を意識して摂取することが大切です。

 

便秘を解消するために積極的に摂りたい栄養・食材

食物繊維キャベツ便秘解消には、食生活の見直しが重要です。
特に便秘解消によいとされる栄養素は、「食物繊維」「乳酸菌」「オリゴ糖」「脂質」といわれています。
 
中でも食物繊維は不溶性と水溶性に分かれており、それぞれ違う働きがあります。
それぞれの働きは以下の通りです。

不溶性食物繊維便の量を増やし、腸の蠕動運動を促進する
水溶性食物繊維腸内の有害物質を吸収し体外へ除去したり、善玉菌のエサとなって腸内環境を整えたりする

不溶性食物繊維を多く含む食材は大豆、キャベツ、ゴボウなどです。
一方で、水溶性食物繊維はこんにゃく、昆布、オクラなどに多く含まれています。
 
乳酸菌は、悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を改善する働きがあります。
乳酸菌を多く含むは、ヨーグルト、チーズ、漬け物などです。
 
オリゴ糖は腸内の善玉菌を増やしてミネラルの吸収を高めて便通を促進します。
オリゴ糖はバナナや玉ねぎ、ハチミツなどに多く含まれています。
 
脂質には、便をコーティングして滑りやすくして排便を容易にする効果があります。
脂質を多く含む食材はオリーブオイルやチーズ、ナッツなどです。
 
これらの栄養素をバランスよく摂取することで腸内環境が整って便秘解消につながります。
日々の食事に意識的に取り入れることで、快適な排便習慣を目指しましょう。

 

便秘の解消や予防するための食生活

便秘を解消するには、食事の摂り方を見直すことも大切です。
以下では、食事の際の注意点を3つ紹介するため、普段の食生活と照らし合わせながら確認してみてください。

 

1日3食、決まった時間に食べる

1日3食を決まった時間に食べることで体内時計が調整され、腸が活発に動くリズムができます。
その結果、腸の蠕動運動がスムーズになり便秘の解消につながります
 
朝食を摂ることは、老廃物を排出するといった役割があります。
体に溜まった老廃物を排出することで健康的な体に近づけられるでしょう。
忙しくても時間を決めて、食事を摂る習慣を身につけましょう。

 

栄養バランスがとれた食事を心がける

便秘改善には、食事の栄養バランスも重要です。
前述の通り食生活の乱れは便秘を引き起こします。
普段の食事から栄養バランスを意識することで便秘解消・予防になります。
 
また、お茶やコーヒーに含まれるタンニンは腸の蠕動運動を抑えるが働きがあるため、便秘解消を目指す際には控えるべきです。
植物性と動物性食品のバランスを考えた食事を心がけることは、腸内環境を整えるだけでなく健康維持にもつながります。

 

暴飲暴食はしない

便秘に悩まされない日々を過ごすには、暴飲暴食を避けることも大切です。
暴飲暴食は腸に負担をかけるため、便秘や下痢の原因となるだけでなく腸内環境を悪くしてしまいます。
一方で、極端な食事制限も便秘を引き起こす可能性があります。
規則正しい食生活と適切な食事量を意識することで、健康的な腸内環境の維持につながるでしょう。

 

まとめ

便秘を解消・予防するには、栄養バランスがとれた食事や定期的な運動など、生活習慣を改善することが大切です。
一つの食べ物ばかり摂取すると栄養バランスが偏ってしまい便秘になりやすくなりますし、腸内環境も悪化します。
そのため、栄養バランスを考慮しつつ、さまざまな栄養素を含んだ食べ物を摂取するように心がけましょう。
 
便秘を放置すると、腸閉塞などの疾患を引き起こして最悪のケースだと亡くなってしまう可能性があります。
便秘に悩んでいる人は本稿で紹介した内容を参考にしつつ、普段の生活習慣を見直してみてください。

 

監修者情報

東長崎駅前内科クリニック吉良院長

  • 医師

    吉良 文孝

  • 所属・資格等

    東長崎駅前内科クリニック 院長

  • 経歴

    2003年東京慈恵会医科大学を卒業後、東京警察病院で初期研修を実施。内科全般や救急を学び、消化器内科に入局。
    2011年からJCHO東京新宿メディカルセンターで消化器内科医長を務め、2017年から非常勤医師として勤務。
    都内内科クリニックや健診専門クリニック、医師会など様々な医療現場での勤務も並行して行う。
    また、株式会社サイキンソーではCMEOとしても活動。
    2018年に東京都豊島区に「東長崎駅前内科クリニック」を開設し、おなかの悩みを抱えた方が多く来院し、胃カメラや大腸カメラの検査も多く行っている。
    2023年には埼玉県和光市に「さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニック和光市駅前院」を開設。