睡眠の質を高める方法とは?避けるべき習慣も解説

睡眠の質を高める方法とは?避けるべき習慣も解説「眠りが浅い」「夜中に何度も目が覚めてしまう」「朝すっきり起きられない」など、睡眠の質が低い状況に悩む人は少なくありません。
睡眠不足が続くと単なる不快感だけでなく身体や脳にも悪影響が及ぶため、早期に対策を講じることが重要です。
 
この記事では科学的な根拠に基づいた睡眠の質を高める方法や避けるべき習慣について詳しく解説します。
この記事で紹介する方法を取り入れぐっすり眠れるようになれば、日中のパフォーマンスが向上してより充実した毎日を送れるようになるでしょう。

 

睡眠の質を高めるべき理由は?

睡眠の質が高い女性質の高い睡眠は心身に多大な恩恵をもたらします。
十分な睡眠は体内時計の調整に役立ち、生体リズムを整えるために欠かせません。
また、日中の活動力が向上して仕事や学業においてのパフォーマンスの向上にもつながります。
 
また、眠っている間に脳は記憶を整理して固定化するため、学習や新しい知識の定着にも効果が期待できます。
さらに質の高い睡眠を取ることで免疫力が強まり、体の修復や再生が活発に行われるため、若々しさを保つことにもつながるでしょう。
仕事や人間関係で疲れている人にとっては、ストレスを解消して心のバランスを整えることにつながります。
 
このように、質の高い睡眠は心身の健康や日々の生活の質に大きく影響を与える重要な要素といえます。

 

睡眠の質を高める具体的な方法

睡眠の質を高めるためには、以下の方法がおすすめです。

  • 生活習慣の改善
  • 睡眠環境の見直し
  • リラックス法の導入

ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。

 

生活習慣の改善

質の高い睡眠を得るには、日中の過ごし方が重要です。
規則正しい食事や適度な運動、光を浴びるなど基本的な生活習慣を整えることで、夜の良質な睡眠につながります。
以下に、具体的な改善方法を紹介します。

 

食事を規則正しく摂る

1日3回の食事を規則正しく摂取することは、質の高い睡眠を得るための重要な要素となります。
決まった時間に栄養バランスの取れた食事を摂ることで、体内のリズムが整い自然な眠気が訪れるようになるでしょう。
 
また、栄養バランスにも十分に配慮して肉や魚、野菜、果物などをバランスよく取り入れることが大切です。
特に夕飯は、脂質を控えめにて栄養バランスのよい食事を心掛けましょう。
体に必要な栄養素をしっかり摂取することで体調が整い、睡眠の質が向上します。

 

朝の光を浴びる

朝日を浴びることは体内時計をリセットし、睡眠リズムを整えるために効果的な方法です。
具体的には、朝日を夏は5分程度、冬は30分程度を浴びるとよいでしょう。
これによって、体内時計をリセットすることで睡眠ホルモンである「メラトニン」が夜に自然に分泌されやすくなります。
 
もし天気が悪い場合は、室内の明るい場所で過ごすか、光療法器具を使用するのもよい選択です。
朝の光を浴びる習慣を意識的に続けることで、睡眠リズムが整い睡眠の質の向上につながるでしょう。

 

適度な運動を取り入れる

適度な運動は、質のよい睡眠を促進するうえで有効な方法です。
ただし、就寝直前に激しい運動を行うとかえって眠りにくくなることがあるため、日中の活動として取り入れるのが理想です。
日中にジョギングなどの有酸素運動を行い、就寝の3時間以上前に終了するとよいでしょう。
ウォーキングやジョギング、水泳など自分に合った運動スタイルを選び、楽しく続けることでストレス解消やリラックス効果が期待でき、より深い睡眠へとつながります。

 

睡眠環境の見直し

質の高い睡眠を得るには、睡眠環境を整えることが重要です。
室内の明るさや寝具の選び方、外部からの光の遮断などさまざまな要素に配慮することで、睡眠の質を高められます。
以下で、具体的な工夫をみていきましょう。

 

就寝2時間前から照度を落とす

就寝2時間前から照明を少しずつ落としていくことで、脳がリラックスモードに切り替わり、体が自然と眠る準備を始められます。
蛍光灯のような明るい光は、脳に「昼間」と誤認させてしまうため注意が必要です。
体内時計を乱すだけでなく、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制してしまいます。
寝室の照明は、明るさを調節できる調光機能付きのものや暖色系の光を照らす電球色などがおすすめです。

 

適切な高さの枕を選ぶ

首や肩に負担をかけない枕を使用することで理想的な寝姿勢が保たれ、睡眠中の体の動きも最小限に抑えられます。
筋肉の緊張が解けてリラックス効果が高まるため、結果として心地よい眠りを得ることにつながるでしょう。
 
一般的に、横向きで寝たときに圧迫感がなく、呼吸が苦しくならない高さの枕が適しているとされています。
しかし、体型や寝る姿勢によって最適な高さは異なるため自分に合った枕を見つけることが大切です。
 
また、枕の素材選びも快適な睡眠に影響を与える重要な要素です。
低反発や高反発、羽毛など自分の好みに応じて選びましょう。
さらに、寝具全体との相性も考慮することで、より質の高い睡眠が得られる可能性が高まります。

 

遮光カーテンの活用する

遮光カーテンを活用することで、外からの光を遮断して安定した睡眠環境を作れます。
特に街灯や早朝の光などが差し込む方向で眠っている場合は、遮光カーテンがもたらすメリットを大きく実感できるでしょう。
遮光カーテンで光を遮断することで、体内のメラトニン分泌が促進されて深い眠りに入りやすくなります。
 
遮光カーテンは、夜勤や交代勤務で昼間に眠らなければならない人にとって欠かせないアイテムです。
なお、完全に真っ暗な部屋が苦手な人は、遮光率の低いカーテンを選ぶとよいでしょう。
また、カーテンの隙間からのわずかな光漏れにも注意を払いカーテンクリップなどで対策することも大切です。

 

リラックス法の導入

質の高い睡眠を得るには、心身のリラックスが欠かせません。
ストレスや緊張を解消し、穏やかな気持ちで眠りにつくことでより深い睡眠が得られます。
ここでは、誰でも簡単に実践できるリラックス法を紹介します。

 

深呼吸や瞑想を行う

リラックスを促すためには、ゆっくりとした深呼吸や瞑想が有効です。
これにより心身の緊張が緩和されます。
就寝前に数分程度、ゆっくりと深呼吸を行うことで自律神経が整いリラックス状態に導かれる効果が期待できるでしょう。
瞑想も同様に心身の緊張を和らげる効果があります。
 
初心者の人は、呼吸に意識を向けるだけの簡単な瞑想から始めるとよいでしょう。
スマホのアプリを活用すれば、ガイド付きの瞑想を行うこともできます。
これらの習慣を続けることで日々のストレスも軽減され、質の高い睡眠につながるでしょう。

 

アロマセラピーを活用する

アロマを活用することも、睡眠の質を高めるおすすめの方法です。
ラベンダーやベルガモット、オレンジ・スイートなどの精油は自律神経を整える効果があり、特にリラックス効果が高いとされています。
就寝前にアロマディフューザーを使用したり、枕にアロマオイルを数滴たらしたりすることで、穏やかな香りに包まれながら眠りにつけるでしょう。
 
ただし、香りの好みは個人差が大きいため、自分に合った香りを見つけることが大切です。
また、精油の濃度が高すぎると香りが気になって寝付きにくくなる場合もあるため、適量を守って使用しましょう。

 

心が落ち着ける趣味を取り入れる

読書や音楽鑑賞など心が落ち着く趣味を就寝前に取り入れることも、質の高い睡眠を得るためにおすすめです。
軽い読み物や心地よい音楽は心を穏やかにする効果があり、ストレス解消にもつながるでしょう。
ただし、刺激の強い内容の本や激しい音楽は避け、ゆったりとした気分になれるものを選ぶことが大切です。
 
また、塗り絵や編み物など手を使う趣味も心を落ち着かせるのに効果的です。
これらの活動を20〜30分程度行うことで日中の緊張やストレスから解放され、よりよい睡眠状態に導かれるでしょう。

 

睡眠の質を高めるために避けるべき習慣

質の高い睡眠を得るためにはよい習慣を取り入れるだけでなく、悪影響を及ぼす習慣を避けることも重要です。
ここでは、睡眠の質を低下させる可能性のある習慣を紹介します。

 

寝る直前にスマホを使用する

スマホやタブレットが発するブルーライトは自然な眠りを促すメラトニンの分泌を抑える原因となります。
その結果、メラトニンの眠気を促す作用が抑えられて眠りにつきにくくなってしまいます。
睡眠の質を低下させないためにも寝る直前にはスマホの使用を避けるようにしましょう。
読書を就寝前に行う場合もタブレットなどを使わず、紙媒体の本を読むといったことが大切です。

 

寝る直前に飲食をする

就寝直前の飲食は消化器官を活発に働かせるため、睡眠の妨げとなる可能性があります。
特に高脂肪や高タンパクの食事は消化に時間がかかり寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりと、睡眠の質に悪影響を与える原因の一つです。
睡眠中に消化器官を活発に働かせないためには、就寝の3時間前に夕食を済ませることが大切です。
どうしても寝る前に軽食を摂りたい場合は、バナナやヨーグルトなど消化に優しいものを選ぶとよいでしょう。

 

カフェインやアルコールを過剰摂取する

カフェインやアルコールの過剰摂取は、中枢神経を興奮させて睡眠の質を低下させる可能性があります。
カフェインの効果には個人差がありますが、夕方以降の摂取は控えめにするのが望ましいです。
また、アルコールは一時的に睡眠を誘発する効果がありますが、深い睡眠を妨げて夜中に目が覚めやすくなることがあります。
質のよい睡眠のため、寝酒の習慣は避けることをおすすめします。

 

まとめ

質の高い睡眠は心身の健康に欠かせません。
睡眠の質を高めるには、生活習慣の改善や睡眠環境の整備、リラックス法の導入が効果的です。
規則正しい食事や朝の光浴、適度な運動を心がけましょう。
 
さらに、就寝前の照明調整や適切な枕の選択、遮光カーテンの活用もおすすめです。
また、深呼吸や瞑想、アロマセラピーや趣味の時間を取り入れることでより深い眠りにつながります。
 
一方で、就寝前のスマホの使用や遅い時間の飲食、カフェインやアルコールの過剰摂取は避けるべきです。
これらを意識的に改善し、自分に合った睡眠習慣を見つけることでより良質な睡眠を得られるようになるでしょう。

 

監修者情報

白濱龍太郎先生

  • 医師

    白濱 龍太郎

  • 所属・資格等

    慶應義塾大学訪問准教授、順天堂大学客員准教授、福井大学客員准教授

  • 経歴

    筑波大学卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士)。
    同大学睡眠制御学快眠センター等での臨床経験を生かし、睡眠、呼吸の悩みを総合的に診断、治療可能な医療機関、
    RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック、RESM新東京スリープメデイカルケアクリニックを設立運営。
    慶應義塾大学訪問准教授、順天堂大学客員准教授、福井大学客員准教授を兼任し、医学研究、教育活動にも取り組んでいる。