薬膳料理でむくみを解消できる?おすすめ食材と食べ方を紹介

薬膳料理でむくみを解消できる?おすすめ食材と食べ方を紹介長時間のデスクワークにより足がむくんでしまうと悩む人は多いでしょう。
こうしたむくみを解消する手段として、薬膳が注目されています。
薬膳を正しい方法で毎日摂取することで、むくみの予防や体の健康維持に役立ちます。
この記事では、むくみ解消に効果がある薬膳の食材とその選び方、むくみを解消する生活習慣まで解説します。
薬膳料理を日常に取り入れて、むくみ知らずの体を目指したい方はぜひ参考にしてください。

 

薬膳料理がむくみ解消を助けるって本当?

薬膳とは、体の不調を改善して健康的な体作りを促進することを目指す東洋医学にもとづいた食事療法です。
西洋医学が症状への対処を重視するのに対し、東洋医学である薬膳は日常生活から病気の予防を行うことを重視しています。
明らかな症状がなくとも体内に乱れがある状態を「未病」と呼び、こうした段階から食事で体を整えることが大切という考え方です。
 
薬膳に対しては「薬を混ぜた食事」といった誤解も見られますが、実際にはおいしく体に合った食材を使うことが基本となります。
季節や体調に合わせて食材を選び、おいしく食べることで体の内側から健康を守ろうという方法です。
投薬とは異なり、急激な改善は期待できませんが、継続的に実践することで徐々に体調を整えます。
 
むくみ解消に向けては、マッサージといった外的なケアと併せて薬膳で少しずつ改善していくことが大切です。
日常生活のなかで予防を心がけることが、薬膳の考え方にもとづくむくみ解消のポイントとなります。
薬膳を生活習慣の一部として取り入れ、継続的に実践することで徐々にむくみを改善できるでしょう。

 

薬膳効果でむくみを解消する食べ物

薬膳料理薬膳の食べ物は、体内の不調を整えるさまざまな効果があります。
中でもむくみを解消するためには「腎」の機能を高める食べ物と、「気」の巡りをよくして水滞を防ぐ食べ物について知ることが大切です。
ここでは、それぞれの食べ物について解説します。

 

「腎」の働きを高める黒い食べ物

東洋医学における「腎」は、腎臓や膀胱に加えて生殖や成長、老化のサイクルなど生命に関わるエネルギーを蓄える重要な場所とされています。
過労や睡眠不足、ストレスなどで心身を酷使し続けると腎に蓄えられたエネルギーが失われ、余分な水分を排出する働きが衰えてむくみが起こりやすくなるといわれています。
また、腎の働きが低下するとむくみのほかに、足腰の痛みや腰の冷え、尿量が減少や頻尿気味、顔色が黒ずむなどの症状があらわれるとされています。
 
腎の働きを高めるには黒豆や黒ゴマ、昆布やわかめ、ひじきなどの黒い食材が役立つとされています。
これらには腎を強化する作用があり、継続して食べることでむくみ解消が期待できます。

 

「気」の巡りを高め水滞を防ぐ食べ物

むくみの原因の1つに「水滞」があります。
水滞とは、水分代謝が滞り余分な水分がたまった状態のことです。
湿度の高い日や体が冷えているとき、ストレスが多いときなど「気」の巡りが悪いと水滞が起こりやすくなります。
水滞が起こると、むくみのほかにもだるさやめまい、頭の重い感じなど、さまざまな不快症状に見舞われるでしょう。
 
このような巡りの停滞を防ぐためには、香り野菜や香辛料を利用するのが効果的です。
ネギやニンニク、生姜などは体の中から香りを運び、気の巡りをよくする作用があります。
またハト麦や冬瓜、大豆製品なども水分代謝を高める効果があるため水滞予防に効果的です。

 

むくみ解消に効果がある食材の選び方

むくみの解消には、食生活の見直しが重要です。
特に、体内の余分な水分を排出する作用がある食材を積極的に取り入れることをおすすめします。
ここでは、むくみに効果的な栄養素を多く含む食材を見ていきましょう。

 

カリウムを多く含む食材

むくみ解消に大きな効果を期待できるのがカリウムです。
カリウムはナトリウムの排出を助け、結果として余分な水分の排出も促します。
バナナやほうれん草、アボカドなどの食材にはカリウムが豊富に含まれています。

 

食物繊維を多く含む食材

むくみの解消には、腸内環境を整える食物繊維の摂取も欠かせません。
食物繊維には便通をよくし、むくみの原因である体内の老廃物を排出する作用があります。
さらに、腸の運動を活発化させるため、便秘を予防するのにも効果的です。
 
食物繊維が豊富に含まれる食材として納豆や昆布、わかめ、乾燥ひじきなどが挙げられます。
こうした海藻類や野菜を毎日の食事に加えることで、腸内環境が整って老廃物の排出が促進されます。

 

利尿作用のある食材

むくみ解消に効果的な食材を選ぶ際、利尿作用を促す食べ物を選ぶことも重要です。
ここでは、利尿作用のある食材を紹介します。

 

たんぱく質を多く含む食材

たんぱく質は血液中の水分バランスを保ち、体を正常に保つために欠かせない栄養素です。
特に、たんぱく質の一種であるアルブミンには、水分が血管の外へ漏れ出すのを防ぎ、むくみを抑える働きがあります。
 
たんぱく質に富む食材を意識的に取り入れることは、水分バランスを整えるうえで大切です。
代表的な食材として魚介類や肉、卵や大豆製品などが挙げられます。
これらをバランスよく摂取することで、健全な体作りをサポートできます。

 

ビタミンB群を多く含む食材

ビタミンB群は糖質や脂質、たんぱく質などの栄養素の代謝を助ける働きがあります。
ビタミンB群を摂取すれば体内のエネルギー産生を活発にし、ほかの栄養素の吸収を高めてくれるでしょう。
ビタミンB群を多く含む食材として豚肉や卵、緑黄色野菜などが挙げられます。
これらをバランスよく取り入れることで体内環境の改善につながり、むくみの解消につながります。

 

薬膳の効果を高めてむくみを解消する生活習慣

湯船につかる女性薬膳料理によるむくみ解消の効果をさらに高めるには、日常生活のなかでの習慣の見直しも重要です。
体によい生活習慣を取り入れることで薬膳の効果を最大限に引き出し、健康的な体となるでしょう。
ここでは、薬膳の効果を高めてむくみを解消する生活習慣を解説します。

 

体を冷やさないようにする

むくみを引き起こしている人は、体が冷えやすい体質であるケースがあります。
体が冷えると、手足などの末端の血流が悪くなり、新陳代謝が低下します。
その結果、老廃物や余分な水分が体にたまりやすくなります。
 
これを防ぐためには、体を冷やさないようにすることが大切です。
体を温める方法は温かい飲み物を飲む、寝る際は湯たんぽを使う、軽いストレッチやマッサージをするなどが有効です。

 

軽い運動で汗を流す

むくみがちな人は水分排出が不十分なケースもあります。
そのため、軽い運動などで汗をかいて、水分を排出する習慣をつけることが大切です。
軽く汗をかくようなウォーキングや積極的な階段の利用などの運動や入浴習慣やサウナなどを取り入れるよう心がけましょう。
 
運動後は水分・電解質を補給して体内環境を整えることも大切です。
代謝を高める運動はむくみ対策として欠かせませんが、無理のない範囲で続けられるかがポイントとなるでしょう。

 

水はこまめに摂取する

むくみがちな人は、水分の摂取量自体が少ないケースも多いです。
水分が不足していると、余分な水分を体外に排出しづらくなります。
こまめな水分補給によって体内の水分循環を活発にし、老廃物や余分な水分の排出を促すことが可能です。
 
コップ1杯から2杯程度の水分を1日に6~8回程度、少しずつ分けて飲むようにしましょう。
水分を我慢せずに、のどの渇きを満たすようこまめに水分補給を行うことが大切です。

 

油分・塩分を控える

油っこい料理は体内に水分をためやすく、塩分のとりすぎは水分摂取を増やしてしまう原因になります。
そのため、油分や塩分を控えた素材の味を生かした味付けにすることが大切です。
魚介類のうまみを活かすあっさりした味付けを心がけ、できるだけ油や塩、糖分の使用を控えるようにしましょう。
食事の水分過多にも注意しつつ、食事バランスを見直すことが大切です。

 

まとめ

むくみ解消には、薬膳を取り入れることが効果的です。
薬膳とは体の不調を改善する食事療法で、症状が現れる前の段階から食事を通じて健康維持することを目指します。
薬膳料理を生活の一部として取り入れ、継続することで徐々にむくみを改善していけるでしょう。
 
むくみ解消のためには、腎の働きを高める黒豆や黒ゴマなどの黒い食材や、水滞を防ぐネギやニンニクなどの香りのある食材を取り入れることが大切です。
またカリウムや食物繊維、たんぱく質、ビタミンB群など、体内の水分バランスを整える栄養素を多く含む食材を摂取することもむくみ改善に効果があります。
 
食事とともに体を温めることや運動で汗をかく習慣など、生活習慣面での工夫も薬膳の効果を高めるのに役立つので取り入れるようにしましょう。
 

女医

 

監修者情報

大久保愛先生

  • 監修者

    大久保 愛

  • 所属・資格等

    アイカ製薬株式会社 代表取締役社長

  • 経歴

    食薬の第一人者、漢方薬剤師、国際中医師、食薬アドバイザー、薬膳料理家。
    昭和医科大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。
    秋田の山で薬草や山菜を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持ちアトピー性皮膚炎を改善。北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人初の国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て未病を治す専門家として活躍。サプリや化粧品の開発・薬膳レシピ開発・出版・企業コンサルティングなどに携わる。
    年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『CrowdSalon®(クラウドサロン)』を開発し特許取得。『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。