水虫の原因や症状、治療薬について
目次 | |
---|---|
水虫の原因 | 水虫の患者数や割合 |
水虫の種類と症状 | 水虫を放置すると… |
水虫チェック | 水虫の感染経路 |
水虫の治療方法 | 水虫の再発率 |
水虫の予防対策 | 水虫治療薬の紹介 |
水虫と言えば、梅雨などのジメジメした時期に足の指の間がジュクジュクし、ブツブツができて痒くなる病気で、不潔そうな中年男性に多そうといったイメージを持っていませんか?
いいえ、水虫はもはや中年男性だけの病気ではありません。
水虫の語源は江戸時代に農家の人が水田で作業をした際に手や足の指に水疱ができ、痒くなる症状が流行ったことが始まりです。当時の農家の人は「水の中にいる虫にやられた」と思い込み、これらの症状のことを「水虫」と呼ぶようになりました。今もその名残で水虫と呼ばれているそうです。
水虫の原因
ご存知の方も多いと思いますが水虫の原因は白癬菌と呼ばれるカビの一種です。白癬菌は別段珍しい菌ではなく日本人の5人に1人は白癬菌の治療を受けていると言われています。
この白癬菌が足の角質面に侵入し、ケラチンというタンパク質をエサに定住し、成長と増殖を繰り返すことで水虫の症状を引き起こしてしまいます。
白癬菌増殖の条件は水虫のイメージにもあったように温度と湿度の影響を大きく受け、温度が15度以上。湿度が70%以上、いわゆる高温多湿の状態になると急激に増殖します。
梅雨時期や夏場の靴の中は通気性が悪く、蒸れやすく、高温多湿となり白癬菌にとっては絶好の繁殖場所にあります。ストッキングやブーツなどは通気性が特に悪く、保温性も高いため、より水虫のリスクが高くなります。若い女性の間でも水虫に感染した事がある人が増えている背景となっています。
水虫の患者数や割合
先程も述べたように日本人の5人の内の1人、約2000万人が白癬菌の治療のために病院に通っている、または薬局などで水虫治療薬を買っている患者数と言われています。
この数値にはまだ自覚症状が現われていない、又は発症しているもの治療行為をまだ行っていない潜在的な水虫患者は含まれていません。
これらの数値を含むと2500万人を超えると言われており、日本人の水虫患者の割合が高いということが伺えます。
年齢別に見ると、10~20代の患者数が少なく、年齢が高くなるにつれ水虫に感染している人の割合が高くなっていきます。
これには2つの原因があると考えられています。1つは働き始めたことで革靴などを履いている時間が大きく延びてしまったこと。2つ目は加齢に伴い皮膚の免疫力が低下し、感染しやすくなるためです。特に40代からは約4割、50代60代の方は約5割、70代になると約6割の方が水虫に感染していると言われています。
最後に男女に比率ですが、以前はイメージにあるように
男性7:3女性
男性6:4女性
と、男性の割合が高いという状況でした。
しかし、近年では女性の水虫患者が増えてしまった結果、
男性5:5女性
と、ほぼ半々という割合になっているようです。
しかも、20代以下の女性は水虫の感染に気がついていない、隠れ水虫の方が多い可能性があるため、年代別、男女別ともに割合が変わっていく可能性があります。
水虫の種類と症状
水虫といえば、足の裏にできるものというイメージが強いですが、足の裏以外の部分にも発症します。その発症した部分により名称が異なります。
足水虫…足白癬とも呼ばれる、一般的な水虫のイメージはこの足水虫です。患者数の割合も高く水虫全体の7割を占めるほど患者数の多い水虫です。この足水虫は更に趾間型水虫、小水疱型水虫、角質増殖型水虫、爪水虫(爪白癬)の4つに分類されています。それぞれで特徴や症状が異なっています。
趾間型水虫…しかんがたみずむし、と読みます。足水虫の一種で隙間の少ない薬指と小指の間に発症しやすく、強い痒みや時には悪臭を放つ、という特徴を持っています。患部は白くふやけたり、皮が剥けたりといわゆるジュクジュクした状態になります。
小水疱型水虫…しょうすいほうがたみずむし、と読みます。こちらも足水虫の一種で足の側面や土踏まずに発症しやすく、激しい痒みを伴います。患部は小さな水疱があせもやかぶれと見た目や症状が似ています。
角質増殖型水虫…かくしつぞうしょくがたみずむし、と読みます。こちらも足水虫の一種でかかとを中心とした部分が硬く、厚くなります。患部がジュクジュクしたり水疱ができる、という分かりやすい症状が現れないことから、感染したことに気が付かない人が多いです。痒みや痛みなどの症状はないが、皮膚が剥がれ落ちることが多く家族などに感染しやすいという特徴を持っています。
爪水虫(爪白癬)…こちらも足水虫の一種ですが稀に手の爪に発症することもあります。白癬菌に感染した爪は徐々に色や形などに異常が表れます。しかし、爪には神経が通っていないため、痛みなどを感じることはありません。
水虫を放置すると…
強い痒みや悪臭を伴わない限り水虫は治療されずに放置されることも少なくありません。しかし、水虫を治療せずに放置することには多くのリスクがあります。
治療が困難になる…白癬菌が他の部分にも感染してしまい、治療が困難になり、治療に必要な時間も増えてしまいます。
第三者へ感染を広げてしまう…白癬菌を保菌し続けているため、第三者への感染リスクを抱えたまま過ごしています。知らない間に家族にうつす、という状況を避けるためにも早期治療が非常に大切です。
爪への感染が広がる…手足が水虫になってしまうと、爪水虫のリスクが高くなります。更に爪水虫が悪化すると爪が固くなり治療薬も効きにくくなり、治療の手間や時間が増えてしまいます。
二次感染のリスクが高まる…水虫を放置することで皮膚の状態が悪化し、弱くなった皮膚から細菌感染を起こすおそれがあります。特に趾間型水虫は指と指の間の皮膚から黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が進入し蜂窩織炎(ほうかしきえん)の原因となることがあります。蜂窩織炎が発症すると患部が赤くなり、熱や痛みを持ちながら腫れます。また、発熱や倦怠感、悪寒なども引き起こします。
アレルギー症状を引き起こす…白癬菌に対して反応するアレルギーを引き起こすおそれがあります。このアレルギー反応を白癬疹と呼び、白癬菌に感染していない部分にも発疹が現われ、悪化すると全身に現れることもあります。
以上のように水虫を放置することで様々なリスクを背負うことになります。特に痒みや痛みがない場合でも足に水疱や皮がめくれているなどの症状が現れた場合は水虫を疑ってみても良いでしょう。
水虫チェック
以下の項目に多く当てはまる方は水虫のおそれ、又は水虫予備軍の可能性があります。
項目 | 項目 |
---|---|
入浴時に足の裏や指の間をあまり洗わない | バスマットを一週間以上選択しない |
毎日同じ靴を履いている | 靴を一日中履いている |
革靴やブーツを履くことが多い | 素足に靴を履くことがある |
素足に靴を履くことがある | 足の爪が黄色に変色している |
足の爪が脆くなり、表面がデコボコしている | 土踏まずに水疱がある |
足の裏の皮が硬く、厚くなってきた | 足の指と指の間の皮がめくれている |
靴を履いていると足が痒くなることが多々ある | 水虫にかかっている家族がいる |
これらの習慣や症状に多く該当している方は、習慣の改善や水虫の感染を疑ってみましょう。
水虫の感染経路
水虫の原因で白癬菌は空気感染することは絶対にありません。誤解されがちですが水虫に感染している方に患部が接触しても感染することはありません。では、どのような経路で感染するのでしょうか?
水虫に感染している人から剥がれ落ちた皮膚や垢には多数の白癬菌が潜んでいます。このような皮膚や垢は家の中や不特定多数の人が集まる、公衆浴場、様々な施設のスリッパ、床、カーペットの中などに存在しています。この皮膚や垢を踏むことで感染の可能性が生まれます。
接触しただけでは白癬菌は繁殖しませんが、接触した足を乾燥させること無く、白癬菌が繁殖しやすい環境を長時間維持すると感染する確率が高くなってしまいます。白癬菌が角質内に侵入し、定着するまでには24時間以上かかるとされています。その24時間以内に白癬菌をしっかり洗い流し、繁殖させないよう清潔にしていれば感染を防ぐことができます。
水虫の治療方法
水虫の治療方法は2つです。1つは皮膚科など専門の医師の診察を受けることです。診察後は症状に合わせた治療薬が処方されますので、用法用量を守って使用することが完治への第一歩です。もう1つは真菌を殺菌する効果のある治療薬を正しく使用することです。病院に行けない理由がある人は通信販売や近所の薬局で適切なお薬を購入しましょう。治療薬による治療ももちろん必要ですが、普段の習慣にも気を使う点がいくつかあります。
1. 足を清潔にすること
2. 足を乾燥させること
3. 皮膚を擦ったり、削ったりしない
4. 服や靴下なども清潔にする
上記を意識し、とにかく白癬菌が繁殖しにくい環境を作ることが大切です。
水虫の再発率
水虫の再発率は50%と言われ、非常に高い数値を誇っています。2人に1人は治したつもりで治っていなかった、ということです。この高い再発率の原因は「治療を正しく最後まで行わなかった」ということです。では、なぜ最後まで治療を行わなかったのでしょうか?
それは痛みや痒みが治療薬を使用したことで治まったため、完治したと勘違いし治療を中途半端にやめてしまったためです。症状が治まっても角質の中にはまだ白癬菌が生き残っており、それらがまた活動を再開することで水虫は再発します。
水虫の予防対策
水虫の感染経路や治療方法にもあったように、水虫の予防には可能な限り足を乾燥させ、清潔な状態を維持することです。
感染そのものを防ぐために足ふきマットやスリッパを清潔にし、共用しないのが良いでしょう。家族や同居人などに水虫の方がおられる場合は更に注意しましょう。