発達障害と睡眠障害は併存しやすい?睡眠障害の特徴や対処法を解説
発達障害がある人のなかには、睡眠に関する悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
実は発達障害と睡眠障害には、深い関係性があります。
そこでこの記事では、発達障害と睡眠障害の関係性や症状などについて解説します。
また、発達障害と併存する睡眠障害の対処法についても解説するため、睡眠障害で悩んでいる人は参考にしてください。
発達障害と睡眠障害は併存しやすい?
発達障害と睡眠障害は、併存しているケースが多いです。
日本では、発達障害の一種である「自閉症スペクトラム障害(ASD)」や「注意欠如・多動性障害(ADHD)」と診断された成人の約30%以上の人が、不眠で医療機関を受診した経験があるといわれています。
ASDとADHDの両方の診断を受けた人では、睡眠障害の割合が40%を超えるという報告もあります。
また、海外では、ADHDと診断された成人の約半数が日中の眠気に悩まされており、そのうち20%以上の人が「中枢性過眠症(昼間に過度の眠気が生じる症状)」と呼ばれる睡眠障害であると診断されています。
これらの数字から、発達障害がある人の多くが睡眠の問題を抱えていることがわかります。
睡眠障害が加わることで、日常生活や仕事がより困難になる可能性があるでしょう。
そのため、適切な支援や対策が重要です。
発達障害の場合に併存しやすい睡眠障害
睡眠障害には、不眠症や過眠症などいくつかの種類があり、発達障害と併存しやすい睡眠障害は以下の通りです。
- 不眠症
- 過眠症
- 睡眠リズム障害
- その他の症状
ここからは、それぞれの症状について詳しく解説します。
不眠症
不眠症は、発達障害がある人によく見られる睡眠障害の1つです。
主な症状として、寝つきの悪さや眠りの浅さ、睡眠の維持困難、早朝覚醒などが挙げられます。
これらの症状が続くと、日中の眠気や疲労感といった不調につながるでしょう。
こうした不眠症は、発達障害の特性による思考の活性化や感覚過敏が原因です。
たとえば、ADHDの人は頭のなかのアイデアが止まらず、なかなか眠れないといったことがあります。
環境の変化に敏感で、些細な音や光で睡眠が妨げられることもあるでしょう。
不眠症が長期化した場合、集中力の低下や気分の変動、免疫機能の低下など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
そのため、早期に適切な対策を講じることが重要です。
睡眠環境の改善や生活リズムの調整、場合によっては医療機関での治療も検討するとよいでしょう。
過眠症
過眠症(中枢性過眠症)は、夜間に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気を感じる症状です。
この障害は、ナルコレプシーや特発性過眠症などに細分されます。
発達障害がある人のなかには、日中の活動に必要な覚醒度を維持することが難しい人も少なくありません。
これは、脳の覚醒システムの調整に問題がある可能性を示唆しています。
過眠症により、仕事や学業、社会生活に支障をきたすこともあるでしょう。
過眠症の症状は、単なる疲れや怠けと誤解されることがあります。
しかし、これは医学的な問題であり、適切な治療が必要です。
症状としては、日中の強い眠気だけでなく、長時間の睡眠後も爽快感が得られない、昼寝をしても眠気が改善しないなどが挙げられます。
適切な診断と治療が重要となるため、症状が気になる場合は専門医への相談することも検討してください。
睡眠リズム障害
発達障害のある人に見られる睡眠の問題の1つに、睡眠リズム障害があります。
これは、体内時計の調整が難しく、眠りと目覚めのサイクルが乱れる状態です。
その結果、就寝時に寝つけなかったり、日中に強い眠気を感じたりするようになります。
睡眠リズム障害が出ると、社会的な時間と体内時計にずれが生じてしまうことは珍しくありません。
また、季節の変化や時差にも敏感で、体調を崩しやすくなります。
対策としては、光療法や規則正しい生活習慣の確立が効果的です。
ただし、個人差が大きいため、専門家のアドバイスを受けながら、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。
その他の症状
睡眠障害には、上記以外にもさまざまな症状があります。
一例として、睡眠時無呼吸症候群があります。
これは、睡眠中に呼吸が止まってしまう状態で、質のよい睡眠が妨げられます。
また、睡眠時随伴症という、眠っている間に起こる異常な行動も存在します。
夢遊病などがこれに該当するします。
さらに、睡眠中の体の動きに関する睡眠関連運動障害もあります。
周期性四肢運動障害などがこの分類に入ります。
これらの症状は、発達障害との関連性が指摘されていますが、個人差が大きいのが特徴です。
気になる症状がある場合は、睡眠専門医に相談することをおすすめします。
適切な診断と治療により、睡眠の質を向上できるかもしれません。
発達障害に併存する睡眠障害の対処法
発達障害と併存する睡眠障害への対処には、いくつかのポイントがあります。
自分の状態を正しく把握し、日常生活を適切に調整することで、睡眠の質を向上できる可能性があるでしょう。
ここでは、発達障害と併存する睡眠障害に効果的な対策をご紹介します。
自身の睡眠リズムを把握する
睡眠の問題を解決するためには、まず自分の眠りのサイクルを理解することから始めましょう。
毎日の寝る時間や起きる時間、夜中に目が覚めてしまう頻度、昼間に眠くなる時間帯などを細かく記録していくと、自分の睡眠リズムが見えてきます。
これにより、生活習慣の改善点が見えてくるかもしれません。
昨今では、睡眠を記録するスマートウォッチも登場しています。
これらを活用すれば、より詳細なデータが得られるでしょう。
こうしたデバイスと紙の記録を組み合わせて睡眠状態を可視化し、リズム障害への対策を講じていきましょう。
生活や仕事などの環境を調整する
睡眠障害が日常生活に影響を及ぼす場合、生活や仕事などの環境の調整が効果的な対策となります。
無理をせずに社会に適応するために、合理的配慮や支援を受けられる職場を探すことが重要です。
たとえば、朝が苦手な人は、夜勤勤務をしている職場を選ぶ人もいます。
自分の生体リズムに合わせた働き方を見つけることで、睡眠の質の向上につながることがあります。
環境調整は、仕事だけでなく生活全般にも及びます。
寝室の照明や温度、音など、睡眠に影響を与える要素を見直してみるのもひとつの手法です。
自分に合った快適な睡眠環境を整えることで、睡眠障害の改善につながる可能性があります。
発達障害は睡眠障害以外に併発しやすい病気はある?
発達障害は、睡眠障害以外にもさまざまな病気と併存する可能性があります。
以下は、発達障害と併存しやすい病気の一例です。
病気 | 特徴 |
うつ病 | 持続的な悲しみや興味・喜びの喪失、エネルギーの低下、集中力の欠如、睡眠障害、自殺念慮など |
双極性障害 | 躁状態(異常な高揚感、過活動)と鬱状態(深い悲しみ、無気力)の周期的な変動 |
不安障害 | 過度な心配や不安、恐怖感、パニック発作、筋肉の緊張、集中力の低下、睡眠障害など |
パーソナリティ障害 | 固定化された異常な思考・行動パターン、人間関係の困難、自己認識の歪みなど |
物質関連障害(アルコールや薬物への依存) | 物質の強迫的な使用、耐性の増加、禁断症状、日常生活や健康への重大な影響 |
生活習慣病 | 不健康な生活習慣による慢性疾患(糖尿病、高血圧、心疾患、肥満など) |
上記は、発達障害と併存しやすい病気ですが、症状には個人差があるため、必ずしもすべての人に当てはまるわけではありません。
正確に病気を把握するには、医療専門家の診断が重要です。
まとめ
発達障害と睡眠障害は併存しやすく、多くの人が両方の症状を抱えています。
主な睡眠障害として、不眠症、過眠症、睡眠リズム障害などがあります。
これらの問題に対処するには、自身の睡眠リズムを把握し、生活環境を調整することが重要です。
睡眠記録やウェアラブルデバイスを活用して睡眠パターンを把握し、それに基づいて生活習慣を改善しましょう。
また、発達障害への理解がある職場や生活環境を選ぶことで、より快適な日常生活を送れるかもしれません。
発達障害と睡眠障害は関わりがあります。もしも睡眠障害の症状があらわれたら睡眠薬で対策しましょう!睡眠薬は通販サイトから購入することも可能です!