睡眠薬は2種類飲むのは問題ない?種類ごとの特徴について徹底解説
不安を感じたりして眠れない人や夜中に目が覚めてしまう人など、不眠に悩む方は少なくありません。
更に、不眠であるのに睡眠薬を服用してもあまり効かないという方もいます。
こうした場合、眠りにつくために2種類の睡眠薬を併用しようと考えることは珍しくありません。
では、実際2種類の睡眠薬を併用するのは問題ないのでしょうか。
こちらのページではそんな睡眠薬の併用や睡眠薬の種類ごとの特徴を解説していきたいと思いますので、是非お役立てください。
不眠の種類
不眠には
- 寝つけない「入眠障害」
- 夜中に目が覚める「中途覚醒」
- 朝早く目覚める「早朝覚醒」
- 睡眠の質が悪い「熟眠障害」
があります。
それぞれ異なる原因と対策が必要です。
ここでは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
入眠障害
入眠障害は、布団に入ってもなかなか眠れない状態をいいます。
一般的に30分以上眠れない場合がこれに該当します。
主な原因は心理的ストレスや不安、環境懸念(騒音やまた、カフェインの摂取)などです。
入眠障害は疲労感や集中力の低下など日常生活に支障をきたすことがあります。
対策としては、睡眠前のリラックス習慣を取り入れて就寝環境を調整し、また必要に応じて医師の診断を受けることが重要です。
中途覚醒
中途覚醒とは、夜中に何回も目が覚めてしまう状態です。
睡眠の分断が起こることで深い睡眠に入ることができず熟睡感が得られません。
そのため、疲れなどが十分に取れずに疲労感や倦怠感を持ち越してしまいます。
原因としては加齢やアルコール摂取、ストレスや睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
特にアルコールは入眠には役立ちますが、睡眠の質を低下させるため注意が必要です。
そんな中途覚醒の対策にんは、アルコールの制限や就寝前のリラックスした時間を取り入れる、医療機関での相談が有効です。
早朝覚醒
早朝覚醒は、予定より早く目が覚めてしまいそこから眠れなくなる状態です。
主な原因はうつ病や加齢、日常のストレスなどが挙げられます。
加齢や体内時計の乱れ、ホルモンバランスの変化などが影響する早朝覚醒は、日中の集中力やエネルギーレベルを低下させるだけでなく、心理的なストレスを増加させることがあります。
早朝覚醒には日光浴を取り入れて体内時計を整えたり規則的な生活リズムを維持したりすることが有効です。
熟眠障害
熟眠障害は睡眠時間が十分であっても睡眠の質が低いため、疲れが取れない状態を指します。
原因としてはストレスや加齢、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
またカフェインやアルコールの摂取も熟睡できない原因の可能性があります。
熟眠障害を放置すると慢性的な疲労や集中力の低下、イライラ感などを感じてしまい日常生活へ悪影響を及ぼします。
改善するには睡眠環境の見直しや規則的な生活習慣、必要に応じた医師の診断と治療が重要です。
睡眠薬は2種類以上使うことはできる?
睡眠薬は原則として1種類を飲むことが推奨されています。
また、2種類以上の睡眠薬を併用することで、不眠に対する効果が高まるといったエビデンスはない上に、副作用などのリスクが高まってしまいます。
そのため、睡眠薬の併用は可能な限り避けるべきで自己判断で多剤併用することはと厳禁です。
ですが、睡眠薬が2種類同時に処方されるといったケースはゼロではありません。
また、睡眠薬が3種類以上同時に処方される時には、病院から厚生局への報告が必要になったりします。
睡眠薬の種類
睡眠薬には入眠を助ける睡眠導入剤や自然な眠りを誘発させるものがあります。
いずれも作用機序や効果が異なり、症状に応じた選択が重要です。
ここでは、それぞれの種類について詳しく解説します。
睡眠導入剤
睡眠導入剤は、主に寝つきを改善するために使用されます。
主にベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の2種類に分類されます。
ベンゾジアゼピン系
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は有効成分が脳内のGABA受容体に作用して、神経活動を抑制することで鎮静や催眠効果を発揮します。
この薬剤は即効性があり効果時間も比較的短いことから、入眠障害や中途覚醒などの不眠に対して有効とされています。
しかし、長期的な使用で耐性が付いたり、依存するといった可能性があるため、注意が必要です。
また、依存してしまうと離脱症状が起こる可能性も出てくるため、適切な用法用量を守るのが重要です。
副作用として翌朝の眠気やふらつきが挙げられるため、高齢者や運転をする人は注意が必要です。
非ベンゾジアゼピン系
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系と同じくGABA受容体に作用しますが、ベンゾジアゼピン系よりも効果が弱く副作用のリスクが低いことが特徴です。
こちらもベンゾジアゼピン系睡眠薬と同様に、即効性があり効果時間が短いものが多いため、入眠障害や中途覚醒の改善に用いられます。
副作用のリスクは低いですが、完全にゼロではないため適切な用法用量を守って使用するようにしてください。
自然な眠気を誘発させる睡眠薬
自然な眠気を誘発する睡眠薬としてメラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体抗薬が挙げられます。
これらは体内時計を整えたり、脳の覚醒を促す神経物質を阻害することで眠りへと導く睡眠薬です。
メラトニン受容体作動薬
メラトニン受容体活性薬は、体内時計を調整するホルモン「メラトニン」を補うことで自然な眠気を呼び起こして睡眠へと誘う睡眠薬です。
この薬は、入眠障害や睡眠リズムの乱れが原因の不眠症に対して効果を発揮します。
依存性がなく安心して使えるため長期的な使用にも適しています。
ただし時間を誤って服用すると効果が薄れたり、夜間に覚醒したりします。
また、効果の実感には数日から数週間かかる場合もあるため継続的に使用することが大切です。
医師と相談しながら正しいタイミングで服用するようにしましょう。
オレキシン受容体拮抗薬
オレキシン受容体拮抗薬は、脳の覚醒を促進する「オレキシン」の働きを抑制することで睡眠を誘発します。
特に中途覚醒や熟眠障害の改善に効果的とされています。
睡眠薬を2種類服用する際の注意点
睡眠薬を2種類以上使用する場合、副作用や相互作用のリスクがあるため、医師の指示に従うことが何よりも大切です。
自己判断で2種類以上服用しない
自己判断で睡眠薬を2種類以上服用するのは非常に危険です。
睡眠薬にはさまざまな種類があり、それぞれ作用機序や副作用が異なります。
複数の睡眠薬を同時に服用すると、薬の効果が重なりすぎて過度な眠気がおこり、昼間の眠気や意識の混濁、さらには転倒や事故といったリスクが高まります。
また、薬同士の相互作用により、副作用が増強される可能性もあります。
たとえば、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を併用すると過剰に脳の機能が抑制され、呼吸抑制や過鎮静が起こって命に関わる事態に発展することもあります。
さらに、自己判断で薬を服用することは、うつや不安症状などの基礎疾患に対しての適切な治療を遅らせ、薬の効果が分かりづらくなる原因にもなります。
そのため、2種類以上の睡眠薬を併用する場合は自己判断ではなく、医師の指示があって初めて行うようにしましょう。
まとめ
不眠には入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害の4つの種類があります。
原因や症状に応じて、適切な治療や薬剤の選択が必要です。
睡眠薬にはさまざまな種類があり、使用目的に応じて正しく選ぶことが重要です。
ただし、2種類以上の睡眠薬を併用する際に抗うつ薬と睡眠薬などの安易な併用や自己判断での複数薬剤の使用は避けるようにしましょう。
正しい情報を基に専門家と相談しながら適切な対策を講じましょう。