低用量ピルとトラネキサム酸は併用できない?リスクについて解説

低用量ピルとトラネキサム酸は併用できない?リスクについて解説トラネキサム酸は美白効果などさまざまな効果があるため、日常的に服用している人もいるでしょう。
一方で、低用量ピルも避妊や月経痛の改善などのために服用している人も多いはずです。
こちらのページでは、そんなトラネキサム酸と低用量ピルの併用可否についてや併用に注意すべき薬などについて解説するため是非、参考にしてください。

 

低用量ピルとトラネキサム酸の併用はできないってホント?

低用量ピルとトラネキサム酸の医薬品は併用しても問題ないのでしょうか。
まずは低用量ピルとトラネキサム酸の併用が可能なのかについて解説します。

 

併用できないわけではないが避けたほうがよい

低用量ピルとトラネキサム酸の併用は禁忌ではありませんが、避けたほうがよいケースがあります。
低用量ピルは2種類のホルモンが含まれた医薬品であり生理痛・月経前症候群の改善や避妊などの効果があります。
 
一方でトラネキサム酸は、肝斑やシミの治療に用いられるアミノ酸の一種であり、喉の炎症を抑える医薬品として市販されています。
またトラネキサム酸は止血作用が強いため、止血剤としても活用されることがあります。
低用量ピルとトラネキサム酸は風邪といった一時的な併用であれば認めているクリニックも多いですが、美容目的での併用は不可としているケースが多いようです。

 

併用すると血栓症のリスクが高まる?

低用量ピルの副作用として血栓症のリスクが広く知られています。
これは低用量ピルに含まれるホルモン成分が血液の凝固を促進するためです。
特に肥満や喫煙者、高齢者や長時間の安静状態にある方などは血栓症リスクが高くなってしまいます。
 
一方のトラネキサム酸にも止血作用があるため、低用量ピルと併用するとピルによってできてしまった血栓を溶かす作用が抑制されてしまいます。
そのため、低用量ピルとトラネキサム酸の併用には注意が必要となっています。

 

トラネキサム酸はどんな効果があるの?

トラネキサム酸トラネキサム酸は、抗プラスミン予防作用を持つ薬剤で体内の血液を分解する酵素であるプラスミンの働きを抑えることで止血効果を発揮します。
この作用によって外科手術後の出血や月経過多の改善、さらには鼻血や歯茎からの出血などの軽度な出血の抑制にも使用されます。
また、トラネキサム酸は皮膚科領域でも注目されており、メラニン生成を抑制することでシミの治療が行われています。
さらに、アレルギー症状の緩和や炎症反応の抑制にも効果が期待され、花粉症や蕁麻疹の治療に使われるケースもあります。

 

トラネキサム酸の副作用

頭痛の女性トラネキサム酸の副作用には血栓症や腸閉塞、吐き気、頭痛などがあります。
これらの症状はまれですが、あらわれた場合は医師に相談することが重要です。
こうした副作用が続く場合には使用を中止することを検討してください。
安全に使用するためには、事前にリスクについてしっかりと保管することが大切です。
ここからは、トラネキサム酸の副作用について詳しく解説します。

 

血栓症

トラネキサム酸の主要な副作用の一つが血栓症です。
血液が過剰に凝固することで血栓が形成され、血管を詰まらせる可能性があります。
血栓症は特に肺動脈や深部静脈で発生することが多く、重篤な場合には肺塞栓症や脳梗塞に繋がることもあります。
血栓症のリスクが高いとされる喫煙者や肥満の人、長時間にわたり同じ姿勢をとる人などは注意が必要です。

 

腸閉塞

トラネキサム酸の使用に関連して、まれに腸閉塞のリスクが報告されています。
腸閉塞とは、腸管が物理的に詰まり消化物が通過しなくなってしまった状態を指します。
これによって激しい腹痛や嘔吐、便秘や腹部の膨張感といった症状があらわれます。
 
腸閉塞が進行すると腸管の壊死や感染症を引き起こすリスクもあり、生命に関わる事態に発展する可能性もあるので速やかな対応が必要です。
トラネキサム酸の使用中にこれらの症状があらわれた場合は、医療機関を受診しましょう。

 

吐き気・下痢

トラネキサム酸の消化器系への影響として吐き気や下痢が挙げられます。
これらの副作用は比較的軽度であることが多いですが、頻繁に発生したり症状が悪化したりする場合は注意が必要です。
吐き気が続くと食欲不振や脱水症状が考えられる可能性があるため、適切な水分補給が求められます。
 
また、下痢の症状が重い場合は、腸内の水分吸収が損なわれることで脱水や電解質のバランスが崩れることがあります。
これらの症状があらわれた場合には、消化器症状を緩和するための対策が必要な場合もあるため、自己判断せずに専門家の指示を仰ぐことが推奨されます。

 

頭痛

トラネキサム酸の副作用として頭痛が起きることがあります。
軽度の頭痛であれば問題がない場合が多いですが、強い痛みや視覚異常、吐き気を伴う場合は、重大な症状である可能性があります。
特に、これらの症状が突然発生した場合や持続的に続く場合には、血栓症や高血圧などの深刻な副作用が疑われるため、医療機関を受診する必要があります。

 

トラネキサム酸や低用量ピルと併用に注意が必要な薬・成分

トラネキサム酸や低用量ピルはそれぞれ併用に注意が必要な薬・成分があります。
ここからは、それぞれの併用に注意が必要な薬・成分について詳しく解説します。

 

トラネキサム酸と併用に注意が必要な薬・成分

トラネキサム酸は止血効果を持つ薬剤ですが、凝固を促進する作用を持つ「トロンビン製剤」との併用は禁忌となっています。
トロンビンとトラネキサム酸を併用すると、血液が過剰に凝固するリスクが高まるためです。
また、併用に注意が必要な物としてヘモコアグラーゼやバトロキソビンなどの止血剤などについても併用注意薬として指定されているため、併用には注意する必要があります。

 

低用量ピルと併用に注意が必要な薬・成分

低用量ピルは併用に注意が必要な薬としてリファンピシンやバルビツール酸系薬剤などが挙げられます。
これらは肝臓の酵素を誘導し、低用量ピルに含まれるホルモン成分の代謝を早めてしまう作用があるのです。
その結果、避妊効果が低下して予期しない妊娠のリスクが高まったりする可能性があるためです。
 
上記以外にも、併用注意に分類される薬剤としてHIVプロテアーゼ阻害剤やアセトアミノフェンなどさまざまな種類があります。
そのため、低用量ピルを服用する場合には併用する薬に特に注意が必要になります。

 

まとめ

低用量ピルとトラネキサム酸は併用できないわけではありませんが、血栓症のリスクが高まるため慎重な服用が求められます。
これはトラネキサム酸の止血効果と低用量ピルの血液凝固作用などにより、血栓症のリスクが高まるためです。
また、トラネキサム酸は同じ血液を凝固させる作用があるトロンビン製剤との併用は禁忌となっています。
低用量ピルはリファンピシンやバルビツール酸系薬剤のように併用に注意が必要な治療薬が多数あるため、トラネキサム酸と低用量ピルを併用する場合は、それらの併用に注意するだけでなく、それぞれの治療薬と他の治療薬の相性などについても注意深く確認しておく必要があります。