低用量ピルと飲み合わせが悪い薬は?効果を発揮するためにも把握しておこう

低用量ピルと飲み合わせが悪い薬は?効果を発揮するためにも把握しておこう低用量ピルには避妊効果や生理痛・月経前症候群の改善などさまざまな効果があります。
しかし、別の薬との飲み合わせにより、こうした低用量ピルの効果に影響を与えてしまう可能性があることをご存じでしょうか。
低用量ピルとの飲み合わせによって別の薬の効果を弱めてしまったり、反対に強めてしまうこともあります。
そのため、低用量ピルとの飲み合わせが悪い薬について、正しい知識を持つことが大切です。
 
この記事では、低用量ピルとの飲み合わせが悪い薬について解説します。
また、低用量ピルとの飲み合わせが悪い飲食物についても解説するため、ピルを服用している人は参考にしてください。

 

低用量ピルと飲み合わせの相性が悪い薬ってどんなもの?

女医が✕を掲げている
低用量ピルとの飲み合わせの相性が悪い薬は「ヴィキラックス配合錠」と呼ばれるC型肝炎の薬です。
ヴィキラックス配合錠を服用している人が低用量ピルを飲むと、肝機能が悪化してしまうという事例があります。
 
しかし、ヴィキラックス配合錠を服用している人でも低用量ピルを飲みたいという人はいるでしょう。
その場合は、ヴィキラックス配合錠の服用期間が終わり、2週間の期間をあければ低用量ピルを飲むことが可能です。
また、低用量ピルを飲んでいるときにヴィキラックス配合錠の服用が必要となった場合は、医師にピルを服用していると伝えましょう。

 

低用量ピルと飲み合わせる際に注意すべき薬とは?

先述した通り、ヴィキラックス配合錠は低用量ピルとの併用が禁忌となっている薬です。
しかし、この薬以外にも飲み合わせの際に注意が必要な薬が存在します。
ここからは、低用量ピルと飲み合わせに注意が必要な薬について解説します。

参考元:ピルと飲み合わせ禁忌の薬やサプリメント、安全に服用するための注意点を解説

 

低用量ピルの効果が強まる薬

低用量ピルとの飲み合わせによって、低用量ピルの効果が強まってしまう薬は以下の通りです。

薬の種類

主成分

解熱鎮痛薬

・アセトアミノフェン

抗真菌薬

・フルコナゾール

・ボリコナゾール

・イトラコナゾールなど

上記のような主成分が配合された薬と低用量ピルを飲み合わせると、低用量ピルの効果が強くなります。
効果が強くなるのは、作用を増強するのではなく低用量ピルを飲むことで起こる副作用が強くでるという意味です
特にアセトアミノフェンが主成分の解熱鎮痛薬は、市販の薬にも含まれているため注意しましょう。
 
また、低用量ピルを服用しているときに、上記の薬の処方を受ける場合は、医師に低用量ピルを服用している旨を伝えることが大切です。
反対に上記の薬を服用しているときに低用量ピルの処方を受ける場合も、医師に上記の薬を服用していると伝えましょう。

 

低用量ピルの効果が弱まる薬

低用量ピルとの飲み合わせにより、低用量ピルの効果が弱まってしまう薬は以下の通りです。

薬の種類

主成分

てんかんの治療薬

・フェノバルビタール

・プリミドンフェニトイン

・カルバマゼピン

・トピラマート

・オクスカルバゼピン

結核の治療薬

・リファンピシン

上記のような主成分が配合された薬は、低用量ピルの代謝に必要となる酵素を誘導して分解を促進する効果があります。
その結果、低用量ピルの代謝が早まったり、腸内環境を変化させて吸収を悪くしたりして低用量ピルの効果を弱めてしまうと言われています。
効果が弱まるということは当然ではありますが、避妊効果も十分ではなくなってしまう場合があるため特に注意が必要です。
 
またこれらの薬は、服用期間が終わっても体内の成分が分解されるまでに時間がかかるため、服用期間終了後4週間ほど期間をあけて低用量ピルを飲むよいといわれています。
いずれにしても、てんかんの治療薬や結核の治療薬の服用が必要になったら、低用量ピルを飲んでいることを医師に伝えましょう。

 

併用薬の効果が強まる薬

低用量ピルとの飲み合わせにより、効果が強まる薬も存在します。
具体的には、以下のような薬です。

薬の種類

主成分

ステロイド内服薬

・副腎皮質ホルモン

胃酸を抑える薬

・オメプラゾール

三環系抗うつ剤

・イミドール

トフラニール

免疫抑制剤

・シクロスポリン

パーキンソン病治療薬

・セレギリン塩酸塩

ぜんそく治療薬

・テオフィリン

上記の薬は、低用量ピルと併用すると代謝が抑制されて効果が強くなる可能性があります。
低用量ピルの効果が強まる薬でもお伝えしたように、上記の薬の副作用リスクが高まったりするため併用する場合には注意が必要です。

 

併用薬の効果が弱まる薬

低用量ピルとの飲み合わせにより、併用薬の効果が弱まる薬は以下の通りです。

薬の種類

主成分

解熱鎮痛薬

アセトアミノフェン

血圧降下剤

イスメリン

血糖降下剤

・ヘキストラスチノン

・デアメリンS

上記の薬と低用量ピルを飲み合わせると上記の薬の効果が弱まってしまう可能性があります。
特にアセトアミノフェンが含まれる解熱鎮痛薬は、低用量ピルの効果を強くする作用もあるため、注意が必要です。
また、上記の薬は医師の診断をもとに処方される薬であるため、処方される際は低用量ピルを服用していると伝えましょう。

 

低用量ピルと下剤を飲みわせる場合は注意が必要

低用量ピルと下剤を飲み合わせることは基本的に問題ありません。
ですが、併用によって低用量ピルの成分が体内に吸収されずに排出されてしまう可能性がある点に注意が必要です。
低用量ピルの成分が体内に吸収されるのか不安な場合は、下剤もしくは低用量ピルを服用後、4時間あけてからもう片方の薬を飲みましょう。

参考元:低用量ピルと飲み合わせが悪い薬・サプリメント・飲食物を医師が徹底解説!

 

低用量ピルと飲み合わせが悪い飲食物もある?

低用量ピルとの飲み合わせの良し悪しは、薬だけではありません。
アルコールや炭酸水などの飲食物も低用量ピルとの相性が悪いといわれています。
ここでは、低用量ピルとの飲み合わせが悪い飲食物について解説します。

参考元:低用量ピルと飲み合わせが悪い薬・サプリメント・飲食物を解説!

 

アルコール

低用量ピルはアルコールとの相性が悪いです。
低用量ピルとアルコールは肝臓内で分解されます。
しかし、肝臓はアルコールを重点的に分解する働きがあるため、低用量ピルの分解が遅れる可能性があります。
その結果、低用量ピルの血中濃度が高まり、効果が強くなってしまうおそれがあるのです。
 
また、お酒を飲んだあとに低用量ピルを服用し、3時間以内に下痢や嘔吐をした場合は、低用量ピルの成分が体内に吸収できていない可能性もあります。
その際は、再度低用量ピルを1錠飲みましょう。

 

炭酸水

低用量ピルは炭酸水との飲み合わせにより、体内への吸収が妨げられる可能性があります。
これは、炭酸水に含まれる気泡が原因です。
過度に気にする必要はありませんが、低用量ピルを飲む際は炭酸水ではなく水で飲むようにしましょう。

 

グレープフルーツ

グレープフルーツは、低用量ピルだけでなくさまざまな薬の効果に影響を及ぼす食べ物です。
「フラノクマリン」というグレープフルーツに含まれている成分が原因であり、薬を分解するための酵素の働きを妨げます。
その結果、薬を分解するのに時間がかかり、効果が強くなってしまうという仕組みです。
グレープフルーツが分解酵素を妨げる作用は、24時間から長い場合は2・3日続くともいわれているため、低用量ピルの服用期間中はグレープフルーツを食べないようにしましょう。

 

低用量ピルと飲み合わせが悪い薬を飲んでしまうとどうなる?

医者に相談する女性
ここまで、低用量ピルと飲み合わせが悪い薬について解説しましたが、これらとの飲み合わせが悪いことを知らずに服用してしまった人もいるでしょう。
低用量ピルとの飲み合わせが悪い薬を同時に服用した場合は、かかりつけ医や医療機関に相談することが大切です。
 
低用量ピルと飲み合わせが悪い薬を同時に飲み続けると、ピルの効き目が悪くなるだけでなく、体調に変化がでたり、病気が治りづらくなったりする可能性もあります。
少しでも体調に変化がでたらすぐに低用量ピルの服用を止めて、医師に相談しましょう。
また、何かしらの薬を処方してもらう際は、事前にピルの服用中であることを伝えることで、飲み合わせの悪い薬を避けて、併用しても問題がない薬を処方してもらえます。

 

まとめ

今回は低用量ピルとの飲み合わせが悪い薬や飲食物について解説しました。
 
低用量ピルとの飲み合わせが最も悪いのは、ヴィキラックス配合錠と呼ばれるC型肝炎の薬です。
この薬と低用量ピルの飲み合わせにより肝機能が悪化するという事例があります。
そのため、低用量ピルを飲む際は、ヴィキラックス配合錠の服用期間が終了後、2週間の期間をあけて服用しましょう。
 
ほかにも、低用量ピルと飲み合わせることで、ピルの効果が強くなったり、弱くなったりする薬もあります。
一方で、低用量ピルとの飲み合わせにより、薬の効果が強くなったり、弱くなったりする薬もあるため、今回解説した薬を服用する際は、医師に相談しましょう。

 

監修者情報

尾崎功治先生

  • 医師

    尾崎 功治

  • 所属・資格等

    マーチクリニック 院長

  • 経歴

    北京大学医学部卒業後、中国医師免許・日本医師免許を両国で取得。
    帰国後、都内大学病院・総合診療科常勤医として勤務し外国人患者に特化した診療・医療インバウンドに従事。
    現マーチクリニック院長として外国籍患者の診療や医療インバウンドを行う傍ら、前職エンジニアで現在も医療アプリの開発・コンサルテーション等、医療分野における事業展開のサポートに携わる。
    リンク先:march clinic