FAGAは自然治癒するの?原因や受診する病院について解説
「最近抜け毛が多い」「分け目の地肌がみえて気になる」「髪が細くなって、ボリュームがなくなった」こんなお悩みの方、FAGAかもしれません。
自然治癒するのか、完治する可能性はあるのかも気になりますね。
そこでこの記事では、FAGAの原因や自然治癒の可能性、受診すべき医療機関などのポイントを解説します。
治療方法についても詳しく説明するため、FAGAに悩んでいる人や、予防に関心がある人は、ぜひ参考にしてください。
FAGAへの理解を深め、適切な対処法を見つけるきっかけとなるでしょう。
FAGAとは?
FAGAは「Female AndroGenetic Alopecia」の頭文字をとった略称で、女性の男性型脱毛症を指します。
この症状は、頭頂部や分け目付近の髪が徐々に細くなり、薄くなっていくのが特徴です。
男性ホルモンの影響を受けやすい部位から脱毛が始まるため、このように呼ばれるようになりました。
FAGAは40代以降、特に女性ホルモンの減少する更年期以降の発症が多いですが、若い女性にも発症することがあります。
初期段階では気づきにくいこともありますが、進行すると髪の毛の1本1本が細くなり、髪のボリュームが減少し、頭皮が目立つようになります。
ただし、男性の場合とはちがって完全に頭皮が露出してしまうといったことは極めて稀です。
FAGAの進行速度は個人差が大きく、ゆっくりと進行する場合もあれば比較的早く進行することもあります。
症状を抑えるには、個々の状態に合わせた適切な対処が重要となるでしょう。
参考元:AGA・FAGA
FAGAは自然治癒する?
FAGAは進行性の症状であるため、自然治癒はほぼ望めません。
放置してしまうと症状が進行する一方となるため、早期に適切な治療を始めることが重要です。
このFAGAが自然に回復することは極めて稀な理由は、FAGAの原因としてホルモンバランスの変化や遺伝的要因が関係していることがあげられます。
しかし、適切な治療や生活習慣の改善によって進行を遅らせたり、症状を改善したりすることが可能です。
完全に元通りになることは難しいかもしれませんが、早期発見と継続的なケアによって髪の健康を維持することは十分に可能です。
専門医に相談し、自分に合った対策を見つけるようにしましょう。
参考元:FAGAの治療方法
FAGAは完治する?
FAGAは、基本的に完全な治癒が難しいとされています。
FAGAが男性ホルモンの影響で発症している場合、治療を継続することで症状の進行を抑えることはでき、改善もみられますが、治療を中断すると再び症状が進行します。
しかし、ホルモンバランスの乱れ以外が原因の場合は、適切な治療によって完治する可能性もあります。
まずは正確な診断を受けて原因を特定することが重要です。
適切な治療を行うことで、FAGAの進行を抑え、症状の改善が期待できるでしょう。
FAGAの原因とは?
FAGAには複数の要因が関係しています。
主な原因として、ホルモンバランスの乱れや遺伝的要因、生活習慣の乱れなどが挙げられます。
これらの要因が単独あるいは複合的に作用することで、FAGAが引き起こされます。
ホルモンバランスの乱れ
加齢に伴うホルモンバランスの変化は、FAGAの主な原因の一つです。
女性ホルモンが減少することで男性ホルモンが相対的に増加し、髪の毛に悪影響を及ぼすことが知られています。
このホルモンバランスの変化が頭皮にある毛根を縮小させることで、髪が徐々に細く、そして薄くなってしまうのです。
女性は更年期に差し掛かると、女性ホルモンの減少が顕著になり、FAGAを発症するケースは珍しくありません。
更年期による女性ホルモン減少が原因となっている場合は、更年期障害を治療できる婦人科で、ホルモン補充療法の適応など相談してみましょう。
場合によっては、保険適用で治療を受けられるケースもあります。
加えて、ストレスや不規則な生活習慣もホルモンバランスを乱す要因となるため、注意が必要です。
ホルモンバランスの乱れは、他の健康問題にもつながることがあり、これらの問題を防ぐためには健康管理が不可欠となるでしょう。
遺伝
FAGAには遺伝的な要素が大きく関わっています。
親や祖父母にFAGAや男性型脱毛症が見られる場合、その遺伝的要因が子孫に受け継がれ、FAGAを発症するリスクが高まることがあります。
これは、髪の成長や脱毛に関与する特定の遺伝子が遺伝によって引き継がれるためです。
しかしながら、遺伝的なリスクがあるからといって、必ずしもFAGAを発症するとは限りません。
環境要因や生活習慣も髪の健康に大きな影響を与えます。
たとえ遺伝的な素因を持っていても、適切なケアや生活習慣の改善を行うことで、発症を遅らせたり、症状を軽減したりすることは可能です。
特に早期の対策が重要であり、遺伝的なリスクを意識しながら、適切な予防策を講じることが推奨されます。
生活習慣の乱れ
日々の生活習慣がFAGAの発症や進行に大きな影響を与えることがあります。
不規則な食生活や睡眠不足、過度のストレスや喫煙などが髪の健康に悪影響を与える要因となりえます。
これらの生活習慣は体内の栄養バランスを崩したり、血行を悪化させたりすることで毛髪の成長を阻害する可能性があります。
また、過度なヘアスタイリングや不適切なヘアケアも頭皮や毛根に負担をかけ、FAGAの症状を悪化させる原因となりかねません。
逆に、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠やストレス管理などの健康的な生活習慣を維持することで、FAGAの予防や症状の改善につながる可能性があります。
これらの生活習慣の改善は髪の健康だけでなく、健康状態の向上にも寄与するため日々の生活に取り入れることが重要です。
FAGAは何科を受診すればよい?
FAGAの症状かもしれないと思ったら、専門医による診断と治療を受けましょう。
皮膚科またはFAGA専門のクリニックが選択肢となります。
まず皮膚科で何か別の病気が原因になっていないかを調べてもらう
先に述べたFAGA以外に、脱毛を引き起こす他の疾患もあります。
頻度として多いのは貧血、膠原病、甲状腺疾患、亜鉛欠乏症などです。
採血で調べることができ、他の疾患が見つかるケースもあります。
他の疾患が見つかった場合はその治療を行うと脱毛が改善する可能性があります。
まず他の病気による2次的な脱毛でないかは調べてもらうと良いでしょう。
また頭皮に痒みや赤み、乾燥によるフケなどの症状がある場合も、皮膚科を受診してください。
皮膚炎の症状が強い場合、また痒みで搔いてしまっている場合は脱毛の原因になり得ます。
皮膚科では頭皮の状態に基づいて適切な治療が行われます。
痒みや赤みが炎症性のものであれば炎症を抑えるための外用薬が処方されます。
また、乾燥によるフケの症状に対しては、保湿ケアや専用シャンプーの使用が推奨されることもあります。
皮膚科医はこれらの症状がFAGAの進行に影響を与えていないか、総合的に判断します。
FAGA専門のクリニック
別の病気が原因で起こる脱毛でなく、FAGAによる脱毛の診断がついた場合、症状が進行している場合や専門的な治療を希望する場合は、FAGA専門のクリニックを受診するのが良いでしょう。
これらのクリニックではFAGAに特化した診断と治療を行っています。
FAGA専門クリニックでは、詳細な問診や頭皮の状態チェック、毛髪診断などを通じてFAGAの程度や原因を特定します。
そして、個々の状況に合わせて薬物療法や育毛療法、低出力レーザー治療などのさまざまな選択肢のなかから最適な治療プランを提案してくれるでしょう。
また、これらのクリニックでは、FAGAに関する最新の知見や治療法を取り入れられており、自費治療の選択肢も多いため、保険診療のみのクリニックよりもより幅広い選択肢の中から、治療を受けることができます。
長期的なフォローも期待できるでしょう。
FAGAの治療方法
FAGAの治療には、さまざまな方法があります。
代表的な治療方法を以下の表にまとめました。
治療方法 | 概要 | 特記事項 |
投薬治療 | スピロノラクトンが用いられ過剰な男性ホルモンの働きを抑制して抜け毛を予防。 ミノキシジルで血行促進し、新しい髪を生やす。 | フィナステリドやデュタステリドは女性には使用禁止。 妊娠中や授乳中の使用には特に注意が必要。 |
メソセラピー | ミノキシジルや成長因子などを頭皮に直接注射することで、発毛や育毛を促進する。 | 美容外科や専門クリニックでのみ施術が可能で、費用が高額。 定期的な施術が必要で、副作用のリスクも考慮する必要あり。 |
増毛エクステ | 自分の髪に人工毛を結びつけることで毛量を増やす。 | 見た目の改善は可能だが、自毛に負担がかかりやすく、定期的にメンテナンスが必要。 シリコン入りシャンプーの使用を避け、ノンシリコン製品の使用が推奨される。 |
自毛植毛 | 健康な自分の毛髪を薄毛部分に移植し、自然に生え変わる髪を持続的に得る治療法。 | ドナー部分に傷跡が残る可能性がある。 女性での施術は少なく、実施している医療機関も限られる。 |
上記の表を参考にして、担当の先生と相談しながら、自分に合った治療方法を検討してください。
まとめ
FAGAは女性の男性型脱毛症を意味しており、主な原因はホルモンバランスの乱れや遺伝、生活習慣の乱れなどが挙げられます。
自然に治ることは難しい進行性のものですが、早期発見と適切な治療により、症状を改善したり、進行をゆっくりと抑える事ができます。
健康的な生活習慣を心がけ、気になる症状があれば早めに皮膚科やFAGA専門クリニックで相談しましょう。
治療方法には薬物療法や育毛療法、低出力レーザー治療などがあり、適切な治療により症状の改善や進行を遅らせることが期待できます。
FAGAへの理解を深め、自分に合った対策を見つけることで、より効果的に対処できるでしょう。
監修者情報
医師
伊藤 瞳子(いとう とうこ)
所属・資格等
日本皮膚科学会 専門医
経歴
岩手県奥州市の内科・小児科を併設するクリニックで、皮膚科・美容皮膚科の診療に従事。皮膚科専門医の資格を持ち、年間約17,000人を診察。ほくろのレーザー除去、巻き爪矯正を得意としている。また、肌トラブルに対して初期対応できるよう、SNSやWEBメディアを通じて、大人・子どもの肌ケア、市販薬の選び方などの情報も発信中。