日本初の抗肥満薬「アライ」がついに販売開始!有効成分オルリスタットは効果ある?

日本初の抗肥満薬「アライ」がついに販売開始!有効成分オルリスタットは効果ある?2024年3月、大正製薬は「来月(2024年4月)から日本初の抗肥満薬となる『アライ』の販売を開始します」と発表しました。
有効成分オルリスタットの働きにより、体内の脂肪を減らせる……肥満に悩む方にとって、まさに救世主というべき医薬品ですが、「ホントに効果あるの?」と不安な方も多いのでは?

そこで今回の記事では、

  • 有効成分オルリスタットの効果
  • 「アライ」を飲むときの注意点
  • 「アライ」の購入方法

といったポイントについて解説します。

日本で初承認となった抗肥満薬「アライ」ってどんな薬?

「アライ」は、腹囲(へその高さで測る腹まわり)が大きめの人向けに開発された抗肥満薬です。
具体的には、

  • 男性なら腹囲85cm以上、女性なら腹囲90cm以上
  • 生活習慣を改善するための取り組みを行っている

という人が対象で、有効成分オルリスタットの働きにより、腹囲の減少を目指すことができます。

マイコプラズマ

引用元:大正製薬

なお、カプセル1錠あたりオルリスタット60mgを含有しています。

そんな「アライ」は、大正製薬が長年に渡って研究・開発を進めていた医薬品であり、2024年2月に厚生労働省による製造販売承認を取得。発売日は2024年4月8日となっています。

アライの有効成分「オルリスタット」の効果

「アライ」の有効成分オルリスタットには、「脂肪吸収阻害」という作用があります。
具体的には、脂質を分解する働きを持つ分解酵素「リパーゼ」の働きを阻害する作用です。

通常、食事によって体内に入りこんだ脂質は小腸でリパーゼによって分解され、体内に吸収されますが、「アライ」を服用すると、オルリスタットが小腸におけるリパーゼの働きに「待った」をかけます。
そして、吸収されなかった脂質は、そのまま便と一緒に排泄されます。
これがオルリスタットによる効果の仕組みです。

アライの副作用(オルリスタットの副作用)

上で紹介したように、オルリスタットは食事で摂取した脂質を吸収させずに便と一緒に排泄させる働きがありますが、これによっていくつかの副作用をもたらします。
代表的な副作用の症状としては、

  • 無意識に「油漏れ」をしてしまう(肛門から油が漏れる)
  • 便が油を含んで柔らかくなる&不快な油っぽさを伴う
  • おならが増える(下痢に似た便が伴うことがある)

といったことが挙げられます。

アライの併用禁忌薬や併用注意薬

大正製薬が発表しているところによると、アライの併用禁忌薬(併用できない医薬品)は以下の通りです。

  • シクロスポリン製剤
  • 抗HIV薬
  • 抗凝固薬(ワルファリン等)

いずれも、アライとの服用によって効果の減弱などが考えられるため禁止となっています。

また、レボチロキシン製剤、アミオダロン、抗うつ薬、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬、抗てんかん薬、経口避妊薬(ピル)などが併用に注意すべき医薬品とされています。

参考元:よくあるご質問|内臓脂肪減少薬「アライ」
参考元:ゼニカルのダイエット効果とは?副作用・注意点も解説!
参考元:alliチェックシート

アライを使用することができない人

次の条件に当てはまる人は、アライを服用することができません。

  • 18歳未満である
  • 腹囲が男性85cm未満、女性90cm未満である
  • 食事や運動といった生活習慣の改善をまったく行っていない
  • 有効成分オルリスタットに対してアレルギーを起こしたことがある
  • 併用禁忌薬(シクロスポリン製剤、抗HIV薬、ワルファリン等の抗凝固薬)を服用している
  • 「吸収不良症候群」「胆汁うっ滞」と診断された
  • 何らかの病気や医薬品の影響で腹囲が大きい
  • 妊娠しているor妊娠の可能性がある
  • 授乳中である

アライはどこで購入することができる?

2024年4月8日以降、アライは「要指導医薬品」として薬剤師のいる薬局で購入できます
医師の処方箋は不要なので、あらかじめ病院に行って診察を受ける必要はありません。

ただし、薬局へ行けば誰でも無条件にアライを購入できるわけではないため、注意しましょう。
購入前には、必ず薬剤師による指導を受ける必要があります。
また、服用する3ヶ月前から生活習慣の改善に取り組んでいることが条件です。
その他、すでに解説した『アライを使用することができない人』に当てはまっていないかどうか、専用のチェックシートを使って薬剤師と一緒に確認し、すべてパスして初めて購入することができます。

参考リンク:alliチェックシート

アライの販売価格

アライは1回3回、各カプセル1錠ずつ服用します。
販売価格は、

  • 6日分(18錠)が2,530円
  • 30日分(90錠)が8,800円

となっています。

アライを使用した国内の臨床試験結果

アライの販売に向けて、大正製薬は以下の点を確認する目的で臨床試験を行いました。

  • 内臓脂肪の面積はどのくらい変化するか
  • 腹囲はどのくらい変化するか

投与後12週と24週での臨床試験結果は以下のようになっております。

内臓脂肪の面積

投与開始12週後:-6.79%
投与開始24週後:-14.10%

腹囲

投与開始12週後:-1.36cm
投与開始24週後:-2.49cm

さらに長期投与の結果、投与開始から52週目には内臓脂肪の面積が-21.52%となり、腹囲は-4.73cmとなりました。
この結果から12週や24週の使用でも内臓脂肪や腹囲の減少は見られましたが、長期間の投与によりさらに効果が期待できると言えます。

抗肥満薬「アライ」を使用するうえで注意しておきたいポイント

脂っぽい便に焦る男性「アライ」は、脂質が体内に吸収される前にいち早く排出することで肥満を防ぐ抗肥満薬であり、その効果は世界的に認められています。

一方で、使用するにあたってはいくつか注意したいポイントがあります。
どんな点に気をつけるべきなのか、具体的に見てみましょう。

脂っぽい便や便を伴う放屁

大正製薬が行った臨床試験でも結果が出ているように、脂っぽい便が出たり、おなら(放屁)をしたときなどに油漏れが起こることがある(※)ため、注意が必要です。
油漏れとは、文字通り液状の油が肛門から漏れ出ることを指します。

(※臨床試験では、「便を伴う放屁」は21%、「油の漏れ」は20%、「油性排泄物」は6%という確率で現れることが判明しています)

おならが出そうになったらトイレに行けば良いわけですが、通勤中の電車など、長時間トイレに行けない状況ではかなりの注意が必要となります。

参考元:内臓脂肪減少薬「アライ」|公式ブランドサイト|大正製薬

おむつをしても無駄!?

アライの副作用である脂っぽい便や、油漏れによって肛門から出る油は、かなり強い臭気を伴うとされています。周囲には確実に異臭としてとらえられるレベルです。

確かに、おむつをするのは不意の油漏れに対して有効であり、油が外に漏れ出て服を汚したりするのを防ぐことはできます。
しかし、臭いはどうすることもできません。

油漏れなどが起きたときは、ひとまずおむつで汚れを防ぎつつ、トイレなどでおむつを始末して臭いの元も断つようにしましょう。

普段から下痢気味の人は特に注意!

胃腸が弱く、普段からちょっとしたことで下痢が出てしまう体質の方は、特に注意が必要です。
というのも、「アライ」による副作用の中に「水様便」「切迫排便」「軟便」などが見られるからです。
要するに、「アライ」を飲んだ結果、やわらかい便や水っぽい便が出やすく、時には失禁を伴う便意切迫感を催すことがあるわけです。

臨床試験の結果によると発現例数はそれほど高くありませんが(水様便5%、切迫排便4%、軟便2%)、下痢気味の人は出やすいことが考えられるため、注意しましょう。

参考元:内臓脂肪減少薬「アライ」|公式ブランドサイト|大正製薬

抗肥満薬「アライ」の使用が向いている人・向いていない人

ここでは、「アライ」が向いている人、向いていない人の特徴をそれぞれまとめてみました。
「飲んでみたいけど、私が飲んでも意味ある?」という疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

「アライ」の使用が向いている人

普段から適度な運動を心がけ、食事の内容に気をつけるなどダイエットの取り組みを行っているけれども、なかなか思うような効果が得られない……そんな方には、アライの使用が向いています。
アライには、すでに体についている脂肪を落とす効果はありませんが、食事によって摂取する脂質を効果的にカットできるため、ダイエットの優れたサポート役になってくれるでしょう。

また、「ダイエットに気をつけたいけど仕事柄、接待などで外食が多く、脂っこいものを食べる機会が多い」という方にも、アライは効果的と考えられます。

「アライ」の使用が向いていない人

「アライを飲みさえすれば、私は肥満から解放されるはず!」

「アライを飲めばあとは何も気にしなくても痩せられるんでしょ?」

などとお考えの人には、向いていません。

というのも、アライは「飲むだけで痩せられる薬」ではないからです。
今ある脂肪を落とす効果はないため、アライを飲む以外に何もしないつもりの人は、今以上に痩せることはできないでしょう。

また、アライは食事によって摂取した脂質を排出する効果を持つ医薬品であるため、「もとから脂質の多い食事をとっているわけではない」という方は、あまり飲む意味がありません。

オルリスタットは海外では既に抗肥満薬として使用されている

オルリスタット配合の医薬品日本では、2024年4月から販売されるアライがオルリスタットを含有する抗肥満薬の第1号です。
しかし実は、海外では以前からオルリスタットを含有する抗肥満薬が使われています。

そもそもオルリスタットは、スイスの製薬メーカーであるRoche(ロシュ)が開発した成分です。
1990年代には抗肥満薬「ゼニカル」としてアメリカで承認を受け、欧米を中心に世界各国に広まり、現在に至るまで使われているという経緯があります。
日本でも2000年代に導入される動きがありましたが、さまざまな事情があって頓挫。そしてようやく2024年になり、製造販売承認が下りました。

参考元:オリルスタット販売までの長い歴史

国内初の抗肥満薬「アライ」と海外のオルリスタット製剤の違い

ここでは、国内で販売されることが決定している抗肥満薬「アライ」と、海外で販売されているオルリスタット製剤の違いについて解説します。

薬の成分や価格に違いはあるのか、詳しく見てみましょう。 

薬の成分などに違いはない

国内のアライと海外のオルリスタット製剤は、いずれも有効成分としてオルリスタットを含有しています。
つまり、薬の成分にはまったく違いがありません。
アライを飲んでも、海外のオルリスタット製剤を飲んでも、同様の効果を得ることができます。
 
用法用量も共通しており、基本的には1日3回、各1錠を飲みます。

薬によっては有効成分量が異なるので注意

上記のように、有効成分は共通していますが、1錠あたりの成分量には違いがあります。
アライはカプセル1錠につきオルリスタットを60mg含有していますが、海外のオルリスタット製剤のうち「ゼニカル」「オルリガル」「ザモカル」には1錠につき120mgが含まれています。
 
海外ではオルリスタット120mgの安全性が確認されていますが、不安な方はアライと同じく60mgを含有している「オルリファスト」「オベリット」を選びましょう。

購入できる場所が異なる

アライは厚生労働省によって「要指導医薬品」に指定されているため、薬剤師がいる薬局で購入できます。
 
一方、海外のオルリスタット製剤は日本の厚生労働省が認可していないため、薬局では購入できません。
購入するには、ネット通販(個人輸入)を利用する必要があります。

価格は海外の医薬品の方が圧倒的に安い

  • 薬局で販売される「アライ」
  • ネット通販で購入できるオルリスタット製剤「オルリガル」

それぞれの価格を比較してみました。

 アライオルリガル
約1ヶ月分8,800円
(1錠あたり98円)
7,160円
(1錠あたり85円)
約3ヶ月分26,400円
(1錠あたり98円)
18,460円
(1錠あたり73円)

1ヶ月分の価格の違いは1,000円程度ですが、3ヶ月分で比較すると約8,000円もの差が出ます。
というのも、通販サイト(個人輸入代行サイト)の多くは「まとめ買いすれば安くなる」というサービスを行っているためです。

海外で使用されている主なオルリスタット製剤

ここでは、オルリスタットを有効成分とする海外の抗肥満薬を紹介します。
いずれも日本では未承認なので薬局には置いていませんが、個人輸入という方法で購入できます。
それぞれの特徴やメリット、価格などをまとめてみたので、チェックしてみてください。

海外で使用されている主なオルリスタット製剤

ここでは、オルリスタットを有効成分とする海外の抗肥満薬を紹介します。
いずれも日本では未承認なので薬局には置いていませんが、個人輸入という方法で購入できます。
それぞれの特徴やメリット、価格などをまとめてみたので、チェックしてみてください。

ゼニカル

ゼニカルは、オルリスタットを開発したRocheが製造・販売する抗肥満薬です。
カプセル1錠あたりオルリスタットを120mg含有しています。
食事により摂取した脂質の25%をカットすることが可能で、腹囲を減少させて痩身効果を得られます。
価格は1箱42錠入りで9,760円(1錠あたり232円)となっています。
日本で販売されるアライよりは高いものの、1錠あたりのオルリスタット含有量は大きいため、アライではいまいち効果が実感できない方におすすめです。

オルリガル

オルリガルは、ゼニカルと同じく1錠につきオルリスタットを120mg含有する抗肥満薬です。
製造・販売を手がけているのはインドの製薬メーカーであるHAB Pharmaceuticals&Researchです。主に中東、アフリカをメインに医薬品を供給しており、オルリガル以外にも鎮痛剤、育毛剤などさまざまなジャンルに渡る製品を開発しています。
価格は1箱84錠入りで7,160円(1錠あたり85円)です。
日本で販売されるアライとあまり変わらない価格でありながらも、1錠あたりのオルリスタット含有量が多いという特徴があります。

オルリファスト

オルリファストは、フィリピンの製薬メーカーであるLloyd Laboratoriesが製造・販売する抗肥満薬です。
Lloyd LaboratoriesはFDA(アメリカ食品医薬品局)が定める適正製造基準に則った製品を手がけているメーカーであり、品質の高さは折り紙付きです。
また、オルリファストの含有量60mg、120mgの製品をそれぞれ販売しているという特徴があります。
それぞれの価格は、

60mg:1箱42錠入りで5,260円(1錠あたり125円)
120mg:1箱42錠入りで5,560円(1錠あたり132円)

となっています。

オベリット

オベリットは1錠あたりオルリスタット60mgを含有する抗肥満薬で、Intas Pharmaceuticalsが製造・販売しています。インドに本拠を置くIntas Pharmaceuticalsは、アメリカやイギリス、オーストラリアをはじめ各国の承認を受けた製造施設を所有する信頼性の高い製薬メーカーです。
また、ゼニカルやオルリガルに比べると、1錠あたりのオルリスタット含有量が少ないため、効果が緩やかである点が特徴として挙げられます。
価格は1箱30錠入り5,360円(1錠あたり178円)となっています。

ザモカル

ザモカルは、イギリスの製薬メーカーであるZimmar Pharmaが製造・販売を手がける抗肥満薬です。
Zimmar Pharmaは世界各地に医薬品を送り出している製薬メーカーですが、説明書は各国の言語を使っているのが特徴です。初めて海外の医薬品を取り寄せる方も抵抗なく使えるのがメリットといえます。
なお、ザモカル1錠あたりのオルリスタット含有量は120mgとなっています。
価格は1箱42錠入りで4,560円(1錠あたり109円)です。

まとめ

今回の記事では、日本初の抗肥満薬として販売される「アライ」について解説しました。

特に押さえておきたいポイントとしては、

  • アライは2024年4月8日から薬局で購入できるようになる抗肥満薬
  • 臨床試験の結果、有効成分オルリスタットには確かな効果が確認されている
  • ただし、購入できる人の条件が決まっている
  • 飲めない人や併用禁忌薬、併用注意薬には注意する必要がある

といったことが挙げられます。

また、海外では以前からオルリスタットを含有する抗肥満薬は一般的に使用されており、個人輸入で入手することが可能です。
事情があって薬局に足を運ぶ暇がない方、有効成分の含有量が高いものを試してみたい方は、検討してみてはいかがでしょうか。